2001.8.24号




「体にいいものは美味しい」という言葉、聞いたことありますか?言い換えれば、体が欲しているときに食べた食物は、何にもまして美味しく感じ、またそれらは肉体を維持し、動かしていくだけのエネルギーを作るために、その時どうしても必要なものだからなのだそう。
さて、そんな美味しいものの陰には、ある食材が存在しています。それは一流料理人たちが総じて口にする“料理で一番大切なもの「塩」”。とはいえ塩にもいろいろありまして…。「天然塩」と呼ばれる塩の鉱床からとる岩塩や、海水から作る自然海塩、それから人工的製造による「化学塩」。料理人をはじめその魅力の程を知る人の選択はやはり、天然塩の中でも海水の成分、とりわけ貴重なミネラルがそのまま残っている自然海塩ということに。もちろん、これもケース・バイ・ケースの話ではありますが。
ところで海の塩といえば、かつて当サイトでも特集を組んだタラソテラピー(SPA SPECIALvol.2 vol.3)を思い出しませんか?海水や海の気候を利用したこの自然療法はまさに、体の外からミネラル(自然海塩の含有成分)を補い、またリラクゼーション効果もありましたよね。思えば塩は、口から採り入れる他に、さまざまな利用法があります。たとえばマッサージや歯磨き、入浴剤などなど。そこで今回は「塩とヒトのE関係」を、塩に魅せられた専門家の話を交え、紐解いてみます。


今まで何を食べてきたのだろう?

「10年くらい前の話ですか?タラソテラピーという言葉に魅せられて…」と、ちょっと照れくさそうに語りだしたのは、朝日新聞日曜版(96年10月6日)のある特集記事がきっかけで、塩にまつわるビジネスを97年より本格的にスタートした、株式会社アクアメール代表取締役、新美久始(にいみひさし)氏。
写真家、編集者などのキャリアを持つ氏が、目にして以来脳裏に焼き付いたという前述の記事とは、「地球『食材の旅』〜塩」。今では「サライ」別冊(同名/帰りの巻)にまとめられ、掲載されている。フランスはブルターニュ地方の塩田で作業をする職人の写真とそれに関する記事は、以前から氏が興味を抱いていたタラソテラピーとまさに一直線で結びつく。
(株)アクアメール代表取締役・新美久始氏

新美氏が扱う商品と塩のビジネスに携わるきっかけとなった新聞記事

「タラソテラピーのことを理解したくて、ちょうどその頃オープンした日本の施設(タラサ志摩)を含め、フランスはサンマロやディナールへも出向いて実際に体験したのですが、スゴイ衝撃を受けましたね。何故ならその当時悩んでいた肩の痛みがたった2回のタラソテラピーを受けただけで治ったのですよ。嬉しいやら、ビックリするやら…でしたね」
そしてまた魅了されることになったのが、今度は人間の外からではなく、内へ取り込む自然海塩だったというわけです。こうして「塩と新美氏のE関係」がスタートしたのです。

そこで氏の頭をよぎった疑問符「今まで何を食べてきたのだろう?」に対する重要なポイント、それがミネラル。ミネラルとは人間にとって必要な一群の元素をさし、この元素が栄養学では無機質とも呼ばれています。ちなみにミネラルはそれ自体がひとつの元素であるため、人間も動物も植物も、ミネラルを体内で作り出すことはできず、なんらかの方法で体内に取り込むことでしか補えないのだそうです。そして1000分の1グラムとか10000分1グラムといった「微量ミネラル」と称されるものが、なんと人間の体調を大きく左右するのだとか。何しろ含有される92種類のミネラルの内、少なくとも24種類については生命の維持に必要不可欠な元素だというのですから。つまりはその「微量ミネラル」こそが海水、そしてそのまま自然海塩に含まれているのです。
要は、新美氏はこうした海の恵みである塩、つまり自然海塩の価値を知り、中でもポピュラーなフランス・ブルターニュの塩(「ゲランド」他)を輸入すると同時に、昨今では確実にその魅力を知る人が増えてきたタラソテラピー、その日本での更なる展開に夢を託されている様子。「日本でのタラソテラピーセンターができうる可能性?強いて言えば沖縄かな。海のきれいさ、通年遊べる、また温泉がないという意味で…」思えば沖縄もまた塩の産地でも知られているではありませんか!


