2001.2.16号
前回は化粧品全成分表示によって何が変わるのかをお話しました。まとめて言うと「化粧品の成分が全部明らかになるのはうれしいけど、そのぶん、自分で化粧品のよしあしを判断しなきゃいけないよね」という結論です。
そうなのです。今までは「表示指定成分無添加」(危険性があり、表示を指定された成分102種類が無添加ということ)という表示があれば、とりあえず安心かな?という目安があったのですが、これからはその目安がなくなるのです。さらに言えば、どんなに頑張って成分表示を見ても、品質の良し悪しや香料の中身までは完璧にわからない、という問題があります。
そこで、何をどう判断すべきなのか。なるべく安全な化粧品を選ぶためのチェックポイントを、化粧品に造詣の深いお二人のドクターに伝授してもらいました。
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ちなみに、「肌質や肌状態にあった化粧品を選ぶ」というのがまず大前提です。その後での「肌にとっての安全度」を調べるためのポイントに絞ってお話をします。
ポイント1
ロングセラーを出しているメーカーを選ぼう!
「全成分表示が義務づけられる前後に、急に従来のラインアップを変えたり、定番商品だったものが姿を消したりするメーカーは要注意! 何か問題があるということです」
(高輪クリニック院長 岡崎敬得先生)
“中身を全部教えなさい”と言われた途端に商品を引っ込める。完璧に怪しいですよね。
売り場の美容部員さんは言うでしょう。「この商品は残念ながら廃盤です。まとめ買いするなら今ですよ」と。買ってはいけません。世の中にもう出せないような商品にしがみつくより、安全な化粧品を選び直すチャンスだと捉えましょう。
逆に、5年、10年とロングセラーを続けている商品は、それだけ多くの人に愛され、トラブル事例も少ないということ。法改正後もその商品が中身を変えずに続いている場合は、かなり信用ができるでしょう。
ポイント2
日本製もしくは日本独自処方の化粧品を使おう!
「香料の中身は、消費者はもちろん発売している化粧品メーカー自身も知ることができない、香料会社のトップシークレットです。そこで日本の主なメーカーは、「ガイドライン」といって、「この原料は危険だから入れるな」と法律以上に厳しい基準を定めて香料会社に発注します。海外輸入品はこれを行っていないため、日本人にトラブルの起きやすい成分が配合されていることがかなりあります」
(中山皮膚科クリニック院長 中山秀夫先生)
よく「スキンケアは日本製品がいちばん!」と言われますが、その噂は本当だったのです。それもそのはず、日本には20年前まで「色素沈着型化粧品皮膚炎(旧名 女子顔面 黒皮症)」という、成人女性の顔が真っ黒になる難病がありました。原因は化粧品アレルギーによりメラニン色素が真皮の上層に沈着することだとわかり、それ以降、日本人むけの製品は原因となる成分を除去するようにガイドラインが作られたのです。いっぽう白人むけ製品は、たとえ化粧品かぶれを起こしたとしてもメラニン色素の問題で真っ黒になることは全くないため、この問題に関しては無頓着。
「特に規制のゆるいフランス、イタリア、ロシアなどの製品は、この問題に無頓着ですね。法改正後は、日本で1980年に配合が禁止された赤色色素のR219、黄色色素のY204などが入っている可能性が高いので、気をつけて」
(中山皮膚科クリニック院長 中山秀夫先生)
某大手フランス製ブランドは、「日本独自処方」を大きく謳っていますが、こういう背景があったからなのですね。決して「日本人好みの日本処方」だけじゃなかったのです。
ポイント3
チェック事始めに、見分けが簡単なサンスクリーン剤で!
「サンスクリーン剤には、紫外線吸収剤により紫外線を吸収するタイプと、紫外線散乱剤により紫外線を物理的に遮断するタイプの2種があります。前者はアレルギー性接触皮膚炎を起こす可能性が高いうえ、光を吸収するので光アレルギーも起こしやすいので避けたほうが無難」
(中山皮膚科クリニック院長 中山秀夫先生)
よく、サンスクリーン剤でSPF15とか書いてあるのに「紫外線吸収剤無配合」と表示された商品がありますが、あれは散乱剤の方を使用しているというわけ。2つに1つだから、見分けるのが簡単ですね。
そこで筆者、百貨店の化粧品カウンター10軒(しかもなるべく大手のところ)を訪ねて「これは紫外線吸収剤配合ですか?」と聞いたのですが、なんと10軒ぜんぶ、チンプンカンプンな回答でしたよ!!当たった美容部員さんが偶然良くなかっただけかもしれないけど、「こういう製品には普通入っているものですよ」とムッとしながら面倒くさそうに答えた美容部員さんもいて、唖然としてしまいました。もう、これは自分で覚えて防衛するしかありません。皆さん、少々面倒ですが、以下覚えましょう。
避けよう!
紫外線吸収剤
オキシベンゾン
〈もしくは○○ベンゾフェノン○○という成分名〉、
パラアミノ安息香酸
〈もしくは成分名のどこかにPABAがつくもの〉、
サリチル酸
〈サリチル酸○○かホモサレートと表示される〉、
ケイ皮酸
、
ウロカニン酸
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いずれも前後に長いカタカナがついている場合が多い
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黒皮症を誘発するとして日本では使わないが、海外で使われる成分に「ドロメトリゾール」がある
選ぼう!
紫外線散乱剤
酸化チタン
、
酸化クロム・タルク・マイカ
、
酸化ジルコニウム
ポイント4
メーカーにどんどん問い合わせよう! 信頼ブランドを見つけよう!
