2001.12.21号




「香り」=「フェロモン」という考え方
「フェロモンの漂う女性」という響き……。とらえ方にはいろいろあるとしても、存在感や美しさ、妖艶さなど女性的な魅力をまるで総称するかのようなその表現。女性としては憧れますよね。よく、印象的な雰囲気を持つ女性を表現するときに「色香(いろか)の漂う」などと表現するように、美しさと香りは切り離せない関係にあります。なぜかというと、ずっと昔から、香りはその人(もの)の存在や権威を象徴するものだったから。例えば、動物こそ、その偉さや強さを「匂い」に求める生き物。よくお散歩中に出会ったイヌ同士が、お互いのオシリの匂いを嗅ぎ合っていますよね。動物も人間も同じ。「香り」は、「匂い」に始まり、古くから人間と密接な関係がありました。

ちょっとディープではありますが、ここでちょっと香りの起源について簡単にお勉強してみましょう。



香りの起源

200万年ほど前、人類の祖先といわれるアウストラロピテクス猿人は、生きるための食べ物を探し、その植物や動物が食べても安全かどうか、嗅覚をフルに使いながら、匂いを脳に記憶させていったそうです。匂いは15万年前になると、ヨーロッパで発掘されたネアンデルタール人の遺跡からは、死者の埋葬や祭りなど、主に宗教的な儀式に「香り」を用いていたと思われる跡(主に動物の皮など)が数々発見されたといわれています。 また、古代エジプトでは、動物のえさ、腐敗した脂肪などの悪臭のする物をわざわざ体内に取り入れ、病原を体内から追い払うという処方もあったようです。「毒をもって毒を制す」という言葉があるように、悪臭で体内の病原菌を追い出すという方法です。このようにして、香りは人類の進化とともに長い歴史を持っているのです。



香りの原料

「香水」が作られる以前は、植物の香りが主で、「乳香」(にゅうこう)と「没薬」(もつやく)があります。「乳香」は、フランキンセンス(Frank incense)、オリバナム(olibanum)とも呼ばれ2〜3mの高木植物から採れる樹脂で、ミルクのような白色をした抽出物。エジプトでは、この「乳香」を、神々への捧げものとして、祭壇で焚いたり、瞑想をする時に使用したそうです。また、化粧用や、美顔パック剤としても使用されていたと言われます。「没薬」も樹脂ですが、乳香と違って、薬品のような刺激のある香りで、ミイラの防腐剤としても用いられていたようです。また、皮膚病の治療などにも使われたという記録があるそうです。
こんなに昔から「香り」が重宝したにもかかわらず、「香水」が製品として世の中に流通したのは17世紀以降。意外ですよね。しかも、初期の香水は、その香料のほとんどが動物性原料。最も頻繁に使われていたのは、ジャコウジカから抽出された「ムスク=麝香(じゃこう)」と、マッコウクジラの体内からとれる「アンバ−」などの動物系の抽出物だったそうです。
歴史のお話はこれくらいにして……。



香水の種類

同じ香りでも、その種類によって香りが微妙に違うということはご存知でしたか? 同じお気に入りの香りでも、種類を上手に使い分ければもっと効果的に使いこなせるのですよ!

パルファム 濃度 15〜25%
持続時間 5〜7時間
香料とごく少量のアルコールを混合した最も純度の高い香り。
耳たぶの後ろにちょっとつけただけでも安定した香りが長く漂います。
オードパルファム 濃度 10〜20%
持続時間 5〜6時間
香水とオードトワレの中間に位置します。
オードトワレ 濃度 5〜10%
持続時間 4〜6時間
パルファムやオードパルファムよりも、一様に「軽い」というのが基本。
初めて試す香りはこのあたりから使ってみるといいでしょう。
オーデコロン 濃度 2〜7%
持続時間 1〜3時間
オードトワレよりもっと濃度が低く、軽いのが特徴ですが、その分アルコールの含有量も増えています。そのため、パルファムやトワレにはない揮発性の爽快感があります。メンズフレグランスに多いタイプです。




香りの変化を心得ましょう!

