2001.1.19号



私たちの心や身体に、さまざまな効果をもたらす植物の香り。
現在では、医療の現場でもエッセンシャルオイルを使ったアロマセラピー(芳香療法)が取り入れられ、また、ヒーリングのアイテムとして人気が高まるなど、新たに注目を集めています。
では、なぜ私たちは香りで癒されるのでしょうか?
暮らしの中に、どのように取り入れればいいのでしょうか?
そんな植物の香りに関する疑問を探りながら、エッセンシャルオイルの本当の魅力をお届けします。


 ゼラニウム

ローズのような甘さと爽やかさのハーモニー
親しみやすく可愛らしい花と甘い香りで、人々に愛されているゼラニウム。そのバラのような香りは、昔から多くの女性に好まれてきました。ヴィクトリア王朝時代のイギリスではゼラニウムを室内に飾り、長いスカートの裾がゼラニウムに触れるたびに、ふわっと香りが漂うのを楽しんだというエピソードが残っています。

現在のヨーッロッパでは、ゼラニウムは窓辺を飾るもっともポピュラーな花のひとつ。日本でも初夏になると、いたる所で赤やピンクなどの色鮮やかな花を咲かせ、私たちを明るく和やかな気持ちにさせてくれます。また化粧品や石鹸、香水の原料としても広く使用され、その香りを楽しむことができます。

定評があるレユニオン島産のゼラニウム
エッセンシャルオイルのゼラニウム“Pelargonium Roseum”には別名ニオイテンジクアオイという、園芸種とは違う品種のものが使われます。その品種から抽出される香りは、バラのような甘さの中にさり気なくミンティーな爽やかさも感じられ、とても魅力的です。栽培地はレユニオン島、エジプト、ロシア、スペイン、中国などで、同じ品種でも原産国によって成分内容とその効果が異なります。中でも南西インド洋上に浮かぶ、香りの島として有名なレユニオン島産のものが高く評価されています。

ゼラニウムのエッセンシャルオイルはその葉から抽出されます。特徴的な有効成分はシトロネロール、ゲラニオール、リナロールなど。ゲラニオールはバラに多く含まれ、リナロールはラベンダーに多く含まれている成分です。これらには鎮痛作用や強壮作用、また精神を安定させる作用、収れん作用、傷を治す作用などがあります。

心のバランスをとり、ストレスを軽減
具体的には女性ホルモンの働きを正常にし、自律神経を安定させます。そのため、多くの女性が悩まされている月経前や更年期障害特有のイライラや不安感、疲労感などに効果的。不安定な心のバランスをとってストレスを軽くし、気分を明るくさせてくれるのです。また、月経前緊張症にみられる乳房の痛みや張りなどの緩和にも役立ちます。

しなやかで、なめらかな肌を保ちます
もうひとつ広く知られているのが皮膚への優れた効果。ヨーロッパでは古くから切り傷などを治す薬用植物として使われ、湿疹、しもやけなどにも力を発揮します。また血液の流れをよくし皮脂のバランスを整えるため、顔色のさえない肌の血色をよくしたり、乾燥肌や脂性肌の肌質の改善にも役立ち、なめらかな肌を保つことができるのです。

ゼラニウムの上手な使い方
手軽に行えるゼラニウムの効果的な活用法をご紹介します。

クレンジングとして
  手作りのクレンジングオイルを作ってみましょう。クレンジングオイルの濃度は2%を目安にします。たとえば10mlのキャリアオイル※の場合、最大で5滴までのゼラニウムをブレンドします。

ローションとして
  皮脂バランスを整えるゼラニウムのローションで、なめらかな素肌を保ちましょう。
作り方は・・・
(1) 遮光ビンに無水エタノール2mlくらい入れます。アルコールが苦手な人はご使用にならないでください。
(2) そこへゼラニウムを7、8滴入れます。
(3) さらに精製水8ml(アルコールフリーの方は10ml)を加え、よく混ぜれば出来上がり。

クリームとして
  ゼラニウムのクリームで肌をやさしく保護し、手荒れやしもやけなどを防ぎましょう。
作り方の例
(1) キャリアオイル※20mlの中にみつろう※6gを入れ、湯煎かけて溶かします。
(2) あら熱がとれたらゼラニウムを15滴入れて、すばやくかき混ぜます。
(3) 冷めて固まらないうちに容器に入れれば出来上がり。

アロマバスとして
  お風呂にゼラニウムを数滴入れて、よくかき混ぜてから入浴しましょう。心地よいゼラニウムの香りに包まれて、心身ともにリラックスすることができます。

マッサージオイルとして
  マッサージオイルの濃度は2%を目安にします。たとえば20mlのキャリアオイル※の場合、最大で10滴までのゼラニウムをブレンドします。

キャリアオイル
ホホバオイル、スイートアーモンドオイルなどの植物油。キャリアオイルの“キャリア”は「carry(キャリィ)」(運ぶ)を表し、エッセンシャルオイルを希釈して「体内に運ぶ」、つまり吸収を助ける働きをする。
 
 
みつろう
蜂の巣から採取された天然のワックス。

ご注意:● ローションを作る際にアルコールは酸化防止のためと、エッセンシャルオイルと精製水を混合させるために使用します。アルコールフリーの場合は、出来上がったローションをご使用になる前によく振ってください。またローションとクリームは3ヵ月以内に使い切るようにし、アルコールフリーのローションは1ヵ月以内に使い切るようにしてください。
クレンジングオイルとマッサージオイルは作り置きせず、1回分ずつ使い切るようにしてください。

ゼラニウムのローションとクリームは、甘く爽やかな香りで心も穏やかになります。毎日のスキンケアで、素肌も心も健やかキレイになりましょう。

<次回は…>
足のむくみや更年期障害に効果的な“サイプレス”をご紹介します。


(いのぐちあきこ)

■取材協力/ 植物療法研究家・森田敦子さん
  日本アロマセラピー学会会員。
フランスで植物療法を学び、帰国後、信州大学において有機系天然抗菌剤の研究、ディフューザーの開発などに携わる。
1998年サンルイ インターナショナル設立。
現在は、大阪大学におけるアロマセラピーの研究に参加、また、さまざまな施設へのアロマセラピーの提案、人と環境にやさしい商品開発など、植物療法家として活動中。
■参考資料/ 「アロマテラピー完全マニュアル」草隆社
「アロマテラピーのための84の精油」フレグランスジャーナル社

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ゼラニウム ホホバオイル



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