2002.7.10号



「旅は人を元気にさせる」という言葉をしばしば耳にしますが、それはまた同時に「旅人の疲れを癒す宿」の役割も大きいのではないかと思うのです。さらにまた日常と違う環境(=宿)は、人々の創作意欲を高めるのでしょう。なぜなら、サマセット・モームが、キップリングが、ヘルマン・ヘッセが…といった世界の名だたる文豪たちは、しばしば世界中に点在するさまざまなスタイルのホテル(=宿)に滞在し、そこを舞台に、あるいはそこから何らかのインスピレーションを得て、数々の作品を世に送り出したのだから。
それゆえ、たとえわずか数日の滞在でも、いつもと違う何かを感じることができるのではないかと心弾ませ、ついつい旅に出たくなるのでしょう。その空間は、訪れるゲストを日常から解放し、リラックスさせてくれることでしょう。多少の言葉の壁も、にこやかで誠実な対応に、笑みすらこぼれたりもします。
といったわけで、こうした言い訳めいたものを前提に、ときおり憧れのホテルを訪ねる旅をしている私、ライターりんだは、今回から数回にわたり、勝手に名づけ、分類した世界の「Healing Hotels」を紹介させていただくことにしました。
 
「Healing Hotels」とは、“ホテル大好き”ライターりんだの独断と偏見による、以下のような要素を兼ね備えたホテルのカテゴリーであり、5つ星・ホテルなどの一般的なカテゴリーとは異なります。
 
設立年は古くとも、現代の設備を採り入れ、現代人が滞在に際し不都合を感じない
ホテル周辺のエリアにおいて、立地条件に何らかの魅力を感じる
(目の前が海、ショッピングに最適、眺望が良い…などなど)
ホテルのスタッフの対応が心地良い
宿泊施設以外にもゲストが喜ぶ施設やプランなどがある
(スパ、ライブラリー、プライベート・クルージング…などなど)



 「Healing Hotels」Chapter 1

最初の訪問先は、私たちの国からも程近いアジア。その理由のひとつに「ホッとする旅先ベスト1」と答える人も多いエリアですから。ということで、まずは比較的馴染みがあるようでない、けれど食事も美味しいと評判のマレーシアはペナン島へ向かいます。


[EASTERN&ORIENTAL HOTAEAL/イースタン&オリエンタル・ホテル]

「イースタン&オリエンタル・ホテル」は1885年、シンガポールの老舗ホテル「ラッフルズ」をオープンさせたことで知られるアルメニア人のサーキーズ兄弟(Martin&Tigram)により、マレーシア・ペナン島にオープンしました。ムーア様式の建築と大きなドームのあるロビー、その大きなホテルの目の前は海。やがてそこは「スエズの東の最初のホテル」として世に知られることになります。(1927年)
それから時を重ね2001年、3年の改装期間を経て、大々的にリニューアルオープンしました。最新設備を備えた全室スイートタイプに生まれ変わった101の客室は、現代の快適さ(エアコン、通信、バスルームの設備など)と過去のエレガンス(インテリア)を併せ持ち、また窓から見える海(バスルームの扉を開けると、そこから窓越しに海が見える)や24時間常備のバトラーサービスといった魅力も兼ね備えています。ちなみにバトラーとは日本語にすると執事という意味、だからバトラーには何でも(といっても限りはあるが)依頼することができるのです。そしてさらにびっくりしたことには、バトラーを電話で呼ぶのではなく、ベッドのヘッドボードの壁にバトラーを呼ぶボタンがあるのです。つまりこれを押すだけでOK。女性なら必ずや、プリンセス気分に浸れることでしょう。また近い将来お目見え予定のスパも楽しみです。
なおハネムーンで訪問のゲストには、屋外ダイニング『ヴェランダ』でのキャンドル・ディナーにシャンパン、2人のイニシャル入りピローケースにバスローブなどといったスペシャルプレゼントが用意されているそうです。(残念ながらハネムーンでの訪問ではなかったので、実際の体験談ではありませんが…)なにせ全室スイートですから、環境的にもハネムーナーには最適です。
ホテルから徒歩でも行けるジョージタウンは、文化遺産にいつか登録されるであろうという、イギリス植民地時代の面影が残るエリア。チャイナタウンやインド人街をフラッと散歩するのも面白いし、ホテルのすぐ近くにもショッピングモールや屋内屋台などもあります。旅のプランを立てるのには、ホテルのスタッフに相談してみてもいいかもしれません。なんてったてここでの滞在は、バトラー付きですもの。

http://www.e-o-hotel.com

さて、同じくペナン島ですが、もう1軒はビーチ沿いのリゾートホテルへ車を走らせてみましょう。ジョージタウンのようなペナン島とは、また一味違う魅力を体感できます。こちらでもまた、ちょっとアンティークな面影のホテルを訪ねてみたいと思います。


