2002.7.24号


 

 セントジョーンズワート

このネーミング、なんだか長い名前だな〜なんて思ってる人いませんか? 実はこれ、人の名前なのです。「セントジョーン(St.John)」とは、キリストに洗礼を施したと言われている「聖ヨハネ」のこと。ちょっと宗教学的なムードが漂いますが、今回はこのセントジョーンズワートにまつわる様々な伝説と、医療界が注目しているその効果効能について解剖します!


セントジョンズワートとは?
学 名: Hypericum perforatum (ラテン語)
植物名: St.John's Wort(セントジョーンズワート)
和 名: 「西洋オトギリソウ」、または「弟切草」

セントジョーンズワート(聖ヨハネ草)は、アジア・ヨーロッパが主な原産国であるハーブの一種。長い茎と星型の黄色い花をつける植物で、なんと約2000年にわたり愛用されてきたハーブ。起源としては、ギリシャ時代に悪魔払いとして使用されてから、ともいわれています。また、ヨーロッパでは約15年前からうつ病の症状改善に愛用され、医療先進国であるドイツでは、既に年間300万もの処方箋が発行されているのだそうです。
主成分は「ヒペリシン」という成分で、気分を盛り上げる効果があることから、現在欧米では“ハッピーハーブ”または“サンシャインハーブ”などという呼び名で親しまれています。アメリカでは、1996年に「うつ病に効くハーブ」としてマスコミに取り上げられたことで一気にその名前が世界中に広がりました。
これまでうつ病の症状緩和には、主にアメリカ医学で誕生した「抗うつ剤(=プロザックという化学薬品)」が使用されていましたが、最近は日本でも、副作用のないセントジョーンズワートに注目が集まっています。そして、アメリカでは約75%の精神科医師が、日本でも臨床試験をうけた患者の60%が、その有用性を認めているそうです。
さらに、抗うつ剤を常用してきた患者が薬をやめる際の切り替え薬(代替医療)として使用されることもあるそうです。(但し、他の抗うつ剤との併用は危険なため促していません。)


脳に作用する“ヒペリシン”
前述の通り、「ヒペリシン」という成分には、もともとイライラを和らげ、精神を安定させる効果があるとされています。アメリカのスポーツクラブやヘルスケアセンターはこれに目をつけ、過食や拒食を起こさせる不安定な精神状態を解消し、自然と「運動したい」という気持ちになれるよう、セントジョーンズワートをダイエットプログラムに取り入れることもあるとのこと。
気分をリラックスさせる効果があることや、植物性であることなどからその安全性も注目され、うつ病だけでなく、更年期障害、月経前症候群、自律神経失調症、不眠症(セントジョーンズワートに含まれるメラトニンの作用)などへの適用も勧められています。

※更年期障害の諸症状: なかなか眠れない、カーッと熱くなり大量の汗をかく、頭がのぼせる、体力や健康への自信喪失、無気力、些細なことでイライラする……など。通常、更年期障害は閉経した女性に多く見られるホルモンのバランス異常などが原因して起こる症状ですが、近年ではその若齢化がすすんでいます。はっきりした対処法についてはまだまだ研究段階にあり、その原因もしっかりとした解明はされていないのが現状です。

※メラトニン: メラトニンは脳内で分泌されるホルモン様の物質で、生体リズムを調整する働きをします。生体リズムとは通常、太陽の光によってコントロールされていますが、バランスを崩すことによって不眠症に陥ると言われています。


そもそも“うつ病”ってどんな病気?
うつ病とは、生化学的には「脳内の神経伝達物質がアンバランスな状態である」ことを言います。つまり、脳の中で様々な情報を伝達する役目であるセロトニンが減少することによってバランスが崩れ、結果、精神に影響を及ぼすのです。
主な症状としては、
・憂鬱(ゆううつ)感 ・不眠症
・悲哀感 ・性欲の減退
・食欲の減退 ・極端なマイナス思考
・不安感 ・イライラ感
ほんの一部の例ですが、上記のような症状が続くようなら要注意。

現在日本人におけるうつ病発生率は、約20人に1人といわれています。うつに陥りやすい性格として挙げられるのが「責任感が強く几帳面」、「真面目で完璧主義」な人。これは、仕事が出来る有能な人材でありながら、ストレスを溜めやすいという傾向があるためだと考えられます。また、自己否定的な考え方をする人や、悲観的な物の見方をする人、人に会うときに極度に緊張してしまう人、他人に依存しやすい人……も気を付けたほうがいいでしょう。
不安な人はこちらでチェックしてみましょう!
診断テストもある「心のさわやかセンター」:http://www1.harenet.ne.jp/~sawayaka/


奇跡のハーブ、その名前の由来や逸話、伝説のいろいろ♪
セントジョーンズワートには不思議な逸話がたくさんあります。
いくつかご紹介しましょう。その前に、ちょっとした予備知識を。
St.John(聖ヨハネ)という人は、聖書によればキリストに洗礼を施したいわばキリスト教の先駆者であるわけですが、その宗教活動をうっとうしく思っていた舞姫サロメはヘロデ王にヨハネ殺害を依頼、ヨハネはヘロデ王によって首を斬られるという運命にある人です。現在でもアメリカやヨーロッパでは聖人として祭られ、6月24日(夏至)は「聖ヨハネの祝日」となっています。

