2001.3.16号


 オレンジや黄色を見るとなんとなく元気が出たり、灰色はどことなく気持ちが落ち込む。それは気のせいではなく、色彩のなせるワザ。色がもたらす効果を知り、使いこなしてみませんか?

あなたが身につけている色は他人に発信しているメッセージ

 そもそも色とは何なのでしょうか?私たち人間は、嗅覚・聴覚・触覚・味覚・視覚の五感から外部情報を得ていますが、その約80パーセントは視覚に左右されるといわれています。視覚情報の内訳は、対象の大きさや形、運動、つまり動きなどがあげられますが、中でも大切なものが、色彩、つまり色です。
 「地球上に生きている生物もすべて色を身につけています。色は大切な情報を発信しています。人間にとっても時代・文化の違いはありますが、色は共通言語として使えるといえます」と色彩心理研究家の山脇恵子先生。
 確かに赤、オレンジ、黄など暖色は太陽や炎を、一方、青系統や白の寒色は水や氷、雪をイメージします。こうした情報が積み重ねられて、人は色の温度差を感じるのでしょう。
 山脇先生によると、色は人間の心に密接に関連しているといいます。わかりやすい例として、子供の絵があげられます。どんな色を、どんな筆さばきで、どんな風に描いていくのかによって、その子供の心の様子や体調を読みとっていくことが可能です。同じ赤でも丸く安定して塗られていれば、満たされているといえます。これが乱れて塗りたくられていれば、怒りの感情が潜んでいます。
 自分がどんな色を望んでいるのかを分析することによって、本人も気づかない、現在の心理状態がわかるそうです。


美しいと思った色が心を癒す

 天才画家ピカソは、幼なじみの画家が自殺してしまった時から「青の時代」が始まり、5年間も青い絵を描き続けました。ピカソのように絵を描かなくても、自分を支えてくれる色として、アクセサリーでも洋服でも何でもいいのですが、飽きるまで自分が望む色を身につけることで心が癒される効果があります。
 普通、人間が「色」として感じているのは物体に反射した光で、科学的には380nm(1ナノメーター=100万分の1ミリ)の紫から、780nmの赤までの異なった波長を「色」として認識しており、これを美しいとか不愉快だと感じ取ります。色と心理状態は密接に結びついていて、「その時にその人が美しいと思っている色が、その人の心と体を癒す色なのです。心が求めているときには忠実に従うことが大切です」と山脇先生はいいます。
 色が病気を直接、治すわけではありませんが、自分にとって心地よい色を身につけたり、身の回りに置いたりすることで、あなたの気分がいい方向に変わっていくきっかけになってくれるはずです。


オフィスシーンでの効果的な色の使い方

 さてプライベートでの色づかいから、今度はオフィスでの色づかいについて考えてみましょう。オフィスでは「自分をどう見せたいか」によって演出する色が異なります。

 例えば、あなたが今日の会議の席で断固ノーと意志表示をしなければならないとき、どんな色の装いをすると効果的だと思いますか?
 山脇先生によると、こんなときは黒や赤を効果的に使うのがよいといいます。どちらの色も相手に自分の強い意志を示す色だからです。
 逆に無難なグレーを選んでしまうと、どっちつかずの曖昧な印象を相手に与えてしまいます。女性のファッションは、色の種類もデザインも豊富にありますので、試してみる価値はありそうです。

 それでは、営業で相手に「好感を持ってほしい」と思うようなときにはどんな色を身に着ければいいのでしょうか?実は、この答えは1つではありません。アピールしたいポイントの違いによって選ぶ色が異なるからです。
 冷静さや知性をアピールしたい時はブルー系、若々しさを伝えたい時はソフトな黄緑系、親しみやすさならやさしいオレンジ系、清潔さならやはり白、これも水色を組み合わせれば少しクールに、薄いピンクと組み合わせれば、ちょっと甘く伝わります。

 このように、ビジネスシーンではどんな色の洋服を選ぶかによって、相手に与える印象がプラスにもマイナスにもなります。自分の思いのままに色を身につけてみるのもよし、相手に与えるイメージを考えてコーディネートするのもよし。もう一度、あなたの置かれている立場に応じて、ふさわしい装いを考えて見てはいかがでしょうか。

(石亀佳代子)

writer's eyes
今までなにげなく選んでいた服やインテリア、小物の色を改めて見直してみました。流行をありのまま受け入れていたのではなく、心身ともにリラックスできるものを無意識に選んでいたことを自覚しました。「(色を選ぶとき)心の声に耳を傾けることは間違いのないことで、自然に自分に必要な色が見えてきます」という山脇先生の言葉が印象的でした。

■参考文献/ 『人はなぜ色に左右されるのか』(千久岩英彰)
『カラーコーディネート講座テキスト』(日本ビジネスカレッジ)
『CREA』 /1994年8月号
■取材協力/ 山脇恵子先生
カラーカウンセラー、色彩心理研究家、日本カウンセリング学会正会員。色が人の心に及ぼす影響の大きさや心を癒す色の使い方を、専門学校や企業研修などの場でわかりやすく伝えている。



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