2002.8.28号




  あなたが初めてスキンケア化粧品を使ったのはいつのことでしょう? そのときに使った銘柄を覚えていますか?
記憶をひもといてみると、洗顔石けん、海水浴でのサンオイル、冬のあかぎれ防止クリームetc.と、「お化粧」を意識する年齢よりずっと前から、化粧品と共に歩んできたことに気づかされます。
その中には“気づけばまた同じものを買っている”という長年選手もいるはず。そこで今回は、多くの人に長く愛されているコスメティクスを、いくつかご紹介したいと思います。


スキンケアには流行があります

ところで毎日使っているスキンケア商品にも、時代の流行があります。意外と激しく変遷しています。時代に沿ってみてみましょう。

1. 戦後 コスメティクス黎明期(1945〜65年頃 昭和20〜30年代)
  戦争が終わり、女性が美を追求できる時代に
この時期に、KOSE、ポーラ化粧品、アルビオン、カネボウ化粧品・・・となじみの深いメーカーが次々と設立されました。(ちなみに資生堂・花王はもう少し歴史が古く、明治時代に創業しています) 

昭和7年に発売され、戦時中は一時生産がストップしていた 資生堂(現在は資生堂フィティット)「ドルックス」のシリーズが、昭和26年に復活。


2. コスメティクス成長期(1966〜82年頃 昭和40〜50年代)
  夏はこんがり日焼け、冬は美白! とアクティブケア
前田美波里さん「夏は愛されよう」(資生堂 昭和41年)や、夏目雅子さん「クッキーフェイス」(カネボウ 昭和52年)といった広告に代表されるように、「夏はサンオイルでこんがりと焼く」時代。
同時に、日本古来からの「色白は七難隠す」文化も残っていて、フレッシュア(資生堂のビタミンC美白剤)なども人気。
夏は焼いて、冬は白く戻して・・・と極端なケアをする時代でした。
高度経済成長の「イケイケドンドン」な雰囲気が、肌のお手入れにも及んでいるかのようです。

アクティブにおしゃれを楽しむ一方、1970年代は、食器用洗剤による手荒れや環境破壊が問題になりはじめた時期。エコ・ナチュラル志向が芽生えました。
難病とされていた「女子顔面黒皮症」(顔の皮膚が真っ黒に変色する病気のこと)が、化粧品かぶれに起因する、ということもわかり、安全性についての意識も高まりました。

1972年には、アルビオンから“すべての肌トラブルを植物由来成分で改善させる”という「グランデューク」シリーズが発売に→「スキンコンディショナー」(化粧水)の登場。※当時は違う名称でした。
1980年には、マックスファクターから酵母の中でもよりすぐりの種類である「ピテラ」を配合した化粧液「SK-IIフェイシャル トリートメント エッセンス」が登場


3. オゾンホール対策期(1985年〜 昭和60年以降)
  紫外線の害を避け、白く美しい肌
紫外線の害が叫ばれるようになって日焼けブームは沈静化。美白意識が高まり、資生堂「UVホワイト」シリーズ、コーセー「雪肌精」(現在の薬用雪肌精)、ヘレナ ルビンスタインのフォース.Cなど、新しい美白製品が次々と発売されました。

新しい美白剤の開発も盛んに。
1990年にはメラニンの生成そのものをブロックする「アルブチン」(資生堂「ホワイテスエッセンス」に配合)や「コウジ酸」(コーセー「ホワイトニングクリームXX」に配合)などの製品化が。
この後現在に至るまで、美白成分の研究は熱心に進み、次々と新しい効能の商品が出ています。


4. 外資系化粧品隆盛期(1984〜1990年頃 昭和59〜平成2年頃)
  「美容液」の登場、さっぱりケアブーム
今まで高価なものであった外資系化粧品が、円高の影響もあって身近な存在に。特にエスティローダーの「ナイトリペア」という美容液の登場で、今までの「クリームでしっとり仕上げる」スキンケアから、「目的に応じたアイテムを化粧水の後に使う」プロセスに。お手入れの概念ががらりと変わりました。

