2001.7.13号



梅雨明け前からの猛暑な日々との戦い。今年の夏は、暮明けが早かったように感じます。そこで気になるのが汗とそのニオイ。「汗をかくのはイヤだ」なんて思っていても、汗は健康のバロメーター。しかもどんなにケアをしても汗にニオイはつきものです。「常に清潔にしておく」という方法しかないというのも本当のところ。さらに、「汗とニオイ」と聞いてピンとくるのが「ワキガ」。
なかなか自分ではわからないというのも大きな問題のひとつですよね。そこで、今回は汗が出るメカニズムと、そのケア方法、誰にも聞けない「ワキガ」についてじっくりお勉強してみましょう!


 汗の種類とメカニズム

発汗は、体温調節のために行なわれるわけですが、ひとくちに「汗」と言っても、人間の身体から発する汗は1種類ではなく、その作られ方も成分も全く違います。そこで、汗の種類とその成分について調べてみました。

★汗は汗腺から排出される
・汗腺には、エクリン腺アポクリン腺の2種類があります。

エクリン腺
普段私達が「汗をかく」というときの汗はこのエクリン腺からの汗のこと。体温調節には必要不可欠な腺で、唇やツメなどを除いたほとんどの部分に存在します。エクリン腺は身体全体にあるわけですが、その数には個人差があり、少ない人で200万個、多い人で500万個、平均して約350万個あるといわれています。これらのエクリン腺すべてが一斉に汗を出しているわけではなく、実際に活動している汗腺は約半分(これを能動汗腺と言います)。

アポクリン腺
身体のごく限られた部分にのみ存在する汗腺。ほとんどはワキの下にあります。アポクリン腺の数は同じ人間でも人種や個人によって差があるようです。肉眼で確認できるほど大きく、日本では、別名「大汗腺」と呼ばれています。アポクリン腺から出る汗は体温調節とは関係なく、体臭の要因となる成分。「ワキガ」の原因と言われるのはこのアポクリン腺からの汗です。

ところで『発掘!あるある大辞典』、皆さん見ましたか?

7月8日放送の『あるある大辞典』によれば、今の時代、家でも会社でも、通勤の電車内でもエアコン設備は完璧に整い、私達はどんどん「汗をかかない環境」に慣れてしまっていますよね。このような環境によって、脳から発汗指令が下されているのにもかかわらず、能動汗腺の働きはどんどん鈍っているというのが現状なのだそうです。発汗しなくなるということは身体の温度調節が行なわれていないということ。そのようなことによって自律神経の働きが衰える(これ、新クーラー病と言うそうです)という怖〜い検証結果も出ているというのですから注意したいですよね。詳しくはHPで♪
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/

・2つの汗腺から出る汗の成分
エクリン腺の汗 → ごく少量の塩分を含んでいますが99%以上が水。サラサラしてます。
アポクリン腺の汗→ 塩分は少ないかわりに、タンパク質、脂質、アンモニア、色素など多くの複雑な成分をたくさん含み、少し粘り気があるのが特徴。


★汗の種類もいろいろです。
暑いときや運動した後など、私達は汗をかきますが、この多くは先に述べたようにほとんどがエクリン腺から分泌される汗。これを「温熱性発汗」といいます。
また、緊張したりドキドキした時にかく汗、これを「精神性発汗」といい、主に手のひらや足の裏、ワキの下など局部的にかく汗です。
さらに、辛いものを食べたりした時に額や鼻などにかく汗を「味覚性発汗」といいます。

★汗が匂うのはどうして?
汗自体は弱酸性無色の液体。もともとニオイもありません。ではどうして汗はニオイを放つのでしょう? それは、汗が皮膚表面にある皮脂やアカなどに含まれる様々な菌によって分解されるからなのです。



 汗で気になる「ワキガ」

汗について少し詳しくなったところで、いよいよ汗のニオイ、そして「ワキガ」についてお勉強です!体臭から汗のニオイまで多くの著書を発表し、ワキガ治療などでも大変有名な東京・新宿の「五味クリニック」五味院長に詳しくお話を伺ってきました。

★汗のニオイとワキガ臭は違う
「日本人は清潔好きであり、身体のちょっとしたニオイにも敏感なため、健康的な汗のニオイも嫌われてしまうという傾向にあります。」また、五味先生は、「ワキガ体質の人は、同時にワキの下にたくさん汗をかくことが多いようですが、ワキの下にたくさん汗をかくからといって必ずしもワキガとは限らない」とも。
自分の体臭が本当に周囲の人々に訴えるほどの強い匂いなのかどうか、実はその本人にはわかりにくいというのがまた悩みどころ。「誰しも自分のニオイには慣れてしまうものですからね。」
では、どの汗がワキガの汗で、どの汗がいわゆる普通の汗なのでしょうか?
自分で簡単に見分ける方法を教えていただきました!