[LONE PINE HOTEL/ローンパイン・ホテル]

「東洋の真珠」と呼ばれる東南アジア有数のリゾート地ペナン島のビーチ、バツー・フェリンギに1948年、その地で唯一のホテルとしてオープンしたのがローンパイン・ホテルです。今なおホテルとして機能する建物のひとつは、その昔、英国人家族がマレーシアでのヴァカンス用の海辺のバンガローだったとか。
わずか10室で創業されたそこも、今では4エーカーへと敷地も拡大し、いくつかの棟で構成され、客室も5倍の50室となりました。1999年にリニューアルし、若干、手が加えられたとはいえ、創業当時の面影を今も残し、訪れたゲストは妙にリラックスしてしまうはず。そんな気持ちの延長で、庭にあるハンモックでまどろむのもよし、また部屋の入口に設えられたテラスで過ごすのもよし、また敷地内にある馬や鳥などの小さなアニマル・ファームで動物たちと戯れる…なんていうのも心地良いかも。
時代を溯ったような錯覚に陥りそうな雰囲気のコーヒーハウスでいただく、フレッシュ・フルーツジュースやオリジナル・レシピのアイスティーは、たまらなく美味しい。またE&O(EASTERN & ORIENTAL HOTEL)とここは、姉妹ブランド関係にあるためか、バスルームのシャンプー類が共に、英国の人気メーカー「モルトン・ブラウン」。そんなところにも、こだわりとかつての英国植民地的なごりを感じてしまう。
場所柄、このあたりにはたくさんのホテルや屋台の集合した一角などがあり、散歩がてら辺りを散策してみるのも楽しい。
「誰かの別荘に招かれたような」そんなおしゃれな心地良さに包まれる休日を味わえることでしょう。

http://www.lonepinehotel.com

マレーシアへの旅は、専門の旅行代理店へ相談してみるのもいいでしょう。たとえば昨年の統計で、総合代理店に次ぎマレーシアへの旅をエスコートした代理店第2位にランクインされた「ジェットセット」も頼りになります。
東京本社 03・3491・6111

ペナン島の休日を満喫したところで、もう1軒、今度は同じアジアのフィリピンはセブ島のホテルを訪ねてみましょう。ここも広大な敷地とプライベート・アイランドなどが魅力です。



[ALEGRE BEACH RESORT/アレグレ・ビーチ・リゾート]

今年10周年を迎えたセブ島の北部沿岸、ソゴドの街の中心的な存在というのが「アレグレ・ビーチ・リゾート」。スペイン語で「陽気な、喜んだ、鮮やかな…」といった意味の「アレグレ」という名のそのホテルは、小高い丘のような斜面に点在するコテージの集合体です。
ゲストルームの広々としたスペースに加え、浴室中央の優雅な造りのバスタブに浸かる時間はまさに至福の時です。またレストランから見えるプール、そしてビーチへ続く小道、流れ星を見つけられる夜空、そして夜道を照らすオリジナルの南国風デザインの外灯…そのどれもがリゾート気分に浸れること間違いありません。さらに、ホテルの眼下に広がる海で過ごす方法はバリエーションが豊富です。たとえば水泳はもちろん、ダイビングやクルージングなどなど、その人なりの楽しみ方が可能です。とりわけ、海の上にポッカリ浮いたような白い砂の小島、カランガマンへのゆったり2時間のクルージングは素晴らしいものです。エメラルド色の海を進む途中、クルーザーの周辺にはイルカの姿を目撃することもしばしば。
2001年UCLA主催第16回Extension Hotel Industry InvestmentにおいてHotel Leadership Awardsを獲得した、このアジアの誇れるホテルでは、「アレグレ」というその名の通りの時間を、訪れた人にもたらしてくれること間違いなし。「良い休暇を!」そんな言葉が似合うホテルです。

http://www.esprint.com/~alegre/

まだまだあるぞ!Healing Hotels。というわけで、Chapter 1 はこのあたりで。次回の予定は未定ですが、必ずまた。

あえて選んだワケではないのですが、なぜだか今回のHealing Hotelsは全て下記の日本の代理店となりました。
サンヨー・インターナショナル 03・3461・8585



(りんだ) 


writer's eyes
なかなかバケーションでホテルを訪ねてみることが少なくなりつつあるホテル好きの私としては、やはり身も心もユッタリできるホテルというのは確実にあるものだと、つくづく思うのです。おそらくその快適度数のバロメーターは人それぞれでしょうが。一生の内に、いくつの国といくつの宿を訪れるころができるか、これまた未定ではありますが、喜びと感動は是非とも皆で共有したいと思いながら、再びパリの空へ・・・ボン・ボヤ−ジュ!



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