1990年に、クリニークから“ジェルで保湿する”「モイスチャーサージ」が登場。さっぱりとした使用感が人気で、「油でべたつくクリームのお手入れはもう古い、乳液なんていらない」といった雰囲気がありました。


5. ピーリング登場期(1990年〜 平成2年以降)
  古い角質を「剥がして」きれいに
AHA(フルーツ酸)という成分で、「古い角質を上から剥がせば、新陳代謝が高まる」といった革新的な理論が大ブームに。
特にクリニークの「ターンアラウンドクリーム」、エスティローダーの「フルイション」などは 国内の化粧品売場ではもちろん、若い女性たちの海外旅行のおみやげの定番といえるほど人気でした。しかも円高当時は、かなりお得な価格で購入できました。

現在でもピーリングは流行っていますが、「毛穴のつまりや角質のくすみを取る」「新陳代謝を正常にする」と、使う側の目的や理論が比較的はっきりしています。

ところが当時は目新しかっただけに「角質をはがせば、シミやシワも目立たなくなる」など、“はがせば全ての悩みが解決する”とやみくもに信じて必要以上にケアしてしまう傾向がありました。


6. 敏感肌対応期(1995年 H7年)
  無添加・低刺激志向に
アメリカのアロマブランド「オリジンズ」が上陸し、日本の自然派ブランド「アユーラ」が設立されたのが1995年。また、この年は高級化粧品がドラッグストアで安く買えるようになったスタートの年でもあります(公正取引委員会がカウンター化粧品の価格拘束について勧告したため)。
今まで「化粧品屋さんに行って、プロにアイテムを選んでもらっていた」消費者が、さまざまな国籍・傾向・価格帯のブランドやショップから、自分にぴったりのものを選択する時代になりました。

同時に、「私の肌は敏感」と訴える女性が急増化。1997年「dプログラム」(資生堂)、99年「キュレル」(花王)など、無添加・無着色・指定成分無配合の低刺激処方のブランドが次々と生まれました。


7. コスメ百花繚乱期(1999年以降 H9年〜)
  高機能×癒しの2極化
コスメ雑誌が相次いで創刊されたこともあり、多くの女性が化粧品成分や理論について詳しくなりました。

また、科学技術の進歩で、まるで医薬品のような機能を持つ製品が次々と登場。
例えば「レチノール」というシワをケアする成分が入ったアイテム、「パワ.A」(ヘレナ ルビンスタイン)、老化をDNAの段階から防ぐ「テロメア理論」というものを応用した「ノーエージ」(パルファン・クリスチャン・ディオール)など、高い効能を売りにした商品がヒット。

その一方、アロマティックなものや、手ざわりがババロアやプリンのように気持ちよいなど、感応的な部分に訴える製品も人気。禅をイメージした「イドラゼン」(ランコム)、ふんわりとした使用感で“包帯にくるまれているような安心感”と称された「デ・ラ・メール モイスチャライジングクリーム」(マックス フューバー リサーチ ラボ)など、さまざまな癒し系のアイテムがブームに。

2001年3月に化粧品の全ての成分の表示が義務付けられました。また同時に、ビタミンCの配合量や海外化粧品の扱いなどの規制が緩和され、より高い効能が望めるようになり、いまや“ハードなものからマイルドなものまで、なんでもあり”の世界になっています。


こうやって振り返ってみると、「黒肌のあとは美白ブーム」、「角質をはがすブームのあとは低刺激ものが売れる」「高機能モノと癒し」など、ブームの後には反動というか、その逆のコンセプトのものが必ず見直される・・・といった流れになっていることに気づきます。
そして現在、コスメ市場全体は成熟して局所的なブームは去り、「肌にとって本当に必要で安心できるもの」を自分自身で見きわめ、選び取る時代になってきているといえます。



