2000.12.22号



私たちの心や身体に、さまざまな効果 をもたらす植物の香り。
現在では、医療の現場でもエッセンシャルオイルを使ったアロマセラピー(芳香療法)が取り入れられ、また、ヒーリングのアイテムとして人気が高まるなど、新たに注目を集めています。
では、なぜ私たちは香りで癒されるのでしょうか?
暮らしの中に、どのように取り入れればいいのでしょうか?
そんな植物の香りに関する疑問を探りながら、エッセンシャルオイルの本当の魅力をお届けします。


 第2回「アロマセラピーは植物の力を生かした芳香療法 -後編-」

第1回では、エッセンシャルオイルについて、また、芳香浴のメカニズムなどについてお届けしました。
(バックナンバーを読む)
今回は、エッセンシャルオイルを選ぶ上での注意点、アロマセラピーの楽しみ方などをご紹介します。

確かな品質のエッセンシャルオイルだからこそ、優れた効果 が期待できます
 エッセンシャルオイルを選ぶ上で大切なことは、エッセンシャルオイルの品質。香りそのものを楽しむだけなら、ある程度の品質のものでも充分ですが、メディカルケアまでの効果 を期待するのであれば、品質にこだわる必要があります。まして、なんらかの方法で身体に吸収されるわけですから、選び方を誤ると、かえって身体に害を及ぼしかねません。また、どんなに品質のよいエッセンシャルオイルでも、誤った使い方をすれば、皮膚のカブレや腫れなどトラブルの原因に。自己判断などによるまちがった使い方は、ぜったいに避けましょう。

 具体的には、原料となる植物がオーガニックであることが、とても重要です。さらに一切、添加物を含まないこと、また成分内容とその比率も大切。一般 に販売されているもので、そこまで表示されているものはほとんどありませんので、エッセンシャルオイルの専門店や、疑問にきちんと答えてくれるお店など、信頼のできるところで購入するようにしたいものです。

 さらにもう一つ大切なことは、スキな香りを使用すること。症状に適したエッセンシャルオイルでも、香りがキライであれば効果 を望めません 。

エッセンシャルオイルは驚くほどの抗菌性を発揮します
 100%天然で防腐剤などを加えていないエッセンシャルオイルであれば、気になるのはその品質保持期間。これはフタを開ける回数や保存の仕方にもよりますが、通 常3年を目安にしてください。ただし、オレンジなど柑橘系のものは2年以内に、またローションなどブレンドしたものは、3ヵ月以内に使いきるようにしましょう。

 それにしても、防腐剤などが含まれていないのに、なぜそれだけもつのでしょうか?それは、植物自体に優れた抗菌性があるからです。実際、エジプトのミイラには、「ミルラ」という植物が防腐剤として使われていました。実は“ミイラ”という言葉は、この「ミルラ」から付けられています。

好きな方法で香りを楽しむことからはじめましょう
実際に、アロマセラピーを行う方法は、大きく分けて3つあります。
(1) エッセンシャルオイルの香りを鼻から吸入する芳香浴
(2) エッセンシャルオイルとキャリアオイル※を混ぜたもので、マッサージを行う方法
(3) エッセンシャルオイルをお風呂に数滴入れて入浴するアロマバスという方法
どの方法もだれもが手軽に楽しめ、さらに知識を重ねていけば、メディカルケアにも活用することができます。

 ただし、注意したいのが、手軽に行われているアロマポットの使用。これは、エッセンシャルオイルに熱を加えて拡散させますが、熱を加えることによって、6、7割もの有効成分が壊れてしまいます。香りだけを楽しむのであればそれでも構いませんが、芳香浴としての効果 はあまり期待できませんし、火を使う危険性も伴いますからおすすめできません。理想的なのは、熱を加えず、エッセンシャルオイルを霧状にして噴霧するディフューザー(芳香拡散器)を使用する方法です。

キャリアオイル
  ホホバオイル、スイートアーモンドオイルなどの植物油。キャリアオイルの“キャリア”は「carry(キャリィ)」(運ぶ)を表し、エッセンシャルオイルを希釈して「体内に運ぶ」、つまり吸収を助ける働きをする。

香りを楽しみながら、心も身体も健やかに
 私たちは植物のはかりしれない力で、健やかさと美しさを保つことができます。目まぐるしい世の中だからこそ、好きな香りに囲まれて、心にも身体にもくつろぎの一時を与えてあげたいもの。香りそのものを楽しみながら、ときにはその植物の背景を想像してみるなど、生活の中に上手に取り入れてみてはいかがでしょう。

 このコーナーでは、たくさんのエッセンシャルオイルの中から、ポピュラーなものや季節に合ったものをピックアップ。それぞれの成分の特徴や優れた効能、手軽な使用法などを紹介していきます。

<次回は…>
ラベンダーの中のラベンダーといわれる“野生ラベンダー”を中 心にお届けします。


(いのぐちあきこ)

■取材協力/ 植物療法研究家・森田敦子さん
  日本アロマセラピー学会会員。
フランスで植物療法を学び、帰国後、信州大学において有機系天然抗菌剤の研究、ディフューザーの開発などに携わる。
1998年サンルイ インターナショナル設立。
現在は、大阪大学におけるアロマセラピーの研究に参加、また、さまざまな施設へのアロマセラピーの提案、人と環境にやさしい商品開発など、植物療法家として活動中。
■参考資料/ 「アロマテラピー完全マニュアル」草隆社
「アロマテラピーのための84の精油」フレグランスジャーナル社


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