2003.5.14号



 
 現代人を癒す旅 長野・小布施紀行

 週末に長野へ行ってきた。 東京から新幹線でたったの一時間半。すごく近いというのに、なぜか訪れる機会の少なかった長野。そこで今回、ワタシは目からウロコの大発見をしてしまったのだ!
 さて、長野に関してはまったくドシロウトのワタシ。市内に住む知人に連れられて“小布施”という町を訪ねた。長野駅から車で約20分、長野電鉄でも同じくらいで到着するその場所は、古くは葛飾北斎や小林一茶が愛した土地として知られている。というだけあって、伝統的な日本家屋や町並みがそこかしこに残る風情あるところだ。また栗の産地としても有名で、栗最中や栗かの子はすこぶる人気。ワタシも某甘味処で栗あんみつなるものを所望したのだが、それはそれは絶品だった。
 文芸やお菓子はもちろん感動に値するのだけれど、なにより一番感動したのは、じつに“樹木”だ。とにかく町中の木には緑の葉が生い茂っている、それも大ぶりの元気な葉っぱ。枝いっぱいに空が見えないくらいにたくさんの葉が生えている。そしてそこに、これまた、たくさんの花が咲いている。 その量といったら、東京者のワタシにとっては、そりゃもう、オドロキ。一本一本の木に溢れるほどの花弁が盛りだくさんなんだから。
「うわ〜!こんなに大量の花が咲いてる木なんて、見たことない!」
単純にこう叫んでしまったくらい、それは凄かった。
 もちろん東京だって桜は楽しめるし、花水木や、さつきも咲く。そしてそれはそれなりに美しいと思っていたし、小さな喜びでもあった。でもね、小布施の花は今まで自分が見てきた植物とはまるっきり違う。幹も太けりゃ、葉もデカイ、花の数も半端じゃない。なんていうか生命力を感じさせるんだよね。ホントに言葉では伝えきれないほどのその凄さに、自分の筆力のなさが悔やまれるなぁ。

プロフィール
おおたわ史絵
内科医、執筆家。
現代人の心理を辛口に分析。
その医者らしからぬルックスも魅力のひとつ。
雑誌 ef NOVARK おとなぴあ など連載中
web Tarzan(マガジンハウス)
http://tarzan.magazine.co.jp/
にてみなさんのココロとカラダの質問にお答えしています。随時更新。
 


「長野の街路樹、
こんなに盛りだくさんの花がついてます」
撮影:Maki Ogino
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 そんな感動のなか、文頭で目からウロコと言ったように、ワタシがはたと気づいたのは、「あ、もしかしたらこれが本来の植物の姿だったのかも・・・」 ということ。 都会暮らしが長くなると気づかないものかもしれないが、自然の木や花って我々人間が思っている以上に力強くて、生き生きとしているんだと思う。きれいな空気と水と土があれば、草花はどれだけでも自由に育つことができる。でも都市では近代化に伴い、知らない間に環境が変わってしまったんだろう。木も花も細くてかよわいイメージになった。
 短い旅を終え、東京に戻ると、タクシーから見た街路樹がなんだかかわいそうに感じてならなかった。元気がなく、生きてるだけでいっぱいいっぱいに見えた。
 でもさ、これって人間にも同じことが言えるんじゃないかな?都会の人たちはみな、口々に「疲れた」って言うし元気がない。いつもぎりぎりな感じで、癒しグッズが大人気でもある。それもこれもすべて都市化の波にのまれて自分のペースを奪われてしまったせいじゃないだろうか。都市には本来人間という生命体が必要とするきれいな空気も水も、そしてゆったりとした時間もない。
 このままいくと近い将来、都会の樹木には元気な花が咲かなくなるかもしれない。日々、近代化が進むなか、自然破壊の勢いを抑えることはたやすくはないと思うけれど、今こうやって目の前の疲れた木々を眺めていると、人間の未来にも危機的なものを感じてしまうんだな・・・やっぱり。
 都会の生活に疲れたな・・・そう思ったときは、ぜひ一度、小布施の町を訪ねてみてほしい。きっと今の自分に足りない“何か”がはっきりと見えてくるはずだから。


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