「スーパーでは今や“完全有機農法○○さんが作った野菜です”といった製造過程を明らかにした商品が売られています。これは、少々高くても安全なほうがいい、情報開示してくれ、という消費者が増えたからなのです。化粧品についても、消費者がまず求めてメーカーを変えていきましょう」
(高輪クリニック院長 岡崎敬得先生)
少々気の長い話に聞こえますが、実はいちばんの早道。メーカーは売れる新商品を出すために、毎シーズン一生懸命マーケティング調査を行っているのです。最近「無添加・自然派・低刺激」と謳われる商品が増えたのも、“私の肌って敏感”と訴える女性が多いから。その「低刺激」も今まではイメージだけで終わっていましたが、これからは具体的な成分にこだわり、それをわかりやすく表示してもらえるよう、リクエストしましょう。
いちばん簡単な方法は、わからないことがあったらパッケージにあるお客様相談室に電話して、とことん聞くこと。窓口で即答できないような突っ込んだ問題でも、調べて後から電話をかけなおしてくれたりしますよ。ここでの問い合わせは、履歴が残されていずれ商品開発の参考になるのです(だからフリーダイヤルが多いのです)。
100歳まで生きるとして、あと何十年も化粧品のお世話になるのです。「myブランドは私好みに作り上げる!」くらいの意気込みがあっていいと思います。
ポイント5
お試しは手の甲でなく二の腕で!
「化粧品を買うときに手の甲で試している女性をよく見かけますが、手の甲というのは皮膚が厚く、刺激の有無をテストするには向かない場所です。皮膚科でパッチテストをするときは、背中でするのが世界標準で、まれに二の腕を用いるものですよ」
(中山皮膚科クリニック院長 中山秀夫先生)
うっ。確かに、ヘアカラーの説明書には「パッチテストは二の腕で」と書いてあります。
ちなみに本格的なパッチテストとは「48時間、二の腕や背中に薬剤をはりつけて、はずした日と次の日、そして7日目に反応を観察する」
(中山皮膚科クリニック院長 中山秀夫先生)
もの。
肌が特に弱い人や実際にトラブルが起きてしまった人は本格的なパッチテストをするのが一番だけど、そこまでするほどでもない人は、「この化粧品ほしいな」と思ったらまず二の腕に試すクセをつけてみて。ちなみに先ほどの百貨店カウンターで「私、肌が弱いので二の腕で試させてもらえますか?」といったところ、全部の店舗で喜んでやらせてくれましたよ(それどころか、「ぜひおうちでも試してください」とサンプルを渡してくれたところもありました)。好意的に上着を脱がすお手伝いまでしてくれるところがほとんどです。下着になるわけじゃなし、恥かしがらずにトライしてみてください。ちなみに、休日前の金曜日の昼休みとかに試し、シャワーを1日サボれば、36時間くらいは化粧品が肌に乗っている計算。数日その部分をこすらないようにすれば、簡単なテストになります。
どうせお金を出して化粧品を買うのですから、なるべくいいものを買いたいですね。まずはこの5つのポイント、守ってみてはいかがでしょう。
Topics
筆者はコスメフリークを自称しているだけあってかなり化粧品の種類には詳しいつもりでしたが、今回取材させていただいたお二人の先生の博識には、ただただ感嘆するばかりでした。「○○の化粧品には、じつは△△が入っているから、使用を止めた後にかゆくなったりするよ」「○○はトラブルが多いから、改良して△△になったんだよ」などなど・・・・・・臨床や研究でトラブル例に毎日接している先生が、実は誰よりも化粧品に詳しいのかもしれません。そんな先生が口を揃えておっしゃるのが、「肌の自然な状態を大切になさい」ということ。どんなに有効な化粧品だって、肌の自らの美しさには勝てません。そこで、肌の状態を良くしてくれるグッズをそれぞれ紹介していただきました。
岡崎先生のお勧めは、プラセンタ。胎児を育てる強大なパワーをもつ胎盤は「人間にとって足りないものを補い、過剰なものを抑える」総合的な働きがあります。美白から消炎、老化防止までさまざまな効果 が謳われるのはそのため。ちなみに天然成分ゆえ製品によって有効成分や安全性の差が大きいため、先生はスノーデン社のプラセンタを推薦しています(プラセンタについては、
成分マニュアル〈2〉
に詳しくあります)
中山先生からは「アレルギーのある人は、徹底的にアレルゲンを除去した生活をすれば肌は元通りになる」という先生の理論をもとに商品開発された「アクセーヌ」化粧品。
化粧品そのものがアレルギーをおこさないのはもちろん、衰えたバリア機能を修復し、しっとりとしたすこやかな肌をつくります。写真の敏感肌用ALラインのほか、超敏感肌用ADライン、大人のニキビ用ACラインがあります。
writer's eyes
今回悩んだのは、「安全ってどういうこと?」という定義。安全というからには、反対の「危険」という定義もあるわけです。そこで、3月末には「危険な化粧品〜化粧品アレルギー」について特集を組む予定です。こちらもお楽しみに。
(
もりたじゅんこ
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取材協力
岡崎敬得先生
中山秀夫先生
シャトー高輪クリニック、医療法人社団有夢会高輪クリニック院長。西洋医学、東洋医学、民間医療などに精通し、体全体のバランスを考えたジェネラルな「補完医療」体系を構築。
中山皮膚科クリニック院長。皮膚のアレルギー、抗原除去に精通。これまでに多数の新アレルゲンを発見、また黒皮症、アトピー性皮膚炎などの抗原除去のためのシステムを開発。
アクセーヌ/フリーダイヤル0120-120783
参考文献
『暮らしの中の皮膚障害』中山秀夫監修 第一法規出版
『化粧品成分用語辞典2001』鈴木一成監修 中央書院
『化粧品の安全性等に関する調査』東京都生活文化局消費生活部
『さわってほしい肌になる』岡崎敬得 エイチアンドアイ発行
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