2001.11.2号



 暑かった夏も終わり、朝夕の冷え込みが感じられる秋到来です。夏の寝苦しさからは解放されたものの、寒さに向かっていくこの時期は、決して快眠にいい季節とはいえません。
でも、さわやかな秋だからこそ楽しめるスポーツや食べ物も、工夫次第では快眠によくきくんですよ! その秘密をお教えしましょう。



冬に向かって代謝をあげるには、スポーツが最適

「スポーツの秋」ということば、よく聞きますよね。この言葉の意味を暑さも終わり、汗をかくのにちょうどいい季節だからと軽く考えていませんか。スポーツ好きの人にはいい季節よね、でも、私は運動嫌いだから関係ないわと思っている人もいるでしょう。でも、「スポーツの秋」には、気候がいいだけではない深い意味があるのです。
「これからやってくる冬は、そもそも寒さで身体も動かないし、外で思い切ったスポーツは、しにくい季節。昼間の体温もあがりにくく、その結果、“昼は体温が上がり、夜は体温が下がって入眠する”という身体のリズムも崩れて眠りにくくなるのです。これを防ぐには、秋の今こそ、スポーツをして身体の代謝をあげ、快眠のための体力や機能を落とさないようにすることが大切なんですよ」と語るのは、眠りコーディネーターの志田美保子さん。
 つまり、この秋にしっかり身体を動かして、身体をつくっておけば冬も快眠が得られますよというわけ。この時期、しっかり運動することで、春先の花粉症などへの抵抗力がつくとも言われます。

 理想的には、やや激しいスポーツをするのがベスト。テニスや水泳、ジョギングなどを昼間や夕方にできるなら、ぜひ!
「もちろん、一年中、スポーツができるならそれにこしたことはありません。でも忙しくてなかなか…が現実でしょ。それならば、期間限定で秋には意識してスポーツをする機会を増やしてみる、冬がきたら無理はしない、そういったライフスタイルでも快眠には効果があるんですよ」と志田さん。

 ただし、今までまったくスポーツをしていなかった人が、いきなり激しいスポーツをするのは危険。たとえば、ウォーキングから始める、週1〜2回スポーツジムに行って無理のないメニューをこなすのでも、効果はあります。それも難しければ、エスカレーターはやめて階段を使う、こまめにお掃除をして身体を動かすだけでもOK。どうしても苦手という運動アレルギーの人には「お風呂に入ったときに最低20分間湯船につかる、休日にはアウトドアでハイキングや温泉めぐりなどのレジャーをする。これなら楽しみながら無理なくできるのでは」(志田さん)とのアドバイスも。せっかくの秋晴れの1日があったら、近場のショッピングよりも、旅行やサイクリングなど遠出で身体をリフレッシュすることが、快眠にもつながるわけですね。



メラトニンの多い穀類・豆類・根菜類を食べよう

 「スポーツの秋」といえば、「食欲の秋」も忘れてはいけません! 実は食べ物も眠りに深い関係があるのです。眠りを誘うメラトニンという睡眠ホルモンが、私たちの脳からは分泌されていますが、じつはメラトニンはさまざまな生物が持っている根源物質。当然、食べ物にも含まれているのです。

 「とりわけ、メラトニンが豊富に含まれているのは、穀類、豆類、根菜類です。穀類といっても白米ではなく、玄米や七分づき米や三分づき米などの分づき米がいいですね。とうもろこしや大麦にもメラトニンは多く含まれます。豆類は、納豆や豆腐、お味噌、醤油など和食のいつもの食材で十分。根菜類も煮物などに使う大根や人参がいいでしょう。また根菜ではありませんが、春菊もメラトニンが豊富ですよ」と志田さん。さらに、ビタミンB群はメラトニンの生成や吸収を助ける役割を持っていますから、ビタミンB群が多いブロッコリー、ほうれんそうなどの野菜類やまいたけ、しいたけなどのキノコ類もたっぷりとってみては。

 こういった食材を積極的に使えるメニューといえば、身体も温まる鍋物などがいいですね。味噌味、醤油味、ベースの味はどちらでも豆類はとれます。玄米や分づき米をわざわざ用意するのはちょっと面倒と思うなら、市販されている発芽玄米を白米に混ぜてたくのもいいアイデアです。白米と同じ炊き方でOKですし、玄米の割合も自分で加減できるので、最初は玄米少な目から試してみては。白米とは違って香ばしく、玄米は苦手という人でも、ごま塩を振り掛けると、おいしく食べることができますよ!



寝る前のお酒は少量でも禁物!

 秋は暗くなるのが早くなり、眠る前のひとときもゆったりと過ごせるようになります。音楽を聴いたり、本を読んだりとリラックスタイムは、快眠するにはいいのですが、気をつけたいのは寝酒。「少量でも寝る前に飲むことを習慣にしてしまうと、身体のアルコール耐性ができて、知らぬ間に酒量が増えてしまうことも。これはワインでもビールでも日本酒でも同じ。飲むなら、夕食時にとどめておいて」(志田さん)。

 お酒を飲んでほんわかしてパタッと眠ることができるのは事実ですが、こういったアルコールに頼った眠りは、結局、最初は深い眠りに入るものの、その後はリズムの狂った質の悪い睡眠となることが多いのです。翌朝の目覚めもいいとは言えませんよね。
 もちろん、「たまには寝酒」もいいでしょうが、習慣にするのは禁物。飲むならカフェインの心配がないハーブティーなど、刺激の少ないものがお勧めです。

 ストレスが多く、身体を動かす機会が少なくなっている現代の私たち。質のいい眠りは、子どもたちには心身の成長を、大人には健康や美肌はもちろん、心の健康をも与えてくれます。あなたにも春夏秋冬、心地良い眠りが訪れますように――。



(小林育子) 

writer's eyes
昨年の冬からスタートした四季の「睡眠」特集も今回で終わりです。眠りのメカニズムはもちろん、寝具の選び方から、サプリメント、ハーブティー、食べ物までとその話題はつきなかったように思います。でも、眠りって人間には本当に大切なこと。身体のリズムもできる限り自然のリズムに寄り添うことができてこそ、健康ときれいが得られるのだなと実感しました。

■取材協力/ 眠りコーディネーター 志田美保子さん
快適な睡眠を得るためのセミナー講師などを務める。眠りを通 して人を考える「パワースリープ」主宰。
著書に『今日からはじめる超快眠術』(旬報社)がある。


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