参考までに・・・

「アクアメール」が輸入している最高品質の塩「ゲランドの“海の果実”」は、塩田の水面に浮かぶ小さな白い結晶を花びらを摘むように手作業で採取する希少価値大な逸品。ちなみにこの塩はこだわりのプロの料理人絶賛もの、東京では「ホテル・ニュー・オータニ」や「オザミ・デ・ヴァン」、パトリス・ジュリアン氏らによって使用されている。

  アクアメール:  http://www.aquamer.co.jp



塩の効用いろいろ

ここで新美氏が沖縄で自然塩復活の啓蒙運動を続けておられる株式会社「青い地球」代表取締役、知念隆一氏との共著「これが正しい自然塩の選び方」をもとに、「塩とヒトのE関係」をご紹介しましょう。
まず、ヒトの体液と海水のミネラルの成分比はマグネシウムを除いてほぼ同じなのだそうです。また赤ちゃんが育つ羊水もまた体液と同様、海水と同じミネラルの組成になっていることはご存知の方も多いですよね。そしてヒトは海から生まれ、進化したといわれます。だからヒトの体の中にある海から、日々の活動により汗として失われる塩を補っていかなければ、体調に支障を生じてしまうわけです。よって、自然海塩をなんらかの方法で体内に取り入れなければなりません。

例えば
ごはんを炊くときにひとつまみの塩を入れるとふっくらと美味しく炊き上がる。また自然海塩でつけた梅干しを代用しても美味しく、日持ちもする。

梅干しをはじめ漬物はもちろんのこと、野菜の炒め物をする際も、まず野菜を自然海塩の溶液に浸してから炒めると、美味しく、しかも葉の間などに隠れている虫などを取り除くことができる。

ブリなどの脂肪の多い魚の切り身の上に和紙をのせ、その上から塩をふり冷暗所に置いておくと、塩の浸透により脂肪分や水分、生臭さなどが吸収され、上品な味に仕上がる。

肉を焼く際は、焼く直前に塩をふると、肉の表面をかため、肉汁が流れ出すのを防ぐ。

などなど。

また体外からの塩の効用には

ニキビや吹き出物に悩まれている方には、自然海塩の洗顔が効果的。スプーン半分くらいの塩を手の平にとり、そこに水を少量たらしてまぜ、たたくようにしながら顔全体に広げて30秒ほどおく。粒の粗いものなら、スクラブ洗顔のような感覚で、しかも塩は水にとけるため次第に角が取れて感触もスムーズ、また水にとけることで塩がイオン化し、その機能を果たし余分な脂や水分がしみだして肌を引き締める。
*お試しになる際は、御自身の肌の状態によりご判断ください。

入浴剤として、(浴槽の大きさにもよるが)200〜300グラムくらいの塩を入れ、39度くらいのぬるめの湯をはると、長時間入浴でき、リラクゼーション効果も高まる。
*浴槽の種類によっては、ご使用を控えてください。

シャンプーとしても使用可能。ゆっくりと地肌に擦り込むように洗い、完全に洗い流すと、余分な皮脂を取り除き、抜け毛予防にも効果的。
*お試しになる際は、御自身の頭皮の状態(傷なども含めて)によりご判断ください。

美容と健康のためのボディ・マッサージとしては、塩湯に浸かって体を温めてから、小さじ2杯くらいの塩を手に取り、そこにお湯を2〜3滴たらし、体の気になる部分にもみ込むように10分ほどマッサージする。ただし毎日同じ箇所でなく、いくつかの箇所を交代で行うとよい。同様に、腰痛などの場合も腰から下へマッサージをすると効果的。なお足の裏のマッサージはどんな症状にも効くばかりか、かかとなどはすべすべに!
*こちらも御自身の肌の状態により、お試しをご判断ください。

このほかにも、歯磨きや足湯、洗眼などなど。もちろん市販のバスソルトなどもおすすめ。

こうして列挙していくと、塩の効用は驚くほどにあり、また身近な存在であるだけにその手軽感は格別。日本はもとより海外を旅する際も、フランスやイタリア、バリ(インドネシア)や韓国など現地の塩(自然海塩)を手にとってみるのも新しい楽しみかもしれません。




(りんだ) 

writer's eyes
いま思えば、フランスはブルターニュのタラソテラピーセンターへ取材に出向いた折、しばしば耳にした言葉「ここは新鮮な海水を直接引き入れることができるから、ミネラルやヨードを全く損なわない…」。彼等が力説していた訳を今更ながら納得した。まさしくピュアな自然海塩を存分に使用しているのだから。「塩って人間に必要不可欠なんだな〜」と思うことしきり。

■参考文献/ 「これが正しい自然塩の選び方」(報知新聞社) 知念隆一・新美久始共著


Copyright (C) 2001 Island Magic Inc. / kireine.net All Rights Reserved.