2000.12.15号

めまぐるしく変化する 日本発売のコフレ
 消費者の関心も高く、メーカーにとってメリットづくめのコフレ。当然メーカーは、販売個数を増やすべく、あの手この手の商戦を練ってきます。このあたりに、日本のコフレがめまぐるしく変遷した鍵がありそうです。探ってみましょう。

コフレは時代を映す鏡
 時代ごとにコフレを追ってみると、時代背景や経済状況が色濃く反映されていることがわかります(1年ごとに変化をみられるよう、ここでは11月〜12月に発売されるクリスマスコフレに絞って比較をしています)。 

<表3>
コフレ 黎明期
(’85年〜’88年頃)
’85年にYSLなどクチュール系ブランドがXmasのコレクションをスタート、’86年にクラランス、ミス エレガンスが日本デビューするなど、どんどん新しいブランドが増えた時代。「新鮮」「ものめずらしさ」に顧客が飛びつく時勢だったので、コフレはおしゃれな欧米流そのままの、香水ミニボトルセットが主流。 ’85年
トワレとソープ 「バラベルサイユ トワレセット」/わかば
’87年
3種の香水「オリジナルブレンディングキット」/イプサ
コフレ バブル期
(’89年〜’92年)
絶好調のバブル時代をむかえ、人々は高級品・ブランド志向へ。派手に演出したクリスマスがトレンドに。
コフレも、薔薇の生花や、金のネームが入ったルージュなど「派手、夢、ロマンティック」なものが目立つ。今では考えられないほど高額なのも特徴。
’90年
なんと30,000円!「ジュエル コンパクト」/イヴ サンローラン
’92年
32,500円のセットに1,000円で薔薇を追加できる「Xmasフラワーコフレ」/ジバンシィ
コフレ 絢爛期
(’93年〜’95年)
バブルはかげりを見せたものの、1ドル80円を切る超円高。『Hanako』、『JJ』など女性誌が軒並みハワイ・香港旅行特集を組んだ時代。

免税店や海外で買う、(円高なので相対的に)激安なコスメティクスに対抗すべく、派手に盛りだくさんモノが詰まったコフレが前面に。
’93年
48色のアイカラーに9つのアイテム。両手で抱えて持ち帰った「レッド ドア ホリデイ スペシャル」/エリザベスアーデン
コフレ 現実主義期
(’96年〜’98年)
ボーナスは軒並みカット、海外旅行もままならない不景気感が漂う時勢。「価格破壊」を合言葉にマツモトキヨシなどのドラッグコスメが台頭。
コフレも派手感より「1万円でスキンケア6品が試せる」などお得感を前面にセールス。豪華なパレットを販売していたアメリカンブランドも、軒並み価格帯を下げる(12,000円→10,000円/エスティローダー、エリザベス アーデン)。
’96年
破格!4,200円で4つの香り「ディスカバリーセット」/エルメス
’97年
現品2つにブラシ等3アイテムついて5,000円「Xmasキット」/カリタ
コフレ ミレニアム期
(’99年〜
百貨店にも多少客足が戻り、ファッショントレンドも上流感漂う「レディスタイル」が復活。
ミレニアムのお祝いムードも後押しし、コフレにも華やかさが戻る。華やかさを極めた単品の限定商品も目立つ。
’99年
金文字で「2000」が入ったフェイスパウダー/エスティ ローダー
’00年
薔薇をかたどったシルクのパウダー/クラランス

 メーカーが、その時代ごとに戦略をたててコフレ商品を用意していることが見て取れます。クリスマス、私たちがカウンターに並ぶコフレにワクワクするのは、モノそのものだけではなく、こういった時代の流れがうかがえるからかもしれませんね。

 今年のカウンターは、ミレニアムムードに満ちた、華やかで幸せ感漂うコフレが花盛りでした。きっと来年は楽しい1年なのでしょう。期待が持てます。
もりたじゅんこ

writer's eyes
 過去のコフレを調べるため、図書館にこもり『JJ』、『25ans』、『Hanako』など当時の雑誌を読みふけりました。それにしてもバブル時代の『JJ』の華やかなこと! 吉川十和子さんや賀来千賀子さんがソバージュでニッコリ。思わずうっとりするひとときでした。

取材協力: すずなさん ☆ごくらくコスメ☆http://www.geocities.co.jp/Beautycare/1453/
  及川ひかりさん (28才 東京都在住、会社員 年に約5回程、アメリカ〜東京間を往復)
写  真: 石井幸久
参考文献: 月刊『国際商業』/国際商業出版株式会社

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