2001.8.3号
「医食同源」といわれるように、食事は養生の大切な要素。その代表的な料理として「薬膳」への注目が高まっています。では、「薬膳」とは具体的にどのようなものなのでしょう。
食事によって身体のバランスを整え、健康体へ導いていく
なんとなく身体がダルかったり、疲れやすい、食欲がない…、そのような状態が続くと結構ツラいものです。そんな半健康状態を中医学では「未病」と呼びます。人の身体は気
(*1)
・血
(*2)
・水
(*3)
の3つの要素から成り立っており、健康な人であれば、この3つが身体全体をスムーズに巡っていると考えられています。ところがストレス、過労、運動不足などにより、それらの流れが乱れて気血水が不足したり(虚証)、過剰で滞ったりすると(実証)
(*4)
、冷え性、倦怠感、低血圧、のぼせ、イライラなど身体のさまざまな変調が起こることに。中医学では、このような未病の段階で適切なケアを行い、健やかな状態に導いていくことを重視しています。そのための養生のひとつに「食事」があります。
*1
気:生命を維持するエネルギー
*2
血:身体の各臓器や器官に栄養を与え潤す物質
*3
日常の生命活動を支える体液
*4
体質を表す虚・実
虚証:やせ型、水太り型。顔色青白い、胃腸が弱い、下痢気味、疲れやすいなど
実証:がっちり型、顔色赤味が強い、胃腸が丈夫、便秘気味、疲れにくいなど
中国では古代、周の時代に食医、内科医、外科医、獣医の制度がありました。その中でも食物で病気を予防(食養)、もしくは治療(食療)する医師が名医であるとされ、食医の地位が高かったといわれています。また、庶民の間でも生薬入りの料理を作って季節の変わり目に食べ、体力をつける習慣があったようです。昔から「医(薬)食同源」、つまり「薬と食物は本質的に同じもの」といわれるほど食事が重要視される中で、薬膳は生まれるべくして生まれたといえるでしょう。食材の持つ特性を生かし、自分の体質に合わせて採り入れ、健康管理をするという薬膳の考え方は、今も中国の人々の食生活にしっかり根づいています。
薬膳の第一歩は自分の体質、食材の性質を知ること
薬膳は独特な味がする、なんだか難しそうというイメージを持つ人が多いようですね。それは薬膳の中でも病気治療を目的とし、生薬を使うことが多い「食療」のイメージが強いからかもしれません。本来、薬膳は中医学の理論に基づき、その人の体質や体調を見極め、生薬や食材の組み合わせにより、それらの薬効をいかに高めるかが重要になってきます。そのような食療となるとおいそれとはできませんが、身近な食材の持つ特性を知り、季節や体質、体調に見合った食生活を心がけることなら、私たちにもできるのではないでしょうか。それが薬膳の第一歩といえるでしょう。
食材の五性
食材の持つ特性の中では、陰陽五行説
(*5)
に基づいた「五性」と「五味」が大切な要素。五性とは寒・涼・平・温・熱の5つ、もっと大きくは身体を冷やし、鎮静、消炎作用がある「寒涼性」、身体を温め、興奮作用をもたらす「温熱性」、その中間となる「平性」の3つに分類されます。ふだんの食事は全体で平性になるよう、バランスをとることが大事。夏でも冷えるからといって、身体を温める性質のものばかりでは、かえってバランスを崩します。冷えがツラいならなるべく身体を冷やす食物を控えるなど、体質に合わない性質の食物は少量にするよう心がけましょう。
寒・涼
平
温・熱
なす、キュウリ、トマト、きのこ類、わかめ、もやし、メロン、緑茶、牛乳など
米、ごま、山芋、大豆、キャベツ、ニンジン、じゃがいも、りんごなど
牛肉、羊肉、ショウガ、ニラ、にんにく、玉ねぎ、かぼちゃ、黒砂糖、もち米など
*5
陰陽五行説
宇宙の万物はすべて相対する「陰」と「陽」の性質を持ち、それらがさまざまに作用し合って、自然と宇宙の営みが成り立っていると考える、古代中国の哲学が「陰陽論」。そこから生まれた「木・火・土・金・水」の5要素が季節、味覚、感情、色などすべてを支配し、それぞれが影響し合って全体の調和をとっていると説くのが「五行説」。
食材の五味
食物を「酸、苦、甘、辛、鹹」の五味に分類したもので、五行説では各臓器と深く関わりを持っていると考えられています。また、あんこの隠し味に塩を少々というように、五味の中でも最適の組み合わせによって、効果やおいしさが最大限に引き出されます。
五味
関連臓器
作用
酸
(すっぱい)
肝
筋肉などを引き締める収斂作用がある。
下痢や寝汗に効果的。
甘味を添えるとよい。
苦
(にがい)
心
消炎作用や固める作用。出血や下痢に効果的。
辛味を添えるとよい。
甘
(あまい)
脾
緩和と滋養、強壮の働き。鎮痛によい。
塩味を添えるとよい。
辛
(からい)
肺
