おおたわ 史絵



女医で執筆家のおおたわ史絵さんが見たこと 感じたこと アレコレ。
医学的な根拠にナットク!
 

 長い間続いたこのコラム。今回が最終回となります。
 思えば『きれいねネット』の読者のみなさんは、いつもたくさんアクセスしてくださって、本当にいいおつきあいをさせていただきました。
 今回は最後ということで、私が今“きれい”について考えていることを書こうと思います。

 先日、久しぶりに十年来の友人に会った。そのひとはゲイ、つまり男なのに中身は女性。見た目は普通のカッコイイにーちゃんなのだが、よくよく話していると言葉の端々にオネエ語が混ざるから素性がバレる。
 彼はタレントっぽい仕事をしている。だから外見にはすごく神経を使っていて、ちょこちょことプチ整形を繰り返している。
今回も以前よりほっぺたがリフトアップしていて、目の二重もくっきりと変わっていた。年は30代半ばなのだが、手をかけているせいか若く見える。
「やれることは全部やってるわよ〜」
 オネエ言葉でそう笑う。

 でもなぁ、私は昔の彼の顔のほうが好きなんだよな。目ももっちゃりしてて、フェイスラインもイモっぽかったけど‥‥それでも可愛げがあってよかった。何より笑った時の表情が素直ですごく好きだった。
 顔をいじる。今どきたくさんの整形外科があるし、上手いドクターも増えているから、別に珍しいことじゃない。みなさんのように美意識が高い女性は、いろいろと受けてみたい施術もあるだろう。
 でもね、自分の顔を変える前にもう少しだけ考えてみて。
“どうしても許せないくらい自分の顔が嫌いですか?”

 話は変わって、最近美容の女医さん何人かに会う機会があった。みなさんおよそ30代だったが、さすがに最先端の手入れの成果でお肌がツルツル。シワもない。
 でもね、私はここでも思ったんだ。
“みんな、同じ顔してる‥‥”
 たとえ別人でも、同じ施術をすると似てくるのだ。そりゃそうだ、同じレーザー、同じリフトアップ、同じボトックス、結果は類似するに決まってる。
 
 私は子供の頃から自分の顔が好きでない。大人になった今でも、出演したテレビなどは怖くて見られない。写真を撮られるのもじつは苦手。
 できればもっときれいだったらなぁ、と思って生きてきた。
 美人でないのは、嬉しくない。でもそれ以上に個性のない顔はもっと嫌いだ。笑っているのにお人形みたいで表情がないとか、怒っているのに眉間にシワがよらないとか、そういう顔になりたいとは思わない。
 人間は言葉や動きや表情、いろいろなものを使って自分を表現する生き物だ。顔は最も大事な表現の道具、丁寧に使いたいと思っている。これは私が医者だから言っているわけではない、一表現者としての思いである。
 これからも多くの美容法が開発実施されることだろう。どれを選ぶも個人の自由だ。でも、ひとつだけ言わせてもらえるなら、
「もしも自分の顔にひとつだけでも好きなところがあるのなら、それを大事にしてください。一度変えてしまった顔は二度と元には戻らないから」

長い間、ご愛読ありがとうございました。またどこかで見かけたら、声をかけてください。
                            

おおたわ史絵
 
 
 
 
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