2001.3.9号




あなたの肌は敏感ですか?ときかれ、「YES」と答える女性は今や過半数。
日本の大手化粧品会社がこぞって「センシティブ肌対応」化粧品ラインを増やしているところをみても、肌に刺激の少ない安全な化粧品が求められていることがわかります。
安全な化粧品を求めるなら、まずはその反対の「危険」を避けること!
基本に戻って、リスク回避ができているかを見直してみましょう。


合わない化粧品を使いつづけると、とんでもないことに!!

 国民生活センターへの問い合わせで毎年トップに上がっているのが化粧品についての問い合わせ。また、皮膚科での治療患者数でも、化粧品による接触性皮膚炎(かぶれ)が上位にあがっています(※ただしその病院の性格によって、患者数比率は変わります)。
 毎日肌につけるものだけに、トラブルになりやすいみたい。きれいになるために買ったもので病気になるなんて、なんだかバカみたい! 絶対に防ぎたいものです。

 化粧品による皮膚炎にはいくつか種類があります。つけた瞬間ビリビリと刺激を感じるものから、最初はなんともないのに何年も使いつづけるうちに痒くなってくるもの、紫外線にあたると反応して刺激になるものなどさまざまです。

 いちばん怖いのが、何年も使い続けているうち、ある日突然かゆくなったりブツブツができたりするもの。これはアレルゲンがついに免疫細胞から指名手配を受けて発症するタイプで、「遅延型アレルギー」と呼ばれます。
 しかも、「発症すると強い拒絶反応(アレルギー)は一生続きます(中山皮膚科クリニック院長・中山秀夫先生)」というから大変。
 アレルギーを放っておくと、黄色人種である私たちは、メラニン色素が沈着して顔がチョコレート色に変色してしまう「色素沈着型化粧品皮膚炎(旧名 女子顔面黒皮症)」になることもあります。
 どんなにひどい化粧品アレルギーでも、初期は「かゆい」「赤みが出た」など共通の症状があります。使っている化粧品に違和感を覚えたら、すぐに使用をストップするのが正解です。



そもそもアレルギーとは?

 肌というのは、外から入ってきた異物(アレルゲン)をやっつけるために抗体を作って反撃する機能を持っています。また、外界から身体をガードするための角質を、1ヶ月もかかるサイクルで作りつづけています。
 ところが化学物質による刺激を与えつづけていると、それを拒絶する抗体が生産されたり、角質が早く生まれ変わりすぎたりする「攻撃モード」の肌になってしまいます。そうすると、肌表面が炎症をおこして痒くなったり、ぶつぶつができたり、表皮や角質が厚くなって乾燥肌になったりします。これは精神的にも不快です。



ステロイド治療は「???」

 そして、アレルギーで皮膚科や薬局に駆け込むと渡されるのがステロイド外用剤。これをつけると、かゆみや湿疹がウソのように消えるのです。でも忘れないで。アレルギーというのは原因となる物質(アレルゲン)があるからこそ発生するもの。それを除去しない限り、いつまでたっても治りません。まずは、アレルギーとなる原因を特定するのが先決です。
(しかも顔面の場合、ステロイド外用剤は“魔法のように治るけど、塗り続けると依存症になりやめると皮膚炎がひどく悪化する”という怖い性質を持っています。あまりに症状がひどいときは確かに助けられるけれど、根本解決にはなりません)



こころあたりのある人はパッチテストがいちばん

 合わない化粧品があるな、という人は皮膚科でパッチテストをするのがいちばんです。
パッチテストとは、アレルギーを起こす可能性がある物質を背中に48時間貼り付け、その後3回経過を見るというもの。
 ただしこのパッチテスト、虫歯を治すのと同じくらいの覚悟がいります。だって、アレルゲンを2日間もカラダに貼り付け、その後経過診断のために計4回も診察をうけないといけません。
 というのも、アレルギー反応がゆっくり出ることが多い化粧品アレルギーは、“テストをした2日後はなんともないのに、1週間目には赤みが出ていた・・・・・・”なんてことがあり得るのです。「アレルゲン検査で怖いのは遅く出てくるアレルゲンに気づかないことです。それによってアレルギーは悪化することがあるのですから。だから私の医院では、7日目まで通院する必要性があることをお話し、それで原因を見つけてなおしたい、という方のみに実施しています」(中山皮膚科クリニック院長・中山秀夫先生)とのこと。
 逆にいえば、二の腕にチョチョチョッ、と化粧品をつけて2日後に診察、ハイ終わり!というのは、化粧品アレルギーに関しては危ない診断、ということ。検査をする人ははじめに方法を確認しておきましょう。



成分ノート、作ってみませんか?

