テレビの仕事でイタリアへ行ってきた!と言うと、
「え〜?いいなあ〜。仕事で外国に行くなんて」
友人みんなからそうやって羨ましがられた。でも実際の現場はものすごく忙しくて、ブランド店でお買い物をするのはおろか、カフェでカプチーノの一杯を飲む事すらできなかったんだよ。いやホントの話・・・。
ま、この愚痴はいずれお話するとして。今回ワタシが訪れたのはイタリアの中でもヴェネチアの近く。水路に囲まれた水の都から車でおよそ一時間、かなりのどかな光景の町に旅の目的地はあった。
その土地の名は『アーバノ(Abano)』、じつはここはイタリアでは有名な温泉場なんである。イタリアに温泉?って、ちょっとした違和感があるかもしれないけど、なんのなんの。イタリアでもやっぱり温泉は愛されている。
この町には『テルメ(Terme)』と呼ばれる温泉ホテルがずらりと軒を並べている。強いて言うなら、熱海とか湯河原みたいな所なんだと思う。ただ他には何の娯楽施設もないので、とても静かなのがいい。ここに降り立つと、あたり一面ふわ〜っと温泉水の匂いが漂う。寒い朝などは湯煙が立ち上り、そこからイタリア建築の洋館ホテルが見え隠れし、そりゃもうスッゴク幻想的な雰囲気だ。
今回ワタシたちはここに四日間滞在したのだが、ひとつ気づいた事がある。それは、日本の温泉とはゲストの平均年齢がかなり違うという点だ。つまりテルメでみかけるゲストらは優に六十歳を超えたご夫婦ばかり、お達者な感じのそれもリッチな人々なのである。そんな彼らは何週間か長期スティして、ここを利用する。だからペットの愛犬を連れてきているケースも多くみかけた。
なんでこんなにお年寄りが多いんだろう?そう思って調べると、理由はこうだ。イタリアでは温泉治療が医学の一環として認められていて、個人の健康保健を使ってこういった施設を利用できるんだそうだ。ちなみに神経痛や脳梗塞の後遺症のリハビリなどに保健が適用できるとのこと。だから、高齢者がゆっくりと時間をかけて泊まりに来るわけね。なるほど、日本でよくやる土日一泊温泉旅行とはかなり趣が異なるってもの。
テルメで体験できるのはもちろん温泉だが、それだけじゃない。約37度と人間の体温に近く設定された屋外温泉プールもあって、朝から晩まで水泳可能。それに加えて毎日、専門インストラクターによる水中エクササイズも催されている。温水中での運動は冷たいプールよりも脂肪燃焼が早く効率的に行なわれるので、ダイエットが気になる人にはたいへんオススメ。およそ二十分で汗だくになる。
なんてったって健康施設として認可を受けているわけだから、いかにイタリアが飽食の国だからといえ、ここでの食事はヘルシーを極める。昼夜ともアンティパストはブッフェ式で、中央の大きなテーブルの端から端に約40種類の野菜が並ぶ。ズッキーニからアーティチョーク、トマトはもちろん見たことのないものまで。それも生ありグリルありボイルありと、あらゆる野菜がお腹一杯楽しめるのだ。(当然パスタやお肉料理の用意もある)
正直、イタリアってあんなに野菜のウマイ国だとは知らんかった。
さてイタリア版豪華ヘルシーホテル。すでに読者の皆様の「行ってみた〜い」の声が聞こえてきそうだが、ホントの極めつけはこれからだ。じつはこの施設、エステティックサロンとしての機能も併せ持っているんだな、なんと。そこでは温泉近くで摂れた泥を80度の源泉に漬け込むこと6ヶ月。じっくり熟成させたものを身体や顔に塗るエステが体験できる。この泥パックには臭素などの元素や亜鉛、マンガンといった重金属がふんだんに含まれているほか、目には見えない微生物の働きで殺菌効果も高いという。だから終わった後はお肌ツルツルになるし、身体がぽかぽか温かい。全身の血のめぐりがよくなって、肩こりなんかどこへやら。ちょっとやそっとの風邪なら一発で治ってしまいそうである。このエステこそが若返りの秘密と呼ばれ、イタリアの奥様衆に絶大な人気を誇っているのであった。
さてさて、駆け足でご紹介してきた『アーバノテルメ』。日本からのアクセスはまずは飛行機でミラノに入り、そこからバスか車でヴェネチアを経由して行くのがいいだろう。空港からざっと三時間以上は車内で揺られることになるのでかなり遠い。実際ワタシの場合も航空会社のストライキだなんだでエアーが乱れたこともあり、東京の自宅を出てからホテルの部屋に入るまでに驚くなかれ、24時間以上(!)かかってしまった。
でもね、一度足を踏み入れればそこは天国。どんなに遠くても後悔はしないって。ともあれ、ワタシの今一番のオススメスポットである。 |
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