2000.12.15号



ニキビの薬や軟膏をつけながらふと、「化粧品と薬って何が違うんだろう?」という疑問を持ったことはありませんか? 鼻のかみすぎで皮膚がかさかさになったとき、つけるのはどちらなんだろう?とか。

もうご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、肌に使う製品には「化粧品」「医薬部外品」「医薬品」といった分類があります。あなたの肌に使うべきものはどれか、ここでおさらいしてみましょう。


化粧品の安全を保障する「薬事法」

「薬事法」という法律をご存知でしょうか? 昭和35年に制定され、化粧品等の品質や原料について規定をしている厚生省の法律です。これによると、以下にわかれます。

分類 俗称
(私たちがよく使う名前)
定義 広告やパッケージでのうたわれかた
医薬品 疾病を診断、治療するもの。有効成分の作用が強い。そのため副作用を起こすことがあるので、医師・薬剤師の処方が必要。⇒薬局でしか買えない。 「皮膚疾患に効く」、「炎症を鎮める」
製品・・・皮膚疾患用の塗布薬、内服薬、その他外用薬
医薬部外品 薬用化粧品・機能性化粧品 医薬品と化粧品の中間のもの。日本独自の分類。肌荒れ、ニキビ、日焼けの防止など、特定の目的に対して効能・効果が認められた有効成分が、安全性を確保した一定の濃度で配合(つまり医薬品より少ないということ)されている。 「美白成分配合」、「シミに働きかける」「ニキビをケアし悪化を防ぐ」
製品・・・美白などの効能をうたった化粧品の他、育毛剤、歯磨き粉、薬用せっけんなど。
化粧品   薬理作用が認められない製品。その代わりに、肌の水分を保持するなど肌を健やかに保ったり、美化する効果がある。あくまでも「肌に塗る」ためのもので、内服用はない。 「肌をすこやかに保つ」、「トラブル肌に優しい」
製品・・・メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品
  • この他、薬事法分類の範囲外で肌に使うものとして「雑貨」類があります。エッセンシャルオイルなどがこれに当てはまります。

 では、私たちの肌にいちばんいいのはどれでしょう? 専門の先生に尋ねてみました。

 「化膿したニキビ、炎症トラブルなどは化粧品では治りません。それは専門医の診断・処方による医薬品でのケアが必要です。ただし薬は、トラブルを解決することを第一に作られているので、使用感、顔全体をすこやかに美しく保つ機能は期待しないことです。

 一方化粧品は、(肌に合うものに限りますが)治療効果を高める補助的な役割と捉えています。化粧品で毎日ケアすることで、トラブルの起こりにくいすこやかな肌になります。

“トラブルは専門家の処方した薬で、家での毎日のケアは安全な化粧品で”とお互いの機能を高め合うような使いわけが大事です」(皮膚科医 津田攝子先生)

 「一般的には、効果の高いものほど副作用の可能性が高いのですが、だからといって化粧品や医薬部外品が低刺激である、とは言いきれません。化粧品にはいろいろあって、使用感を良くするために、刺激の原因となりやすい香料や着色料などが含まれている場合もあるからです。

 ですから、“肌がトラブルを起こしているな”と思ったらすぐに化粧品の使用をやめ、専門家の診断・処方による医薬品を使うことが大切です。そしてできれば、その化粧品を皮膚科医に持参して、トラブルの原因をつきとめるといいですね。理想的には、“肌トラブル時には医薬品、肌が敏感なときは低刺激をうたっている化粧品、シミのケアなど目的があれば医薬部外品”と、自分の肌調子に合わせて使い分けるのがベストです」(皮膚科医 田辺和美先生)

 なるほど。それぞれに目的があるのだから、場合に応じて使い分けるのが正解、ということですね。


肌に合う安全な化粧品の見つけかた

 では、トラブルというほどでなくても、肌が敏感だと自覚している女性が化粧品を選ぶときにはどうしたらいいのでしょうか。

 「一つの目安としては、化粧品のパッケージの裏には『表示指定成分』という、アレルギーなど皮膚障害を起こす可能性のある102種の成分が明記されています。ですから肌が敏感と自覚している人は、そういった表示のない“無添加、無着色”のものを選ぶといいでしょう。」(田辺先生)

 確かに今や、大手メーカーをはじめ「無添加の、肌に優しい化粧品です」といった商品がいっぱい出ていますね。

 「でも、指定成分のうち特にあちこちの製品に使われ、まるで『悪の親玉』のように言われている防腐剤パラベンですが、それにアレルギーを起こす患者さんはそれほど多くないのです。むしろ多いのが化粧品の使い方を間違っている人。使用量が多すぎたり、乾燥しているのにオイリー肌だと信じ込んで合わない化粧品を多用したり・・・。ですから外来では、使用していた化粧品についてのカウンセリングをおこなうことが多いです。」(田辺先生)

 確かに。添加されている成分が少ないほうが、確率的にトラブルは少ないけれど、案外原因は自分自身にある、ということですね。まずは化粧品の使い方を正しく。そのうえで、添加物の少ない化粧品を選び、トラブルの可能性を少なくすることが大事です。

 ただし、この手法が使えるのは2000年2月まで! 3月からは、化粧品の成分全てを表記することが義務付けられるので、パラベンなど表示指定成分を見つけ出すのが困難になります。合わない成分があるな、という自覚のある人は今のうちに成分をつきとめておくとのちのち苦労せずにすみます。

 もう一つ付け加えるなら、化粧品は薬事法で「安全である」ことが義務付けられています。ということは、例えば「シミが1ヵ月で消えます!」といった薬事法を無視した化粧品を出しているメーカーの製品は、その安全性も疑問符であるといえます。明らかに誇大広告をしているものは避けるのが正解です。


津田攝子先生
小柳記念病院皮膚科医長。ご自身の肌のために開発された化粧品ブラ ンド「フイルナチュラント」は、ほとんど表示成分無添加の低刺激商品。
田辺和美先生
東京世田谷区タナベ皮フ科クリニック院長。化粧品トラブルや使い方 など、女性ならではのきめこまやかなカウンセリングに定評がある。


もりたじゅんこ

writer's eyes
美容ライターがまず先輩に言われること、それは「薬事法に気をつけてね」。化粧品については「シミが消える!」、「ニキビが直る!」と言ってはいけないのです。カタログ等の表現が「みずみずしい素肌のようなうるおい」とか妙にまどろっこしいのはそういう理由。


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