 そうはいっても、8,000種類もある化粧品の全ての成分をテストすることはできません(ふつうは“化粧品シリーズ”という、よくアレルギーを出す化粧品成分を貼ってテストします)。また、肌は不調だけどテストをするほどの気合はない、という人もいますよね。そんな方におすすめなのが、「化粧品成分ノート」をつくること。
 用意するものはいらないノート1冊。それに、化粧品の外箱の成分表示部分を切り取ってぺたぺた貼っていくのです。「調子のよい化粧品」は1ページ目から貼り、「ちょっとカユかった」ものは後ろのページから、などルールを作るといいでしょう。そうすれば、合う化粧品と合わない化粧品の成分の違いが特定しやすくなるかもしれません。全成分の表示がされるこれからだからこそできる工夫です。(シャンプーや外箱のない化粧品は、合わない場合のみ手書きで書き写しましょう。ルールは簡単なのが長続きするコツです)。



ドクターにきく、アレルギーの可能性が少ない化粧品選び

アレルギー発症予防には、身体の中の抗体が「攻撃モード」にならないようなコスメライフを送るのがいちばんということ。具体的に、アドバイスをうかがってみましょう。

1. 肌の弱い人は国産メーカーor日本独自処方のものを選ぼう
   同じ成分でも、その作り方や精製度によって、肌への刺激度はさまざま。また「全成分表示 後編」特集のときにもお話しましたが、「香料」というのは実に6,000種類があって、その中にはアレルゲンになりやすいものもあります。だから本当のことをいうと、同じ成分表示でも、こっちの製品なら大丈夫で、こちらのメーカーのものはかぶれる、ということが起こり得ます。
 日本では、「ガイドライン」方式といって、アレルゲンになりやすい香料成分を排除しているメーカーが多いのですが、逆に、フランス、ロシア、イタリア製品は、日本に比べ無頓着なことが多い様です。さらにいえば、「香料」成分が入っていないものを選ぶのというのも1つの選択でしょう。
 
2. 正体不明の天然成分は避けよう
  「自然派化粧品」「天然植物成分配合」といった謳い文句は魅力的ですが、植物だから安心というのは一種の盲信。マンゴーやキウイを食べて口がかゆくなったり、うるしでかぶれたりというのだってアレルギー。天然成分は実はかなりアレルギーを起こすものがあって、肌に安全とはとてもいえないのです。
やみくもに「化学はダメ! 植物なら安全!」と言い切っているメーカーの製品の中には、かなりかぶれるものがあることを知っておいたほうがいいでしょう。
 
3. 化粧品の用途や使用法はしっかり守って
  「ケミカルピーリングをしたかった」といってパーマ液を顔全体につけ、真っ赤に腫れあった顔で来院された患者さんもいるそう。「マユゲを染毛剤で薄くする」「アロンアルファでひび割れを直す」など自己流ワザはハイリスクだと心得て。
また、今流行りのレチノールやかんきつ類の植物エキスなどは、紫外線に当たると変質してトラブルのもとになりやすい。買うときに「夜専用」と言われたら、忠実に守って。

ハッキリ言ってアレルギー以前の問題だけど、意外に多いトラブルなのだそう。
 
4. 肌に合う化粧品を
   肌が弱っているときは、外からの異物をシャットアウトしようと、余計に肌は「攻撃モード」になる。そんなときに「真皮への浸透を高めた新美白成分」などを使おうものなら、一時的であれ、炎症を起こしかねない。新製品大好きでいろいろトライするのもいいけれど、肌が弱っているときは刺激の少ない製品にぱっと切り替える臨機応変さも大切。


もりたじゅんこ) 

writer's eyes
こういった特集を組むと悲観的になりがちですが、今回はうれしさをかみしめました。コスメティクス先進国の日本は、安全性も世界一だったのです。さらにこれからは、製法や原料についてもっとわかりやすい説明がなされるような国になってほしいですね。

監  修/ 中山秀夫先生
中山皮膚科クリニック院長。皮膚のアレルギー、抗原除去に精通。これまでに多数の新アレルゲンを発見、また黒皮症、アトピー性皮膚炎などの抗原除去のためのシステムを開発。
   
参考文献/ 『暮らしの中の皮膚障害』中山秀夫監修 第一法規出版
『化粧品の安全性等に関する調査』東京都生活文化局消費生活部
   
参考サイト/ 病院の選び方/中山皮膚科クリニックをはじめ、パッチテストに強い全国の25医院の紹介)
http://www.nikkansports.com/news2/health/10/he10_menu.html
平松皮膚科医院/患者さんの皮膚病の発生順位ランキング
http://www002.tokai.or.jp/hiramatu/hifuk/hihindex.htm



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