フレグランスは、私たちの肌の温度や時間の経過によって、ほぼ3段階を経て変化します。

トップノート 肌につけてすぐの香りで、揮発度は高く、拡散性があります。
ミドルノート 種類によって若干異なりますが、肌につけて5分くらいたつと香ります。主にフローラル系の香りなど、そのフレグランスの中で軸となる香りのことをいいます。
ラストノート 肌につけて2〜3時間後の香り。いわば「残り香」。洋服について、クローゼットから漂う香りがあるとすれば、このラストノートです。




香りの系統と「気分」の微妙な関係

メーカーによって異なるものの、香りの系統は、一般的にはフローラルノート、オリエンタルノート、シプレーノートに分かれます。更に細かく分けると、13種類にもなります。
※「 」内は商品名。( )内はメーカー。

★フローラルノート 花のエッセンスを基調にした香り
フローラルグリーン 花々の香りに、青々とした葉のようなすがすがしさをプラスした、爽やかな香り。
代表的な香り: シャネル「N゚19」(シャネル)、グッチ「エンビィ」(ブルーベル・ジャパン)、グレ「カボティーヌ」(わかば)など
フローラルフルーティ 花の香りと柑橘系以外のピーチやグレープなどフルーツの香りが混ざり合ったもの。
代表的な香り: ラルフ ローレン「ローレン」(わかば)など
フローラルフレッシュ フローラルノートの中でも軽く、新鮮さを強くイメージさせる香り。
代表的な香り: キャシャレル「アナイスアナイス」(日本ロレアル)、エスティ・ローダー「プレジャース」(エスティ・ローダー)など
フローラルフローラル フローラルブーケともいわれ、クラシックな香りにはこの系統の香りが多い。甘いものからスパイシーなものまで幅広い。
代表的な香り: ジャン・パトゥ「ジョイ」「1000(ミル)」(わかば)、ジョルジオ・アルマーニ「ジオ」、「ジョルジオ」(わかば)など
フローラルアルデヒド 現在はちょっと少なくなりましたが、花の香りにアルデヒドという強めの合成香料をプラスしたもの。
代表的な香り: シャネル「N゚5」(シャネル)、グレ「マダムロシャス」(わかば)など
フローラルスイート フローラルノートの中でも最もオリエンタル系に近い香り。オリエンタルノート、フロリエンタルとも言われます。
代表的な香り: クリスチャン・ディオール「プワゾン」(パルファン クリスチャン・ディオール)、ティファニー「ティファニー」(ティファニー・ジャパン)など

★オリエンタルノート いわゆる「濃厚」な香り
オリエンタルアンバー ムスクやアンバーなど動物香料系が強く感じられる甘い香り。
代表的な香り: ゲラン「シャリマー」(ゲラン)など
オリエンタルスパイシー 甘くて重い樹脂の香りと、クローブやシナモンなどのスパイスを使ったエキゾチックな香り。
代表的な香り: イヴ・サンローラン「オピウム」(イヴ・サンローラン・パルファン)、シャネル「アリュール」(シャネル)など

★シプレーノート
 シプレーとは「苔(コケ)」のこと。男性的な強さを感じる香り
シプレーフルーティー フルーツに苔や木々の香りを加えた香り。
代表的な香り: ゲラン「ミツコ」(ゲラン)、クリスチャン・ディオール「ドルチェヴィータ」(パルファン クリスチャン・ディオール)など
シプレーアニマリック ムスク、アンバーなど動物系香料を多く含んでいます。
代表的な香り: アラミス「アラミス」(エスティ・ローダー アラミス事業部)など
シプレーグリーン 苔の香りを基調に、草や木の香りが混ざった爽やかな香り。
代表的な香り: ジョルジオ・アルマーニ「アルマーニ」(わかば)など




香りを効果的な場所につける!

香りのつけ方についてまとめてみました。
同じ香りでもつける場所によって香り立ちには違いがでるもの。上手に使いこなすための極意と思ってください!

まず、清潔な肌につけること。
香水を直接肌につける場合、肌を清潔にしておくことが大切です。
汗をかいていると、汗の匂いと香水が混じってせっかくの香りが台無しになります。

つけ方
フレグランスは前述のとおり、濃度によって香りの持続時間が違います。
一番濃度の高い香水は指先でつけ、オードトワレやもっと軽いコロンなど手のひらにとってパシャパシャとつけて下さい。

つける場所
香水のつけ方において、この「つける場所」が最もポイントです。
香りは温度の上昇によって匂いを放ちます。その性質を生かして手首、肘、膝の内側、耳の後ろ側等、比較的体温の高いところや、髪で隠れる部分……など効果が違います。
一般的に言われているのは、手首や首筋など、動脈のある部分につけると香りは温まりやすく、香り立ちがよくなると言われます。