温め発散する作用。カゼなどによく、発汗を促す。
酸味を添えるとよい。
鹹
(塩からい)
腎
軟化作用と潤す働き。お通じをよくする。
苦味を添えるとよい。
おいしくて手軽にできる夏の薬膳料理
さて、みなさんはこの猛暑で夏バテになっていませんか?夏はどうも食欲がないからといって、あっさりしたものばかり食べていると、スタミナ不足になりかねません。そこで薬膳料理研究家の日下雪美(くさかゆきみ)先生に、夏バテや冷房病、また美肌づくりにぴったりの薬膳料理を教えていただきました。
●豆鼓炸醤麺
(トージ入りジャージャンめん)
豆鼓(トージ)は中国風納豆のようなもの。解熱、消炎、解毒、鎮静、健胃整腸、鎮咳などその効用はいろいろ。うどんのツルツルとしたノドごしのよさと、濃いめのみそ味が食欲をそそりますよ。
材料(4人分):
豆鼓大さじ2、豚ミンチ300g、長ねぎ1/2本、ショウガ少々、にんにく1、2片、赤だしみそ300g、三温糖少々、サラダ油大さじ5、野菜(キュウリ、キャベツ、セロリ、ニンジンなど冷蔵庫にある野菜適量 )うどん玉4玉
作り方:
(1)
豆鼓を洗い、硬い場合は水につけて軟らかくする。
(2)
鍋にサラダ油を入れ、小口切りにした長ねぎ、みじん切りにしたショウガ、にんにくを炒め、香りがでてきたら豚肉を加える。
(3)
肉の色が変わったら(1)の豆鼓を加え、次にみそを入れてよく炒める。
(4)
ゆでたうどんを器に盛り、千切りにした野菜と(3)を大さじ2くらい乗せれば完成!
●冬瓜
(トウガン)
とハトムギの煮もの
冬瓜は、はるさめとともに、のぼせを下げます。ハトムギは水分代謝を促し、むくみを防いだり、ニキビや吹き出物を改善。便秘にも効果的です。冷えが気になる時はねぎ、ショウガなどの薬味をプラスします。
材料(4人分):
ハトムギ40g、鶏肉300g、はるさめ20g、冬瓜1kg、干ししいたけ10g、にんにく1個、ねぎ、ショウガ各少々、塩、酒、ごま油少々
作り方:
(1)
冬瓜を4つ切りにし、皮と種とワタを取り、3cm角に切る。冬瓜がない時はキュウリでも可。
(2)
しいたけは水にもどしていしづきを取り2cm角に切る。はるさめはゆでておく。鶏肉を2cm幅、長さ4cmにカット。ねぎはぶつ切りにし、ショウガとにんにくは薄切りに。
(3)
ハトムギを洗い、ひと晩湯に浸けておいたものに水3カップを加え、2時間ほど煮込む。
(4)
(3)にすべての材料を入れ、しいたけの浸し汁を加え、水をひたひたにして煮込む。
(5)
やわらかく煮えたら味つけをし、水ときかたくり粉で好みのとろみをつけ、ごま油を少したらして出来上がり!
※食材はデパート、スーパーなどの中華材料コーナーで入手できます。
薬膳によく登場する素材例
薬用人参
(ヤクヨウニンジン)
不老長寿の霊薬といわれる。気を補い、細胞の働きを高め、食欲不振などを改善。
桂 皮
(ケイヒ)
くすのき科の植物の樹皮。気の巡りを高め、殺菌作用や腸のぜん動運動を促進する。
陳 皮
(チンピ)
ミカンの果皮。滞っている気・水の巡りをよくし、むくみを防ぐ。また消化不良、食欲不振を改善する働きもある。
紅 花
(コウカ)
キク科の紅花。血行をよくし、生理を順調にする女性の妙薬。
もっと手軽に薬膳を。ユーシアの「滋養スープ」
身体によくて、おいしく味わえる薬膳なら取り入れてみたいけれど、やっぱり毎日のこととなると大変そう・・・。そんな方のために、もっと手軽で、しかも「良薬口にうまし」の薬膳スープをご紹介しましょう。
真の美しさを得るためには、外側から働きかける化粧品だけでなく、内側からのケアも重要と考え、心身のバランスを整えるトータルケアを提案しているユーシア。そのユーシアからインナーケアのひとつとして、薬膳の考え方をもとに生まれたのが「滋養スープ」です。
ユーシア 滋養スープ<虚>
190g×6缶 1,300円
○主な配合材料
薬用人参、フカヒレ、鶏肉、ショウガ、干ししいたけなど
ユーシア 滋養スープ<実>
1
90g×6缶 1,300円
○主な配合材料
レンコン、貝柱、昆布、ハトムギ、ショウガなど
*上手な飲み方 基本的には朝昼晩1缶ずつ
滋養スープは、薬膳料理研究家の日下雪美先生の処方による本格派薬膳スープ。毎日の食卓に手軽に、しかも効果的に薬膳を加えることができるのが魅力です。種類は<虚>、<実>の2タイプ。<虚>は温性の食材をメインに身体を温め、エネルギーを補う鶏ガラベースの薬膳スープ。<実>は涼性の食材をメインに、身体の水分代謝を促して水滞を防ぐ、貝柱・昆布ベースの薬膳スープ。<虚>は疲れやすい、冷え性、気力がないなど虚体質の方に、<実>は肩こり、生理痛、のぼせ、イライラなどが悩みの実体質の方におすすめです。
気になるお味は?さっそく試してみました!