★もしかして…?そう思う前に自己診断♪
これがすべてというわけではないにしろ、悩む前に自己診断をしてみるのもオススメ。五味先生推奨の自己診断方法を紹介します!

(1) 耳アカが柔らかい
強いワキガ体質の人では100%の人の耳アカが湿っているとのこと。
これは、耳の外耳道にはエクリン腺が存在しないことから言えることだそうで、つまり、耳は本来「汗をかかない場所である」ということ。それなのに湿っているということは、特別な耳の病気がない限り、もうひとつの汗腺、つまりアポクリン腺からの汗で湿っているのだということになります……! この場所に多数のアポクリン腺があるということは、身体の構造上、ワキの下にも多数のアポクリン腺がある=ワキガ体質であるということになるのです。

(2) 下着やブラウスのワキ部分に色がつく
特に白い下着やブラウスなどのワキ部分が黄ばんだり黄緑色に変色したりしていたらワキガである証拠。この変色の原因はアポクリン腺の分泌液に含まれる鉄分やリポフスチン色素という名前の色素。ただ、市販の制汗剤による場合もあるので要注意。

(3) ワキ毛が比較的濃い
アポクリン腺はエクリン腺と違い、必ず毛根に一致して位置しているということから、ワキの下にどれだけ毛穴があるかというのも的中確立の高い確認方法です。ひとつの毛穴から2本の毛が生えていたりする場合もアポクリン腺の数が多いと考えられます。

(4) 遺伝関係がある
ワキガ体質は遺伝し、親がワキガ体質である場合、子供に3割程度遺伝するということがわかっています。

(5) ワキの下の多汗
ワキの下が、精神的な緊張や気温の変化に関係なく、比較的常時湿っていればワキガ体質である確立が高くなります。

★五味先生に聞いた! ワキガに関するいろいろ
ここまでお話しても、まだまだ「ワキガ」に関する疑問や質問は後を絶ちません。皆さんに代わって伺ったことをご紹介します!

ワキガの原因になるアポクリン汗腺からの汗。アポクリン腺はなくならないの?
アポクリン腺にしろエクリン腺にしろ、人間の汗腺の数は増えることも減ることもありません。ただ、その分泌が盛んになることで「大きく発達」していくとこはあります。アポクリン腺の分泌は主に男性ホルモンの刺激によるのですが、女性の場合、特に15〜16歳頃(生理が始まって3年後位)、つまり男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れ始めた頃が、その分かれ道と言えるかもしれません。遺伝の場合はこの限りではありません。

ワキガになりやすいのはどんな人?
やはりバランスの悪い食生活を送っている人は要注意ですね。現代人のアポクリン腺は大きいようなのですが、これは肉を中心とした食生活にあるようです。肉食が多くなればアドレナリンの分泌量が増えるわけですが、これがまたアポクリン腺の分泌をも高めていきます。

ワキガに効く入浴方法ってありますか?
笹風呂、酢風呂などいくつかの効果的な方法があります。そのなかでもオススメなのが「マコモ風呂」。「マコモ」とは、川や沼に生息するイネ科の植物。マコモに含まれる黒穂菌(くろほきん)という微生物が汗やアカなどの腐敗物質を分解。「お湯の色は真っ黒になるのですが、これを一度浴槽に入れればお湯を取り替えなくても清潔を保てますよ。消臭効果もあるので市販の粉末で試してみてください。[マコモ研究所:0423−74−2563(高野様方)]


★ニオイの治療は悩みの治療・・・!
皆さんは、ワキガになってしまった人が常に抱えている「心の病」ということについて考えたことがありますか?「自分のニオイが周囲に不快な思いをさせているのではないか?」また、「嫌われるのではないか?」など、気にすれば気にするほどに汗が吹き出て、またニオイも強くなってしまう。五味先生のクリニックに通う人のほとんどが、ワキガであると同時に心の病を抱えているそうです。「ワキガに悩む人のほとんどは、基本的に真面目な性格な人に多いようですよ。だって、勝手気ままな人は悩むなんてことないでしょう? ワキガ、ことに多汗は気にしなくなれば正常に戻るんです。だって、体臭に悩む無法者なんて見たことも聞いたこともないでしょ?(笑)」まさにその通り。
「ワキガはアポクリン腺を取ってしまえば100%治りますが、解決方法はそれだけではないのです。心の病も取り去らなければ、解決したとは言えないのです。」

