梅雨の前のかりそめの好気候、みなさま、さぞやお肌の調子のよいことと存じます。
さて、今回の話題は海外からのトピックス。じつは二年ほど前から美容通の間で話題になっていた“とあるしわとり薬”が、ついにアメリカで正式な薬品としてFDAの認可を受けた。その名は「BOTOX」(ボトックス)!
これは基本的には注射薬で、気になるしわの部分に直接チュ〜っとやるものだ(あ〜痛そう)。本来は“筋弛緩薬”の仲間として、主に眼科のまぶたのケイレンの治療などに使われてきたのだけれど、その働きによりしわが取れるのでは?という研究者の提案から今回の認可に至ったわけだ。
では、なぜ筋弛緩薬を打つとしわが取れるのか?それを知るためにはまずしわのしくみを学ばねばなりませぬ。しわというのは筋肉の収縮の狭間にそって起きてくるもので、例えば顔なら表情筋の個々の収縮度合いのずれる部分にできやすいという特徴がある。おでこや目尻、鼻の脇から口元にかけてが、それ。であるからして、筋の余計な収縮を取ってしまえばひきつれも起こらない、ひいてはしわもできにくい、というのがこのしわとり薬の理論。
アメリカで実際おでこにBOTOXを試したというひとの顔を見たことがあるが、本当におでこだけはつるっとしてしわがなかった。そのひとはもう五十を超えんというオトシだったので他の部分との差が出てしまい、いささか不自然な感じすらしたほどだ。
これだけ効果が早くはっきりと出るしわとりなんて、これでになかったのだから、アンチエイジングマニアには、そりゃもう朗報!さあさ、早速試さなきゃ・・・・・と、言いたいところなんだけど、おおたわ史絵的美容学としてはそうは問屋が卸さない。なぜかというと、ひっかかる点が二点ほどあるからだ。
| その1 |
筋肉を弛緩させて取ったしわは、明らかに自然とは異なる。どちらかというとのっぺりとした感じで、これを打ったからといって赤ちゃん肌のぷるぷるに戻るわけではない。それにその部分の筋肉は収縮できなくなってしまうので、逆に表情を作ろうと思っても、今度はそれがままならない。いつもお面をつけてるような無表情になってしまうことは、残念ながら避けられない。
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| その2 |
BOTOXというのはその名の由来をひもとくと、元来はボツリヌス菌!!
そもそもは死に至る食中毒の病原菌なのだ!その毒素が神経毒の一種で、筋肉をマヒさせる働きがあるために、こうやって認可を受けるまでに至ったが、どう考えても人工的に体内に注入するのに好ましいモノだとは思えない。おまけにもし専門医以外に施術されたら、副作用が残る可能性もかなり高い。
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まあ、人間ならば誰でもお腹に大腸菌を飼ってるわけだし、乳酸菌などはカラダにいいと愛されてるぐらいだから、これらがよくてボツリヌス菌だけがダメっていうのは自分でもちょっと差別的な感じは残るけど。しかし、世の中にはいい菌と悪い菌が存在することだけは事実、なにもひとに害を加える悪者を顔に注射するこたぁ、ないんじゃないか?
BOTOXの効果は約三ヶ月、これを超えたら再度注入することになる。そしてまたその後も三ヶ月ごとに三回目、四回目・・・・と繰り返すことになるわけで。一生の間にどれだけのボツリヌス毒素をカラダの中に入れる計算になるのか?と考えると気絶モノである。幸いこれまでに大事件は起きていないようではあるけどね。
以上がBOTOXの包み隠さぬ現状。ここから先、この薬品を試すか否かはみなさんの自由。ただし実際にやる前には、くれぐれもこのコラムの内容を思い出してね。あとから「こんなはずじゃなかった〜」と思わぬように、新たな試みはいつでも詳細な下調べが必要なものだから。
えっ?アタシ?アタシがこの注射を受ける気があるかって?
答えはトーゼン! 「NO!」ですよ。 |
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プロフィール
おおたわ史絵
内科医、執筆家。
現代人の心理を辛口に分析。
その医者らしからぬルックスも魅力のひとつ。
雑誌 ef NOVARK おとなぴあ など連載中
5/23 リニューアルスタートしたweb Tarzan(マガジンハウス)http://tarzan.magazine.co.jp/
にて新連載開始。みなさんのココロとカラダの質 問にお答えしています。随時更新。
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