2001.11.2号



 自然の恵みがたっぷり含まれた旬の素材の味は格別。味だけではありません。旬の素材には、そのとき私たちが必要とする栄養分が豊富に含まれているのをご存じですか?食卓に季節感のある食材を取り入れることは、心を豊かにしてくれます。食べておいしく、そして内側から美しくなれる。そんな旬の素材が持つ魅力に迫ります。

 ほうれん草 Spinach

ユーラシア大陸を横断して日本に伝えられたほうれん草
 漫画のポパイでおなじみの野菜、ほうれん草は緑黄色野菜の中でも、栄養価が特に高いことで知られています。ほうれん草の<菠薐>は原産地であるペルシャ(現在のイラン)のことで、シルクロードから中国を経ていくうちに品種が分化し、葉がギザギザの東洋種が生まれました。この東洋種のほうれん草は江戸時代に日本へ渡来しました。一方、葉が丸く、肉厚でアクが強い西洋種は、19世紀後半に導入されました。現在はそれぞれの長所を取り入れた交配種が主流になっています。
《ほうれん草の種類》
西洋種: 葉が丸く、肉厚でアクが強い。根の色が緑色。炒め物に向く。
東洋種: 葉がギザギザで薄く、甘みが強い。おひたし向き。暑さに弱く、収穫量が少ない。

ほうれん草は緑黄色野菜の王様
 低温下でじっくりと生育する冬場のほうれん草は、旬を迎える11月〜早春頃が1年のうちで最も栄養価が高くなり、甘味も増します。ほうれん草は「緑黄色野菜の王様」といわれるほど栄養満点な野菜です。
 ビタミン類では、体内でビタミンAに変化して老化防止や癌予防の働きをしてくれるカロチン、血管を強くして鉄分の吸収を助け、発ガン性物質が体内で作られるのを抑えてくれるビタミンC、動脈硬化予防で注目されている葉酸が豊富です。ミネラル類では、不足すると鉄欠乏症貧血になってしまう、ビタミンAやビタミンCの働きを助けるマグネシウムが多く含まれています。さらに食物繊維も多く含まれていますので、便秘がちの人にもおすすめです。
 貧血・便秘・虚弱体質という、女性に多く見られる症状改善の効果が期待できますので、定期的にほうれん草を食べて、バランスの摂れた食事を心がけてみてはいかがでしょうか。
Q&A ほうれん草は生で食べても大丈夫!?

 ほうれん草を食べるときに気になるのが「シュウ酸」。シュウ酸は、ほうれん草のアクの主成分で、腎臓・尿路結石を引き起こすといわれています。大量に摂ると、体内でカルシウムと結合し、結石ができやすくなります。ほうれん草をゆでると、シュウ酸を取り除くことができます。店頭で生食用のほうれん草も見られるようになりましたが、これは水耕栽培によってシュウ酸含有量を減らしたものです。生で食べられる品種以外は、下ゆでして食べるのがよいでしょう。

よいほうれん草の選び方&保存法
 まず、新鮮であるかどうかをチェックするために、葉の状態を見ましょう。葉がピンとしているものほど、新鮮でビタミンCを多く含みます。根がみずみずしいものであるかどうかもポイントです。色は緑の濃いものほどカロチンが多く含まれ、栄養分が高くなります。

 保存は生でおくやり方とゆでておくやり方があります。ほうれん草は葉の表面から水分がどんどん蒸発していきますので、乾燥は禁物。保存するときには、根元を水で濡らして、湿らせた新聞紙で包んでから、根を下にして立てて収納します。葉物は傷みやすく、ビタミンCの損出も早いため、できるだけ早めに食べきるようにします。
 ゆでて保存しておくのなら、硬めに下ゆでして、冷水に取り、よく絞って一口大に切り分け、ラップで保存します。2〜3日で使い切れない分は冷凍庫で保存すれば、お弁当やお料理の付け合わせなどにピッタリです。一手間かけておくと、サッと簡単に使うことができるのでとても便利。
 ここで、ほうれん草のゆで方のおさらいをしておきましょう。まず、たっぷりのお湯を沸かし、アク抜きのために塩をひとつまみ入れます。根の部分から鍋に入れ、しばらくしてから葉の部分を入れます。火力は強火で短時間に仕上げます。長時間加熱すると、色あせの原因になり、栄養分も歯ごたえもなくなってしまいます。茎がしんなりしたら、冷水に取って冷ませばできあがりです。

● 体に優しい!あったかほうれん草レシピ
 ここで体の底から温まるほうれん草のミルクスープをご紹介しましょう。ほうれん草に含まれる鉄分を効率よくとるには、乳製品と組み合わせる方法がおすすめ。まろやかなクリーム味がほうれん草にピッタリでお子様からご年配の方まで喜ばれる一品です。

Recipe(2人分)
ほうれん草1わ(約200g)/ベーコン 30g/牛乳 1.5カップ/洋風スープの素(チキン・固形) 1個/塩 バター 小麦粉 コショウ 適宜


(1) ほうれん草を塩少々を加えた熱湯にくぐらせる程度にサッとゆで、水にとる。根元を取り、一口大に切り分け、硬く絞る。
(2) 鍋にバター10g、ベーコンを入れて、ザッと炒める。その後、ほうれん草を加えて、中火でかるく炒め、小麦粉大さじ1を振り入れて、1〜2分焦がさないように炒める。
(3) 牛乳1カップ、洋風スープの素、塩小さじ1/3、コショウ少々を加えて強火にかけ、混ぜながら煮立てる。弱火でさらに1〜2分煮て、残りの牛乳を加え、煮立つ寸前に火を止め、器に盛って、できあがり。

(石亀佳代子)

writer's eyes
 和風でも洋風でもアレンジ自在なほうれん草。一人暮らしだと、食べきる前に鮮度が落ちてしまうこともあるかと思いますが、下ゆですれば冷凍庫で保存が効く野菜ですので、ぜひ常備してみてはいかがでしょうか。

■取材協力/ 杉本恵子先生
  管理栄養士 ヘルスケア・アドバイザー。130人の管理栄養士をネットワークし、栄養管理・アドバイザー事業を担う(株)ヘルシーピット主宰。
ヘルシーピットHP:http://www.healthypit.co.jp
■参考資料/ 『日経ヘルス』(2000年11月号)
『はなまるマーケット決定版レシピ』 ソニーマガジンズ



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