★シーン別「つける場所」マメ知識
食 事
基本的に食事をする場所では、上半身にはおいしいお料理の匂いが漂っていた方がいいですよね。だから、もし香水をつけるなら、胸元(自分にだけ香るように少量だけ)、または足首(テーブルの下で香るのです!)が最もスマート。ナイフやフォークを動かす手元から香水が香るのを嫌がる男性も多いんですよ。どうしても手元につけたいなら、食品を連想できる「フルーツ系の香り」をおすすめします。クリスマス・ディナーの参考になるはず!
男性の部屋に…
彼の部屋に招かれたときにも、あまり強い香りは好まれないかも。そんな時は、オードトワレ程度の揮発性のやや高い香りを、宙にスプレーして、その中をくぐるというつけ方がおすすめです。髪が揺れるたびにほんのり香りますよ。 また、強く香るパルファムなら、首筋などにつけてから、軽く熱めのシャワーをかぶるという方法もおすすめ。ファーストノートとミドルノートを飛び越えて、ラストノートが持続するという上級テクです♪
女友達と一緒の席では
とかく色々な香りが混ざりがちなこんな席では、メンズフレグランスのスプレーでフレッシュにきめてみるのもおすすめですよ。シプレー系の香りよりは、柑橘系で個性をアピールしてみると、違った魅力が表現できます!
冠婚葬祭、控えめな席では
あらたまった席では特に強い香りは嫌がられがち。パルファムなどちょっと濃い目の香りをハンカチやティッシュにつけて、ブラやバッグの中に偲ばせるのも賢い方法です。アロマセラピーではポピュラーな方法かもしれませんね。
その他
ほとんどの場合、意中の男性を意識してつけることが多いフレグランスですから、あらかじめシーンを想定してつけるくらい「通」な感覚でいろいろ試してみてください♪ アルコール分が苦手な方でも、肌に直接つけなくとも、ブラのカップ表面やストッキングのウエスト部分、ガーターならストッパー部分(つま先だと靴の匂いで変化する可能性大!)など、隠れ香りポイントを開発してみてくださいね。 香りだけでも、その人の魅力は最大限にUPしますヨ!




香水ブランド、その「名香」と言われる香水のいろいろ

定番の香水、いわゆる「名香」といわれる香りには逸話が潜んでいるものです。お気に入りに出会っていない方やこれからちょっと冒険してみたいと思っている方はぜひ、ご参考になさってください。
CoCo (ココ)
オードパルファム
50ml  8,500円 CHANEL(シャネル)
マリリンモンローが愛したことでも有名な「No.5」は世界の女性の憧れの名香。調香師が作った12本のフラスコの香水をココが調べ、最終的に選んだフラスコのラベルにNo.5と記入されていたのが名前の由来。 30代からの香りとしておすすめです。
MITSUKO(ミツコ)
香水
15ml 21,000円 GUERLAIN(ゲラン)
日本人女性をイメージした香水「ミツコ」。ちょっと粉っぽい香りなのですが、フレッシュな香りが多い最近では、より「印象づける香り」として復活人気中です。
MISS DIOR(ミス・ディオール)
香水
15ml 24,000円 (CHRISTIAN DIOR)
エレガンスをテーマに 女性を虜にする香りということで開発された香水です。世界初のグリーン フローラル シプレーの香り。
レール・デュタン
香水
15ml 27,000円 (NINA RICCI)
クリスタルメーカーのラリック社のハート型のボトルにいれた初の香水「クール・ジョア」は飛ぶように売れ、さらに「愛と平和の象徴の2羽の鳩」をあしらったこの「レール・デュタン」は、50年経た今も不朽の名作です。
ランラルディ
オードトワレナチュラルスプレイ
100ml 11,000円 (GIVENCHY)
言わずと知れた名香です。初の香水としてオードリー・ヘプバーンに捧げられた「ランラルディ」には、オードリーが特に気に入り、「他人に売るのは禁止!(L'interdit)」と言ったことから命名されました。
ジョイ
香水(ブラックボトル)
7ml 28,500円 JEAN PATOU(ジャン・パトウ)
ちょっとお高い香水なのですが、あの松田聖子さんが今も愛用しているという、全女性の憧れの世界一高価な香水です。100 種類以上もの天然香料を使った名香で、その香りにふさわしい大人の女性だけに許される、使う側も売る側も誇り高い、最高級のブランドです。

いかがでしたか?香水は奥が深く、それに伴う逸話も多いのですが、今回はここまで。
またシーズンに合った香水もご提案したいと思っています。


根本ゆみ) 

writer's eyes
香水の使いこなしは、やはり「使い方」。品よく、効果的に使いこなしてこそ、「女性の最終兵器」といえるのではないでしょうか? 身に付けるものよりも効果を発揮する香水。 皆さんも上手に使いこなして、あなたらしい「フェロモン」を手に入れてくださいね!



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