お味はさっぱり、後味すっきり!ちょっと拍子抜けするくらい、薬くさいという感じはほとんどありません。しかも、カップに移してレンジで温めるだけの手軽さ。愛飲されている方からもおいしい!簡単!と好評のようです。さらに、便秘がよくなった、身体があたたまる、冷房の中でも平気になったなどという声が続々。ちなみに私は食欲のない朝に滋養スープ<虚>を1杯。身体がジワッと温まり、エネルギーがググッとわく感じがします。忙しい朝やランチに夜食に1本プラスするだけで、食の質もグンとアップするはず。薄味なのでお好みで調味料を足したり、あなた流のアレンジ料理も手軽にできますよ。
ところで、気になることがひとつ。たとえば虚体質の人が<実>を飲むとどうなるのでしょう?PR担当の三輪さんに伺いました。「薬膳としての効果ということでは、プラスにもマイナスにもなりません。栄養になると考えていただければ。でも厳密にはやはりその方の体質に合ったタイプがおすすめです」。あくまでも自分の体質に合った方をベースに、その時々の体調により、もうひとつも取り入れてみる、そんな風に工夫してみるのもいいのかもしれませんね。
さて、最後にこの滋養スープを使った簡単レシピをご紹介します。
●薬膳おじや
材料(2人分):
ご飯茶わん2杯分、セロリ1本、しいたけ2枚、ショウガのしぼり汁小さじ1/2、だし汁500cc、滋養スープ1本、塩小さじ1/2、しょうゆ小さじ1/2、白ごま適量
作り方:
(1)
セロリとしいたけを細切りに。ショウガはすりおろしておく。
(2)
鍋にだし汁と滋養スープを入れて火にかけ、ひと煮立ちさせたらセロリ、しいたけ、ショウガのしぼり汁を入れる。
(3)
(2)にご飯を入れ、塩、しょうゆで味を整え、全体に火が通ったら、器に盛り白ごまをふる。
●薬膳焼きそば
材料(2人分):
中華揚げめん2玉、むきえび120g、ニンジン1/3本、玉ねぎ1/2個、ピーマン1個、ゆでたけのこ1/2個、中華スープ400cc、滋養スープ1本、しょうゆ大さじ1/2、塩小さじ1弱、酒大さじ1、こしょう少々、かたくり粉適量、水溶きかたくり粉(大さじ1+水大さじ1と1/2)
作り方:
(1)
えびは背わたをとり、きれいに洗って水気をとり、調味料(酒大さじ1/2、塩・こしょう少々)で軽くもみ、かたくり粉を薄くまぶしておく。
(2)
鍋に中華スープと滋養スープを入れて火にかけ、野菜を硬いものから順に入れて煮る。最後にえびを加える。
(3)
全体に火が通ったら酒、しょうゆ、塩、こしょうを入れて味を整え、水溶きかたくり粉でとろみをつける。仕上げにごま油で香りづけをする。
(4)
器にめんを盛り、(3)のあんをかければ完成!
滋養スープをきれいねネット会員10名の方に
特別プレゼント!
きれいねネットでは、この「滋養スープ<虚><実>」を、各5名合計10名の会員の方に特別にプレゼントいたします。あなたも滋養スープを試されるチャンス!みなさん、どしどし応募してくださいね。
8/31をもちまして、受け付けは終了しました。
たくさんのご応募ありがとうございました。
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ユーシアのホームページ
http://www.yuxia.com
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お問い合わせ先:0120−135−275
(いのぐちあきこ)
writer's eyes
この夏、わが家の小さな庭は大豊作!
トマト、ミニトマト、じゃがいも、ピーマン、ナス、トウモロコシ、そして、小玉スイカまで。
私はもっぱら食べる人ですが、それでも、スーパーに並んでいる野菜と比べて、愛着度がぜんぜん違うんです。
味わうときも、「おいしいよ!いつもありがとう」なんて声をかけながら(笑)。
もしかしたら、こういうことが本当の意味での薬膳なのかもしれませんね。
■取材協力/
ユーシア
■取材協力/
薬膳料理研究家・日下雪美先生
上海中医薬大学で中医学を学んだ後、薬膳研究家として著名な陳東達先生に師事。中国伝統医学と栄養学に基づく薬剤師として、薬膳の研究を行なっている。日本人の味覚に合った「良薬口にうまし」がモットー。
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