歴史を超えて、受け継がれているもの

それでは、昔も今も「肌にとって本当に必要で安心できるもの」と多くの人に認められている商品には、どんなものがあるのでしょうか。
「きれいねネット」読者アンケート結果をもとに、5つのアイテムをご紹介いたします。

「ドルックス」シリーズ/資生堂フィティット
1932年(昭和7年)に誕生、約70年の歴史を持つスキンケアシリーズ。唐草模様ラベルのボトルがトレードマーク。クレンジングミルクから乳液まで、ひとつのアイテムが800円以下のリーズナブルなライン。温泉旅館の洗面所などで目にすることも多いのでは?
ドルックスとは「デラックス」という意のフランス語。
値段が安く、惜しみなくふんだんに使えるので、全身に使っています。ロングセラーだから・・・という安心感があるし、自分自身、長年使っていて肌に合う(Yさん)
家にはいつもこれが数種類あります!特に紫のローションのスーっとした感触や独特の香りは、手放せません。私にとって「お母さんの香り」は、このローションの匂いです(Sさん)
使い方や分量をあれこれ考えず、「パシャパシャ」と気軽に使えるのがいい。「あれの前にこれを使え」とかルールが決まっているものは、結局、長続きしないので、ドルックスのシンプルさに結局戻る。(Mさん)
私の兄、(つまり男性ですが)も、おそらく30年くらい使っていると思います。最近も彼の家で見つけました。乳液です。見た目ではべっとりしていそうなのですが、付けるとすーっと馴染むのです。いろいろ他のものも試しましたが、特にイイのがなくて戻ったということです。(Kさん)

オイデルミン/資生堂
明治30年に登場、100年以上の歴史を誇る、資生堂のシンボル商品。中身は時代に合わせて幾度かリニューアル。現在はとろみのある化粧液タイプ(125ml ¥6,000・200ml¥8,000)。この化粧液は「どんな肌でも環境でも、これ1本でお手入れが完了する」という製品で、世界各国共通の処方で販売されています。西洋シャクヤクの、うっとりとするような香りです。
レトロなボトルがかわいい。使い終わっても飾っています。(みどりさん)
1本でお手入れが完了するだけあって、浸透力と保湿力がずばぬけている。日中乾燥が気になるとき、お化粧の上から手の平でパッティングすると、一瞬で浸透。お化粧がくずれずに保湿ができて便利です。(原田さん)
どこかの記事で、女優の前田美波里さんが「お手入れは嫌いだけど、ときどき乾燥が気になるときはこれを使っている」とおっしゃっていた記事に影響されて。私もあれこれ化粧品を使うのが嫌いなので。使う前とどう変わったか?と具体的にはいえないけれど、肌の状態はとてもいいと思う。(hitomiさん)

エクサージュ 薬用 スキンコンディショナー エッセンシャル/アルビオン
1972年より、28年の歴史を持つ整肌化粧水。「スキコン」の愛称。110ml¥3,500、165ml¥5,000、330ml¥8,500の3サイズあるうち、大きいサイズが一番売れている、という点にも、リピーターの信頼をうかがいしることができます。
美白、肌荒れ、皮脂対策など、オールラウンドな効能。
ちなみにアルビオンには、1956年から45年間、価格もパッケージも変えずに販売されているシリーズもあります。
もう15年位前から使ってましたね〜 初めて美肌に目覚めたのはこれだったかも。 肌の具合が悪くなると化粧水でパック。ニキビにも効くし 、エクサージュシリーズ(編集部注:1997年に発売になった、同じくアルビオンのブランドのこと)に乗り換えるまでは必ず家にありました。(鶴田さん)
私はどちらかというと敏感肌なので、肌に優しい使用感がうれしい(佐々木さん)。
懐かしい香りはヒーリング効果があってやみつきになります(中田さん)

