2002.2.15号




今年もまた、つら〜いカゼの季節がやってきました。
まわりでゴホゴホとせき込んだり、発熱で苦しんでいる人も多いのでは? 
ところで、カゼとインフルエンザの違いって、ご存知ですか。
実は、カゼとインフルエンザでは、ウイルスも感染方法も違うんです。ですから、予防法も治療法もまったく異なるというわけ。
正しい予防法と、かかってしまった場合の対処法を知って、寒い季節を元気に乗り切りましょう。



カゼがひどくなると、インフルエンザになるの?

 カゼの原因は、80〜90%がウイルスの感染です。ウイルス以外の感染性原因としては、病原微生物やマイコプラズマ、クラミジア、連鎖球菌があります。感染性原因でないものに、寒さやアレルギーがありますが、これらはカゼ疾患のわずか数パーセントにすぎません。
 カゼ症候群のウイルスの種類は、なんと120種類以上。気管支の粘膜に結合して増殖し、発熱やせきなどのさまざまな症状を引き起こします。たとえばライノウイルスが原因の場合、せきに始まって、2〜3日鼻汁が続き、だんだん鼻づまりがひどくなります。のどの痛みなども伴いますが熱はあまり上昇せずに、1週間程度で症状は治まります。
 一方、インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型の3タイプ。「A香港型」や「Aソ連型」などが有名です。インフルエンザウイルスがカゼと異なるのは、血管内に侵入し、急速に全身で増殖する点。潜伏期も1〜3日と短く、症状が激しいのが特徴です。具体的には、体温が急速に上昇し、38〜39℃に達するとともに、上気道炎症状、全身倦怠感、食欲不振、頭痛、関節痛などが起こります。
 つまり、カゼとインフルエンザは、まったく別の病気。その予防法も治療法も異なります。正しい知識を身に付けて、元気に寒い季節を乗り切りましょう。



カゼ予防は手洗い、インフルエンザ予防はうがいを!

 では、カゼとインフルエンザの具体的な予防法をお教えしましょう。
 カゼは「飛沫感染」と「接触感染」のため、充分な手洗いによって予防できます。
「電車のつり革などで感染することが多いといわれています。外から帰ったら、流水で30秒以上、手を洗うようにしましょう」とは、薬剤師の福井透さん。
 一方、インフルエンザは「飛沫感染」で、ウイルスを吸い込むことによってのみ感染します。だから、「外から帰ったら、うがい、手洗い」は、カゼとインフルエンザの両方を予防する効果があったのです。
 このほか、日常生活で心がけたいのは、ウイルスに対する免疫力を高めるために…
1. 充分な栄養と休養をとること
2. 室内の湿度を60〜70%に保つこと
3. マスクを着用すること

「キノコには免疫力を高める効果があります。特にベータグルカンを多く含むマイタケを、3日に1回30g程度食べると、カゼを引きにくくなりますよ」(福井さん)
 また、インフルエンザ予防には、ワクチンが有効。特に肺炎など重症化しやすい高齢の人、慢性疾患のある人、乳幼児などは、ワクチン接種による予防がおすすめです。
ベータグルカンとは、キノコなどに多く含まれる多糖類で、免疫活性作用があり、ガンなどの治療にも用いられています。



カゼ薬って、何をのめばいいの?

 では、実際にカゼにかかったとき、あなたはどんな対処法をとっていますか? 早めに寝る、お風呂は控える、市販薬を飲む、病院へ行く……。市販薬を飲む方法は手軽ですが、いろんな種類のものが出回っていて選ぶのに困ってしまいます。そこで、症状別にカゼ薬を分類してみました。

●のどの痛み・発熱
 のどに異物が侵入すると、免疫細胞がこれを攻撃するため、炎症が起こります。このため、のどが痛くなったり、声がかれたりします。カゼのウイルスは高温に弱く、また、発熱すると白血球などの免疫細胞の活動が活発になるため、ウイルスに感染した細胞や、ウイルスを攻撃する細胞は、発熱物質を出します。
「熱はウイルスが出すのではなく、人間の細胞が出しているんです。つまり、身体の免疫を高めた結果、出る反応なので、必要以上に熱を下げるべきはありません」(福井さん)
 ただ、これは微熱の場合に限ってのこと。高熱の場合は、すぐに病院へ行きましょう。また、発熱の際、薬は解熱剤を用います。

【鎮痛・解熱薬】
作用: 熱を下げ、のど・筋肉・関節の痛みを改善。
種類: アスピリン、エテンザミド、アセトアミノフェン、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリンなど。
備考: イブプロフェンは、他の成分に比べて炎症を抑える作用が強い。イソプロピルアンチピリンは、ピリン系の成分で、解熱作用が強力。子供には、アスピリンは用いない。アセトアミノフェンを含む薬が向いている。


●鼻水・鼻づまり
 ウイルスが鼻粘膜に侵入して増殖すると、肥満細胞からヒスタミンという物質が分泌され、神経を刺激して、くしゃみ、鼻水を起こします。肥満細胞からロイコトリエンという物質が出ると、粘膜が腫れ、鼻づまりになります。
「抗ヒスタミン剤は眠くなるという副作用があるので、私の場合、鼻水が出始めたら、早めに半量だけのみます。そうすると、眠くならずに鼻水も止まりますよ」(福井さん)

【抗ヒスタミン薬】
作用: 鼻水、くしゃみをやわらげる。
種類: マレイン酸クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミンなど
備考: 眠気や口の渇きなどが起こりやすい。




