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貝の王者、鮑。
鮑というと、高嶺の花の高級食材というイメージが先行してしまいますが、調理法や扱い自体が難しいわけでは決してありません。旬の夏場、とっておきのおもてなしにトライしてみてはいかがですか。
「磯の鮑の片思い」という諺は聞いたことがあるでしょう。あの、独特の平たい貝殻の形を、古人は二枚貝の片方の殻がなくなったようと、片思いの気持ちを表現したのです。なんとも風流ですね。しかしながら、鮑はれっきとした巻貝。さざえのようにしっかり巻き上がらずに、ゆるく平たく巻いていると思ってください。旬は夏。産卵を前に、最も身が充実するときです。
そうして見せられた今回の鮑は二杯とも、直径20cm近く、殻つきで800gほどの見事な姿。築地でも、1日わずかしか入荷しない極上ものです。ちなみに仕入れ値で一杯1万5000円。鮑は、漁獲法が進歩したとはいえ、海女さんが海に潜って、一つ一つ傷つけないように丁寧に岩からはがして採取するもの。これほどの鮑ではないにしても、値が張るのもいたしかたないのでしょう。今日の鮑は二杯とも外房の産。色の違いは、主食となる海藻の違いによるものだとか。鮑は魚のように旅をしないから、いかに良質の海藻に恵まれた海で育つかが、味のよさの決め手となるのです。
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