2002.6.12号



 今年もやって来ます。じめじめと憂鬱な梅雨。女性にとっては、せっかくのオシャレにその名の通り「水をさす」最も嫌なシーズンです。
特に困るのが足元のオシャレ。雨の日に、買ったばかりの靴や大好きな靴は履きたくない。けれど、少しの雨なら大丈夫だろうと履いて行ったら、靴にシミができてしまったり、色が落ちてしまったり・・・。
そして気をつけなければならないのが、いや〜な水虫。梅雨の高温多湿な気候が、水虫の原因菌である白癬菌の繁殖しやすい環境を作ってしまうのです。
ほんとに嫌なことばかりですが、そんな季節だからこそ、つい手を抜きがちな足と靴のケアを見直してみましょう。夏用の美しい素足を作るには、日頃の心がけが必要なのです。



足にやさしく!

 梅雨のある朝。外は今日も雨。蒸し暑くなりそうです。何を着ていきましょうか。あなたはコットンの肌ざわりのいい半袖セーターと、しわになりにくい混紡のスカートを選びました。さて、靴は?あなたは迷うことなく、雨の日に御愛用の人工皮革のパンプスを選びました。そんな毎日が続き、梅雨が明ける頃、あなたは足の裏の皮がふやけたようにむけていることに気付きました。「もしかしたら・・・」と皮膚科に行ったら「水虫です」。ショック!これから素足の季節なのに〜。

 フェイスやボディと違い、足は目につかない場所だけに、ついおろそかにされがちです。通気性のよい衣服に包まれている身体は快適でも、足は通気性の悪い靴の中で、悲鳴を上げているのです。おまけに、毎日のように履いていて、ケアをしていない靴ですと、常に湿気が高く皮脂などで汚れた状態になっています。汚れが好きで温度15℃、湿度70%以上になると増殖するといわれている白癬菌にとっては、格好のすみかというわけです。
 今年3月に小林製薬が実施した、全国の女性2255人を対象にした調査によると、全体の49%が水虫経験者であるという結果が出ました。特に30代が53%と多く、20代も45%、10代も33%が水虫を経験しています。そして、経験者の多くが水虫を治したい理由として、「人前でも抵抗なく素足になりたいから」をあげています。
 足と靴のプロフェッショナル、「アルカ」本店(東京都豊島区東池袋)のシューフィッター久世泰雄さんによれば、「雨から守るべきはまず足、それから靴」。
私たちの全体重を支えてくれる大切な足をいたわる気持ちは、足だけでなく、健やかで美しい身体を作ることにもつながるといえるでしょう。



梅雨どきに 履きたい靴をどう履くか

 梅雨を快適に過ごすには、雨用に作られた靴を購入してしまうのが一番ですが、スタイルが限られていますし、何足も買うのは経済的に負担がかかります。そこで「手持ちの靴をどのようにして履くか」について久世さんにうかがってみました。

<基本的なケア>
 初めに、基本的な革靴のケアの手順をおさらいしておきましょう。
革靴も私たちの皮膚と同じ「皮」でできています。ですから、水分と汚れを取ってから油分を補給するという点で、ケアの要領はフェイスやボディと同じです。
通常は、柔らかい布でホコリなどを払い、クリーナーで汚れをとった後、クリームを塗るわけですが、梅雨時には、油性の防水ワックスを塗り、さらに防水スプレーをかけておきましょう。このケアをマメにやるのが、靴を汚れや水分からガードして長持ちさせるための基本です。
 そして欠かしてはいけないのが、アフターケア。雨で濡れた靴はまず、新聞紙などをつめて湿気を取ります。一晩程度置いた後、新聞紙を取り出し、しばらくの間、空気に触れさせるのを忘れないように。その後、クリームやワックスでお手入れをしましょう。濡れてしまったからと、ドライヤーで乾かしてはいけません。靴の形や色が変わってしまうことがあります。
 このケアをしっかり実行するために、毎日同じ靴を履くのは避けましょう。少なくとも一日おき、できれば中二日おくことが必要です。
 ところで、濡れた靴を放っておいたら、白く塩を吹いたようになってしまった経験はありませんか?これは、靴の原料である皮をなめす段階で塩を使っているからなのです。皮に含まれた塩分は、製品化された後も残っていますので、雨や足の汗をたっぷり吸うと、表面に浮き出てしまうというわけです。一度塩を吹いてしまうと、専門家でないと直すことはできません。くれぐれも気をつけましょう。

<どんな靴を選ぶか>
 次に、靴選び。ソールがウレタンやゴムでできたものなら、中に水がしみて来ることがほとんどないのでお薦めです。ブランドの高級な靴はソールがレザーでできていることが多いので、雨の時にはあまりお薦めできません。しかし、どうしても履きたい場合には、ソールにもワックスを塗ります。2時間ぐらいは効果があるとのこと。
 しかしソールの薄い靴の場合、革の部分とソールをつなぐ縫い目から水がしみてくることがあります。それを防ぐためには、ワックスを縫い目に埋め込むように塗るとよいそうです。
 ソールの厚い靴は水がしみる心配はありませんが、とても蒸れやすいので、避けた方が無難です。実は、ソールも「呼吸」しているんです。一時、厚底のストレッチブーツが流行り、水虫になる女性が激増しましたが、厚底靴が白癬菌の大繁殖に手を貸したのは言うまでもありません。
 なお、サンダルやミュールは通気性の点では問題がないのですが、濡れた路面では少々不安定。必ず足に合うものを選びましょう。



ナマ足の危険?