●せき・たん
 肺の粘膜は、粘液で覆われていて、異物を捕らえます。
「この粘液と異物を駆除する免疫細胞などが集まったのが、『たん』です。これを『せき』で身体の外へ出すのは、自然な身体の仕組みといえます。苦痛なときは、薬で軽く止めてあげましょう」(福井さん)

【鎮咳・去痰薬】
作用: せきを静め、たんを取り除く。
種類: デキストロメトルファン、ノスカピン、チペピジンなど
備考: リン酸コデイン、ジヒドロコデインは、麻薬系鎮咳薬で、効き目が強力。メチルエフェドリンは、気管支を広げる作用があり、ゼイゼイするときに有効。



●その他のカゼ薬

【総合感冒薬】
作用: 鎮痛、解熱、鎮咳作用がある。
備考: 発熱、鼻水、せきなど、複数の症状があるときに有効。


【漢方薬】
作用: 発汗、解熱、鎮咳作用。
種類: 葛根湯、小青竜湯、桂枝湯など
備考: カゼの初期に最適。


症状・体質等 対応 摂取したいサプリメント
さむけ 通常のさむけ 温める・安静にする ビタミンC
6ヶ月未満児 を伴う場合 直ちに病院へ -
ぐったり
呼吸苦
けいれん
発熱 微熱 様子を見る →5日以上続くなら
病院へ
ビタミンC
高熱 子供の場合 アスピリン
以外の
解熱薬
→3日以上続くなら
病院へ
ビタミンC・E
大人の場合 解熱薬
喉が痛い つばを飲み込む
だけで痛い
直ちに病院へ ビタミンC・A、亜鉛
軽い症状、
いがいがする
うがい、トローチ →3日以上続くなら
病院へ
鼻水・くしゃみ 車の運転時 点鼻薬 →3日以上続くなら
病院へ
ビタミンC・A・B5
- 小青竜湯
抗ヒスタミン薬
鼻づまり 車の運転時 点鼻薬
- 抗ヒスタミン薬
漢方薬・体力
中以下の人
葛根湯
漢方薬・体力
のある人
麻黄湯
せき・たん 呼吸の苦し
そうな子供
直ちに病院へ -
- トローチ →3日以上続くなら
病院へ
ビタミンC・A・B5
鎮咳去痰剤
漢方薬・激しい
せきの場合
麦門冬湯
漢方薬・たんの出る
せきの場合
麻杏甘石湯
2つ以上の症状 - 総合感冒薬 →3日以上続くなら
病院へ
ビタミンC・A・B5・亜鉛
漢方薬・体力
のない人
桂枝湯
漢方薬・体力
中以下の人
葛根湯
漢方薬・体力
のある人
麻黄湯
予防 - - ベータグルカン・プロポリス・マルチビタミン



薬嫌い&病院嫌いの人に朗報!
カゼのときにのむなら、このサプリメント

 ところで、カゼの症状を早く取り除いてくれるのは、何も薬ばかりじゃありません。カゼ薬に抵抗のある人は、ぜひ回復を助けるサプリメントを試してみて。福井さんがすすめるのは、亜鉛トローチ。
「これを舐めると、イオン化した亜鉛が、鼻やのどの粘膜についたカゼのウイルスを直接たたいてくれるんです」
 残念ながら、このトローチは、日本では未発売。「Zinc Gluconate」「Zinc Acetate」という表示が目印。お菓子感覚で食べられるので、アメリカなどに旅行に出かけたら、ぜひスーパーや薬局のサプリメントコーナーを覗いてみて。もちろん、日本からはインターネットで個人輸入することも可能です。
 日本でも手に入る亜鉛サプリメントには、このようなウイルスを直接たたく効果はありませんが、免疫力を高める効果が。カゼをひくと味がわからなくなることがありますが、こうした症状も予防できるのだとか。カゼをひいたら、いつもより多めの摂取を心がけましょう。
 そして忘れてはならないのが、ビタミンC。リンパ球の働きを高めたり、抗体を作る能力を増強する働きがある、頼もしい栄養素です。
「カゼをひいたら、亜鉛は1日100mgまで、ビタミンCは1日2〜3gを目安に。亜鉛は2〜3時間おきに12〜23mg、ビタミンCは2時間おきに1gずつ摂取するとよいでしょう」(福井さん)
 ただし、亜鉛は大量に摂取すると、吐き気や下痢、貧血、免疫力の低下などを引き起こすため、服用期間は1週間を目安に。ビタミンCを大量摂取して下痢をした場合は、量を減らせば問題ありません。
 ともあれ、カゼやインフルエンザには、かからないことがいちばん。「キノコをしっかり食べて、マルチビタミンミネラル剤を毎日のめば、免疫力が高まって、カゼにかかりにくい身体になりますよ」という福井さんの言葉のとおり、普段から栄養には気を配る習慣を身に付けましょう。



小倉若葉) 

writer's eyes
実は、数年前、某健康誌で福井さんの連載を担当していた私。それ以来、福井さんの教えを守って、毎日マルチビタミンミネラルのサプリメントをのんでいます。おかげで、以前はしょっちゅうカゼをひいていたんですが、気が付いたらカゼ知らずに。体調もすこぶる良好な日々を送っています。みなさまもカゼなど引きませんよう、お身体ご自愛ください!

■ 取材協力/
薬剤師 福井透さん
岐阜薬学専門学校(現岐阜薬科大学)、塩野義製薬を経て、埼玉県川口市で福井薬局を開業。著書に『薬剤師がすすめるビタミン・ミネラルの摂り方』、『薬剤師がすすめる上手なビタミン・ミネラルの使い方』(ともに丸善)がある。
http://www.bekkoame.ne.jp/ro/t-fukui/




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