逸話その1
「聖ヨハネを守った花」

ヨハネが追手から逃れるため、小さな村の宿に入るのですが、追手は彼を見かけ、その目印として宿の入り口にセントジョーンズワートの花を刺しました。その後、通報を受けた役人達が彼を捕らえようと村に向かうのですが、なんと、奇跡が起こります。村中の家の入り口には同じ花が咲きほこり、追っ手の目をくらますことができたそうです。この伝説は代々言い伝えられ、その花が神聖な植物として扱われるようになったといわれています。また、この花の黄色い花びらをこすると、赤い液(蛍光物質)が出てくる事から、「St.Johnが処刑された時の血の跡から咲いた」という伝説も残されているそうです。また、スコットランドではセントジョーンズワートを窓やドアに吊るすと、災害を免れるといい、魔よけとしても活用されているとか。

逸話その2
「名前の由来は聖ヨハネの誕生日」説

開花時期が6月24日頃だということから、キリスト教文化圏の国では、聖ヨハネの誕生日に因んでSt.Johnの植物(plant=wort)と呼ばれています。葉の黒い斑点はヨハネの血がふりかかってできたといわれる一方で、十字架にかけられたキリストがわき腹を刺されて流した血である、という説も。ドイツではこの植物を「イエスの奇跡草」「神の血」とも呼ばれるそうです。

逸話その3
「弟切草」にも似た由来があります

セントジョーンズワートの和名である、「オトギリソウ(弟切草)」にも西洋とよく似た名前の由来があります。
10世紀、花山(かざん)天皇の時代、晴頼(はるより)という鷹匠がいて、タカの傷を治す秘密の薬草としてこの草を活用していました。しかしこのことを弟が他人にもらし、晴頼は怒りのあまり弟を殺してしまった。以来、この薬は「弟切草」と呼ばれ、葉の黒い斑点は弟の血痕であるといわれてます。

未婚の方は必帯!? 運命の人に出会える花!
セントジョーンズワートには予示力があるともいわれてます。聖ヨハネの祭日(6月24日)の前夜(23日)、未婚の女性がこの花を枕の下において眠ると、なんと!!夢に未来の夫が現れるそうです! また、別の地方では、祭りの前夜につんだこの草が、水に差さなくても翌朝まで新鮮なままであれば、近く結婚する可能性が高いといういわれも。オシイ!私はちょっと時期が過ぎてしまいましたが、未婚の方!来年こそはぜひお試しください♪


セントジョーンズワート入りサプリメント、日本にも続々入荷!
■ファンケル「気分爽快サポート」
(90粒入り(30日分)\1,450
コンビニエンスストアでも買えるお気軽サプリメントにもありました。1粒中にセントジョーンズワートエキスを166.7mg含有(ヒペリシン類0.3%)⇒他成分として、葉酸0.1mg・ビタミンB12を1マイクロg組み合わせた健康補助食品。気分のすっきりしない人、悩みの多い人にオススメです。1日3粒が目安。http://www.fancl.co.jp/

■Yerba Prima(ヤーバプリマ)
「セントジョーンズワート エキストラ ストレングス」

(食品認定を受けているサプリメント。50カプセル入り(50日分)\8,000
1カプセルに0.3%ヒペリシンを450mg含有。
ドイツコミッションE()規格では世界最高の濃度品といわれています。乳化剤を含む増量剤や不要添加物は一切ナシで、臨床データ検証済みという高い安全性が売り。2000年の規制緩和でやっと日本に輸入されることになったもの。“ヤーバプリマ”とは、「第1級のハーブ」という意味。1日1カプセルが基準。
日本ホールフーズ株式会社 日本総代理店 http://www.japanwholefoods.co.jp/
※ドイツコミッションE・・・ドイツBGA(連邦保健庁)のこと。ドイツ医療におけるハーブの効果効能の検証および健康保健薬の認定を行う機関で、ハーブの世界的権威。

■Supplement-Ya(サプリメントヤ)
「セントジョーンズワート」
(\1,800
セントジョーンズワートエキス375mg含有。他に、ビタミンやミネラルを配合。なんとなく気分が重い、何をやるのも面倒という時、ストレス社会を元気に乗り切りたい人にオススメなサプリメントとうたわれています。通販カタログでの販売もしている、サプリメント専門店。1日3粒が目安。http://www.supplement-ya.com/

注意事項!
セントジョーンズワートには、他の薬の分解に関与する酵素の活性を高める作用(薬の効き目を弱める恐れがあるということ)があります。特に、経口避妊薬やエイズ治療薬などの薬を服用している場合、妊娠中、授乳中の人は必ず医師に相談して下さい。また、抗うつ剤を使用している人は、自分の判断でセントジョーンズワートに切り替えると反動がくる恐れがあるので、専門医に指示を仰ぎましょう!
また、服用のポイントとして2点が挙げられます。
(1) すぐに効果が出なくても、1〜2ヶ月は続けて服用し、様子を見てみること。
(2) 効果的なのは食後の服用。(空腹時に飲むと、胃に負担をかける恐れが)
副作用や常用性がないとはいえ、やはり飲みすぎは身体に良くありません。容量・用法をきちんと守って服用してくださいね。


根本ゆみ


< Writer's eyes >
皆さん、いかがでしたか?「セントジョーンズワート」。効果効能も興味深いものがありましたが、個人的にはその由来やエピソードが面白くて、なんだか急に聖書が読んでみたくなりました・・・。セントジョーンズワートは、日本で入手するには、サプリメントのほかにドライハーブとして加工されたものが主流のようです。種から栽培している園芸家の方もいらっしゃるようなのですが、入手方法は現段階ではちょっと不明です、あしからず……。漢方薬局で「セイヨウオトギリソウ」を扱っているところもあるようなので、皆さんも興味があったらぜひチャレンジしてみてくださいね。私もこれから買いに走りますっ!



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