資料によれば、鰯といってもその仲間は多様で、世界では330種あまり。日本近海でとれるものでは、マイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシが主。生食で、また加工品となって、これらの鰯がいにしえの昔から、私たち日本人の血となり肉となり続けてきました。日本でよく食べられるのが、たった3種ですから、残り327種の鰯はどんな姿形をしているのか・・・。 3種の中でも、煮たり焼いたり、また時に生で、調理に用いるのはほとんどが真鰯です。大きさによって、大羽、中羽、小鰯などと呼び分けます。今日の2種は大羽とちょっと大きくなった小鰯というところでしょうか。「本当はもうちょっと小さいのがよかったんだけど、小学校3年生くらいのね。これは中学1年くらいかな」と杉山さん。いずれも、銚子で揚がったものです。「鰯は直前に仕込みをしなければならないものが多いから大変」と、せっせと手を動かします。こうした背の青い魚は、おろすそばから劣化していくので、美味しくいただこうと思えば、事前に下ごしらえをしておくことができないのです。そういう意味では大変に贅沢な魚ともいえます。
writer's eyes 世界中で最も幅広く食べられている魚といえば、鮭かもしれませんが、人類への貢献度でいうと、鰯は間違いなく筆頭格でしょう。 鰯をよく食べる国、つまり、海に囲まれた、地中海沿岸の国々や、南米の一部、また韓国などは、いずれも食に対する文化水準が高く、味覚に優れているというのは勝手な思い込みでしょうか。いや、気候風土の類似から日本に共通する味覚を持つ、だからこそ、日本人からみて美味しいと感じ、また親しみを持つのでしょうか。アングロサクソンやゲルマンの国々はその逆? どうもそんな気がしてなりません。 しかし、鰯を常食しないUSAでも、流行に敏感なNYなどでは、鰯など青魚への関心も高まっています。先日訪れた、「CRU」=生という意が店名のモダン・アメリカンキュイジーヌ・レストランでは、アペタイザーに、サーモンから鯵、コハダ、鰯まで、メニューにずらりと魚の名前が10種以上並んでいました。好みの魚を選ぶと、それぞれに、一工夫のあるマリネされた生魚が供される仕掛けです。この手は×な場合が多いので、恐る恐る口にすると、これが意外にイケたのです。ひさしぶりに訪ねたNYでしたが、3年のうちに魚の扱いも進化したようです。スタッフが、これらは築地からとさかんに自慢していました。今やNYでは築地はステータス。まぐろの次は青い魚を好きというのがスノッブ、そんな感じもうけました。鰯が受け入れられたということは、先ほど私が勝手に描いたグルメ地図に、一歩近づいたのかもしれませんね。