2002.4.24号



 自然の恵みがたっぷり含まれた旬の素材の味は格別。味だけではありません。旬の素材には、そのとき私たちが必要とする栄養分が豊富に含まれているのをご存じですか?食卓に季節感のある食材を取り入れることは、心を豊かにしてくれます。食べておいしく、そして内側から美しくなれる。そんな旬の素材が持つ魅力に迫ります。

 キャベツ Cabbage

世界で古くから愛されてきた野菜
 ヨーロッパが原産のキャベツは有史以前の昔から、多くの人に愛されてきたポピュラーな野菜。ギリシャ時代には、茹でたキャベツを湿布薬として利用され、ローマ帝国時代には食用されていたと言われています。
 日本にキャベツが伝わったのは、約800年前。その後、17〜18世紀に再導入されましたが、当時の“キャベツ”は観賞用のハボタンで、野菜としての利用ではありませんでした。
 日本での食用キャベツの本格的な導入は、明治に入ってからのこと。その後、改良が進み、日本の風土に合った品種が生まれました。今では、年間消費量も多い重要な野菜になっています。

これもキャベツの仲間!?
  キャベツは緑色だけだと思っていませんか?キャベツは葉形、葉面、巻き方によって幾つかの仲間に分かれています。葉が縮れたものや紫色のもの、花茎を食べるカリフラワーやブロッコリー、腋芽を食べる芽キャベツ、結球しないケール、観賞用のハボタンは同じアブラナ科でキャベツの原型が発達したものです。形は違っても、同じ遺伝子を持つ植物。改めて見ると、新しい発見がありそうです。

胃腸障害はキャベツにおまかせ
 『本草捨遺』によれば、キャベツは「骨髄を補い、五臓六腑を利し(後略)」とあるほど、身体に有用な成分が含まれています。
 食物繊維を多く含み、生で食べると、胃腸の働きが良くなり、便秘も改善します。また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍に効果的なビタミンUが含まれ、胃腸を正常な状態に戻してくれます。おなじみの胃腸薬『キャベジン』も、キャベツの英名キャベジから来ています。
 ビタミンCも豊富に含まれるので、風邪の予防や美肌効果も期待できます。さらに、ビタミンKは血液凝固や、骨を強くしてくれるので、骨粗しょう症の予防になります。ほうれん草やにんじんと比べると淡色野菜で栄養がなさそうに見えますが、キャベツは有用な成分が多く含まれる優れた野菜なのです。

煮物に向く冬キャベツ。生で味わう春キャベツ。
料理法を変えてみよう!
 冬と春でキャベツの味が違うと感じたことはありませんか?実は冬キャベツと春キャベツは、とれる時期だけでなく、品種が違うのです。冬キャベツは葉がしっかりと巻いていて、水分も少ないので煮物や炒め物に適しています。一方、春キャベツはみずみずしくてやわらかいので、生やサッと火を通して食べると素材そのものの味を楽しむことができます。
 選び方も季節によって異なります。冬キャベツは締まっていて重みがあるもの。
春キャベツはふわっとしていて、丸みのあるものがおいしいキャベツを手に入れるコツ。
旬の春キャベツは、ぜひ生食で味わってみてはいかがでしょうか?

切り方を工夫して、食感を楽しんで
 キャベツは切り方によって、食感が異なる野菜。料理によって、切り方を意識して変えてみましょう。キャベツのおいしさがさらに際立ちます。

細切り 幅5mm程度に切ったもの。火が通りやすいので、野菜炒めやお好み焼きのように大量に使うものに向きます。
ザク切り 一口大に刻んで、形が整っているので、炒め物や煮物などにおすすめ。
せん切り 歯ごたえを味わうサラダや揚げ物などの付け合せに。とんかつなどに添えると◎。
ちぎる 切り口が不ぞろいで、歯ごたえが残ります。サラダやマリネなどの、生に近い料理に使います。

(石亀佳代子)

writer's eyes
 イギリスではキャベツ畑に赤ん坊がいるとされて、子宝はキャベツから授かると長く信じられてきました。スコットランドではハローウィーンにキャベツで結婚運を占う習慣があります。日本昔話にキャベツが登場しないのは、キャベツの歴史が浅かったからなのだと納得。

■取 材 協 力 / 杉本恵子先生
  管理栄養士 ヘルスケア・アドバイザー。130人の管理栄養士をネットワークし、栄養管理・アドバイザー事業を担う(株)ヘルシーピット主宰。
ヘルシーピットHP:http://www.healthypit.co.jp



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