ご注意!制汗剤やスプレーの使用方法を見直しましょう!
汗を抑えると言えば、最も手っ取り早いのが制汗スプレーや制汗パウダー。最近話題になっているのが某大手化粧品メーカーから発売されている「銀」が主成分の殺菌タイプ。
毛穴や皮膚上にある様々な雑菌を除去するパワーが強いということで話題になっているのですが、あまり頻繁に使いすぎると思わぬトラブルも! というのも、肌にはどの部分にも様々な菌が存在し、中には外からの悪玉菌をやっつける働きをしてくれる善玉菌がいます。頻繁に殺菌することによって、これらの善玉菌までを滅菌している可能性があるからです。制汗スプレーや制汗パウダーは、日中使用したら必ず夕方にはキレイに落とす、これを心がけて!

洋服の汗とニオイの対策は?
洋服についた汗とニオイは基本的にはこまめにお洗濯。でも、そんなに頻繁にクリーニングできないものについては、帰宅後すぐにスチーマーなどで汗のニオイを飛ばしてしまうのも手です。最近ではあのイヤな洗濯臭(湿気のニオイ)対策として抗菌効果のあるランドリーウォーターなども市販されていてとっても便利♪
ラベンダーやミントなど香りも選べるものが増え、アイロンかけの時にスプレーするだけでもずいぶん違いますよ。ドラッグストアなどで入手可能。ぜひ試してみてください!

汗は「フェロモン」なり!
アポクリン腺から出る汗はワキガの原因になることは確かですが、100%悪モノというワケではなさそうです。よく「フェロモン」という言葉を耳にしますが、このフェロモンの正体は実はアポクリン腺の分泌物。よく動物同士が互いのニオイを嗅ぎ合ったりしますよね。こんな具合に、動物の世界では「権力誇示」に最も効果を示すそうです。古くは人間も同じでした。かの楊貴妃が絶対的権力を持ちつづけられたのも、このフェロモンがあったからこそだという説もあります。(とは言っても、やはり日本人にはあまり好まれませんね。) 
また、こんな話もあります。多くの女性が愛用する香水というアイテム。古代ギリシャの時代に始まり、フランスなどヨーロッパを中心として世界に流通するようになったのですが、古くは動物性香料、つまり動物の「フェロモン」が香水の原料として使われていました。
身体のニオイは誰しも気になるものですが、ちょっとのニオイならもう気持ちの持ちよう……かもしれませんよね?

心の優しい人は汗っかき!?
五味先生から伺った話の中には、ユニークな検証結果もたくさん。ここで言う「心の優しい人」とは、常に周囲に目を配り、人に気を遣うタイプの人。そういう人のほとんどは、緊張による発汗「精神性発汗」が起こりやすいというもの。「汗っかきに悪い人はいない」。どうですか?
出会いの参考になるでしょうか…?



根本 ゆみ) 

writer's eyes
汗のニオイって気になりだすともうどうにもイヤでイヤでしょうがない。そんな感じですよね。 でも、人間の自然な新陳代謝として、少なくとも1日に800〜900cc(!)の汗をかくそうですから、汗はやっぱり健康のバロメーター。イヤがってばかりはいられません。精神的なものとの関わりも深いと知ればなおのこと、前向きに対処していきたいですよね。

■取材協力/ 五味 常明先生〜「五味クリニック」院長
日本心療外科研究会代表。昭和大学医学部卒業後、昭和大学形成外科、多摩病院精神科などを経て「心療外科」という新しい医療分野を提唱。より確実なワキガ手術法を研究し、独自の手法を開発。著書にはハート出版刊『もう汗で悩まない』、『体臭・多汗の正しい直し方』、介護臭に焦点をあてた『介護・匂いで困っていませんか』など。

先生のホームページでは、「ワキガ」に悩む方向けのQ&Aコーナーが大充実。ぜひのぞいてみてくださいね。こちらです♪
http://www.gomiclinic.com/


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