2001.8.3号



 自然の恵みがたっぷり含まれた旬の素材の味は格別。味だけではありません。旬の素材には、そのとき私たちが必要とする栄養分が豊富に含まれているのをご存じですか?食卓に季節感のある食材を取り入れることは、心を豊かにしてくれます。食べておいしく、そして内側から美しくなれる。そんな旬の素材が持つ魅力に迫ります。

 トマト Tomato

世界中の人に愛される人気者・トマト
 夏の代表的な野菜といえば、トマト。欧米では「トマトが赤くなると医者が青くなる」と言われるほど、栄養たっぷりの健康野菜です。南米のペルーからイタリアに伝わって、アッと言う間に世界の人気者になりました。トマトはキャベツやタマネギを抜き、世界第1位の生産量を誇ります(1996年野菜生産量FAO調べ)。日本では20世紀に入ってから食生活の洋風化に伴って、トマトが食卓にのぼるようになりました。

どんな種類があるの?
 全世界で幅広く食用にされているトマトの品種は数え切れないほど多いのですが、多くは果皮の色によって、赤、桃、黄の3種に大別されます。日本では、酸味やトマト特有の青臭さが少ない桃色トマトが圧倒的です。
1984年に品種改良から作られ、現在日本で80%ものシェアを持つ桃太郎、水をほとんど与えない方法で栽培される糖度の高いフルーツトマト、飛行機の機内食用に栽培されていたものが、家庭菜園で急速に普及したプチトマトなどがあります。
ちなみに酸味もにおいも強い赤色トマトは、主に水煮やジュースなどの加工品として使われています。

トマトに含まれる注目の抗酸化物質!リコピンの秘密
 トマトの赤い色は、リコピンカロチンによるもの。カロチンは体内に入ると、ビタミンAに変化して、ガン予防に重要な働きをします。リコピンは抗酸化ビタミンといわれ、成人病、ガン、老化促進の原因といわれる活性酸素を取り除く働きがあり、その効果が注目されています。そのパワーはβ−カロチンの2倍、ビタミンEの100倍にも匹敵します。1日の摂取量の目安はトマト2個分になります。リコピンは熱にも強いので、ジュースやソースにして食べれば、少量で効果的に摂取することができます。
 その他、ビタミンCも多く含まれ、ストレスや疲労の回復、お肌にいいコラーゲンの形成を助けてくれます(ただし、ビタミンCは熱で分解されてしまうので生食の方が栄養価は高くなります)。さらに、ビタミンB1も含まれ、脂肪の消化を助けて、肝臓の負担も少なくなります。

これで大丈夫!おいしいトマトの選び方&保存法
 まず全体に色が濃く、持ったときにずっしりと重いものを選びましょう。ビタミンCカロチンを多く含んでいる証拠です。ヘタは青々としてピンと張ったものが新鮮です。時間が経ったものはヘタが丸まってきますので、鮮度を計る目安になります。形は丸いもののほうがベター。角張ったりして形の悪いものは、中が空洞のことがあります。

 トマトを生で食べるときには充分に冷やすと、生ぬるいときの青臭さが気になりません。皮は、「湯むき」という方法でむきます。トマトの頭に、包丁で十文字を浅く入れ、フォークにさしてから熱湯の中で5回ほど回します。
その後、すぐに冷水につけて、水の中で皮をむきます。湯むきをすると口当たりがよくなり、ドレッシングともからみやすくなり、上品な味わいになります。種を取るときは横半分に切り、指先かスプーンでかき出すと形を崩さずにきれいにできます。

 トマトは冷蔵庫で保存しますが、低温すぎると風味が落ちますので、ポリ袋かラップをして冷蔵庫に入れます。トマトを食べきれない場合には、ピューレかペーストにして保存しましょう。作り方は以下の通りです。
 まず、皮をむいたトマトをざく切りにして、オリーブオイルで炒めます。水を飛ばしながら30分ほど煮込めば、トマトピューレの出来上がりです。さらに30分煮詰めると、トマトペーストになります。多めに作って冷凍しておくと、シチューやパスタなどさまざまな料理に使うことができます。

暑い夏にピッタリの冷やし中華
 トマトは魚介類や肉類との相性が抜群です。これはトマトに含まれるグルタミン酸と、魚介類や肉類の持つイノシン酸の相乗効果で旨みが増すから。トマトが肉料理にも魚料理にも使われるのは、このためなのです。
 また、トマトに含まれるビタミンB1は炭水化物がエネルギーとして速やかに使われる手助けをします。見た目で色のバランスが取れている食事は、体が必要な栄養分もまんべんなく含まれているのです。
 肉と生の完熟トマト、そして炭水化物を使ったメニューといえば、「冷やし中華」!さっぱりしていて食べやすいだけでなく、栄養満点の冷やし中華を作って、体力を消耗しがちな暑い夏を乗り切りましょう。

Recipe(材料は2人分)

(1) お好みの具を用意します。トマト、キュウリ、レタス、セロリ、ザーサイ、焼き豚、ハム、卵など、食べやすい形に切っておきます。
(2) タレを作ります。砂糖大さじ2と酢大さじ3を溶かします。醤油大さじ3を入れ、鶏ガラスープ大さじ8で薄めます。そこにショウガとネギ(いずれも適量)を下ろして、絞り汁を加えます。仕上げにごま油大さじ1を入れます。
※酢はお米から作った天然酢が美味。オススメは「千鳥酢」。
(3) たっぷりのお湯で、よくほぐしながら麺をゆでます。ゆでた麺は流水にさらし、手でもむように、麺のぬめりをとります。この後、麺に酢とごま油を混ぜ合わせたものを少量かけておくと、麺がのびにくくなります。
(4) ゆでた麺の上に具をのせ、タレを全体にかけたら出来上がり。

トマトはおいしいだけでなく、病気の予防、美しい肌を作る手助けをしてくれる食材。太陽をたっぷり浴びたトマトは、"自然からの贈り物"と言えるのではないのでしょうか。

(石亀佳代子)

■取 材 協 力 / 杉本恵子先生
  管理栄養士 ヘルスケア・アドバイザー。130人の管理栄養士をネットワークし、栄養管理・アドバイザー事業を担う(株)ヘルシーピット主宰。
ヘルシーピットHP:http://www.healthypit.co.jp
■参考資料・サイト/ 読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/
NHK http://www.nhk.or.jp/
「はなまるマーケット 決定版レシピ」ソニーマガジンズ
「nonno 簡単おかず百科」集英社



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