 最近、「ナマ足」の女性が増えています。素足にはナチュラルな魅力がありますし、暑い夏を涼しく過ごすこともできます。しかし、靴の中の足にとっては要注意!なのです。
 私たちの身体全体には、体温調節のためのエクリン汗腺がありますが、この汗腺が最も密集しているのが、手のひらと足の裏、なんです。他の部位の4倍から10倍の数にのぼり、両足で1日にコップ一杯以上の汗をかくと言われています。ですから、靴の中は蒸発できない水分でまるでウェットサウナのような状態になります。特に素足ですと、水分を吸い取るものがなく、汚れが直接足の皮膚についてしまうので、水虫になりやすいのです。
 さらに素足では、靴の中でのすべりが悪いので、内側の素材や縫い目などで足を傷つけてしまうこともよくあります。
 それでも「ナマ足」でいたいと思うのが女心。そんな場合には、内側が、蒸れにくい革や、柔らかい天然素材でできている靴を選び、靴の中に隠れる足袋タイプのストッキングや、足の汗をおさえるグッズをマメに使って、足をいたわってあげましょう。



美しい足のための経済学

 今回、お話をうかがっていて、久世泰雄さんとスタッフの方々の、足と靴への愛情とプロとしての自信をひしひしと感じました。
 印象に残ったのは、久世さんの「日頃使うものにもっとお金をかけるべきだと思うんですよ」という言葉。私たち日本人は靴とのつきあいがまだ浅く、つい、よそいきの靴にばかりお金をかけてしまいます。しかし、普段履く靴が足の健康状態に大きな影響を与えるのです。普段履く靴だからこそ、少々お金をかけてでても、自分の足に合うものを選ぶという考え方が必要なのではないか、と久世さんはおっしゃいます。実際、足に合わない靴から来る足のトラブルを、フットケアサロンなどで解消する費用を考えたら、結局、使う金額はあまり変わらないことになります。
 外見だけに気を使うのではなく、身体をいたわる気持ちを持ち、健康を保つことこそ、真の豊かな暮らしと言えるのではないでしょうか。

※『アルカ』のホームページ http://www.alka.co.jp/
久世泰雄さんと、この夏おすすめの可愛いミュール
 久世さんのお店「アルカ」は、普通の靴のお店とはちょっと違います。ヨーロッパ製のかわいい靴がたくさん並んでいるので、つい履いてみたくなりますが、その前に「足の体型」つまり「足体」をチェックしてくれるのです。
 まず、「フットプリンター」の上に足を乗せて足型を取り、歩行をチェック。自分では気付かない身体のねじれや足の状態を教えてくれます。その後、欲しい靴を履いてみて、必要なら靴の調整をしてくれます。また、足のトラブルに合わせて、手持ちの靴の調整もお願いできます(有料)。詳しくはホームページをご覧下さい。
久世さんとスタッフのみなさん


けろひめ) 


writer's eyes
 かつて、立ち仕事をしていた頃、合わない靴のおかげで、右足の小指に頑固なタコをこしらえてしまったことがありました。このタコが恐ろしい奴で、夜寝ている時に激痛に襲われるんです。ヒールの高い靴など、まさしく苦行で、痛みを軽減するためのパッドを小指に貼ったりして何とかごまかしてきました。最近では、足に合う靴を選ぶべく、かなり気を使っているつもりだったのですが、水虫の恐怖も含め、まだまだ知識や心がけが足りないことがわかりました。「アルカ」をお訪ねして、足のチェックを体験させていただいたのですが、「右足の方が大きい」と思っていたのは誤解であったことが判明。骨盤のねじれのせいで、右足に体重をかける癖があるため、「開張足」、つまり足指の付け根の「第二のアーチ」と言われる部分が平たくなった状態になっていたのでした。「開張足」の人がとても多いそうなので、みなさんもぜひ足のチェックをしてもらってください。

■参考文献/ 『足の痛みと変形を治す本』(町田英一著 マキノ出版)
『整形外科 外来シリーズ11 足の外来』(メジカルビュー社)
朝日新聞(2002.5.15朝刊)
 
■参考サイト/ 『足と靴と健康協議会』
http://www.fha.gr.jp/
「アルカ」久世さんは『足と靴と健康協議会』の理事をなさっています。

『お答えします。靴の修理・百科事典』
http://www1.usen.ne.jp/~shoeriya/index.html
兵庫県西宮市で靴の修理やケア用品のお店「修理屋」をなさっている樅山一郎さんのサイト。ケア用品やケアの仕方をとても詳しく掲載しています。

『皮膚科医が提供する水虫情報サイト Japan Foot Week』
http://www.japan-foot-week.gr.jp/



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