SK-IIフェイシャル トリートメント エッセンス(マックスファクター)
1980年の発売から20年以上、変わらぬ効果、ボトル、値段でロングセラーを続ける化粧水。150mlで1万5000円という値段は、発売当時「常識外れな価格」と噂されるほどの高級品だったそう。
桃井かおりさんのCMでもおなじみ「ピテラ」は、酵母が発酵する過程でできる成分。(これを発見するまでに分析した酵母の数350種、5年の歳月がかかっているそう!)保湿・美白といった効能はもちろん、使いつづけるうちに「肌の代謝が健やかになり、肌自身の力が強くなる」といった効果を感じることができます。SK-IIの全ラインの中でも特に、この化粧水は成分のほとんどが「ピテラ」でできており、最も特徴的なアイテムといえます。
150ml ¥14,500 ハーフサイズ75ml ¥7,500
コスメをひとつしだけ選ぶとしたら、迷わずこれを選ぶ(K・Tさん)
冷蔵庫で冷したエッセンスをコットンに浸してパッティングすると、日焼けのダメージも早く和らぎます(M・Sさん)
ピテラのエッセンスのせいか、「生きている自然の香り」を感じることができて、好き(あいこさん)

薬用雪肌精/コーセー
1985年に登場した、17年の歴史を持つ化粧水(途中1993年に、「雪肌精」から「薬用〜」にリニューアル)。累計2000万本を超える販売数。和漢植物配合で、東洋的な香りのする白いローションです。200ml¥5,000 360ml¥7,500
ここ2年程愛用しています。 昔からオイリーな肌で、さっぱりする化粧水を探していたのですが、雪肌精はとっても爽やかになります。(Masaeさん)
もう5年以上。さっぱりしているのに潤うのが好き。シリーズの石けんや美容液も優秀です(土井さん)
ニキビができたときのふきとりとして、コットンシートに浸して保湿パックとして・・・といろいろな使い方ができるのがお得な気分(草原さん)



〜ロングセラーの秘密

みなさんのお話を聞いていると、長く愛されるアイテムには共通する要素があることに気づきます。
まず、「使用方法が簡単で、肌に安心だ」ということ。
化粧品の中には、「日中は使っちゃダメ」「つけたら15分後に洗い流すこと」などルールが決まっているものがありますが、ロングセラー品はとてもおおらか。
どのように使っても肌にダメージを与えず、使う人の都合でアレンジが効くようです。

そして、「確実に肌コンディションが整う、満足感がある」ということ。
他の新製品などにいろいろと浮気をしても、結局ここに戻ってきてしまう、確実な効果と安心感があるといえます。何度も繰り返して購入するだけの、コストパフォーマンスがあるということでしょう。
ニキビにも肌荒れにもシミにもくすみにも・・・・・・とにかく何にでも有効で、肌を落ち着かせる、といったオールマイティな効能も人気の理由です

さらに、「使って気持ちがよい」ということ。
一部、無香料の商品もありますが、多くは「お母さんの鏡台を思い出す」ような、懐かしくて落ち着く香りが特徴です。
「肌にやさしい」というと、無香料・無着色をイメージしがちですが、実際には「香りが気持ちよい」ということも、お手入れを楽しくするうえで重要なことのようです。
よく「香りやボトルの美しさも効果のうち」といわれますが、毎日使うアイテムだからこそ、飽きのこない心地よさが必要なのです。

以上、共通点を挙げましたが、やはりなんといっても最大の特徴は「10年も20年もの間、使い続けている人がいる」という安心感でしょう。
流行の激しいコスメティクス界、中には回収騒ぎがあったり、気にいって使っていても廃盤になってしまったり・・・といったことも起こりがちです。
「今までも、そしてこれからも安心して使える・・・・・・」というゆったりとした信頼感が、末永い美をつくるのだといえそうです。

日本の女性の美しさを長年つくりだしてきた、実力派コスメティクス。
もしあなたがこれから、化粧品選びに悩んだら、こういったアイテムがあることを思い出してみてください。


もりたじゅんこ) 

writer's eyes
今回は懐かしのアイテムが次々と出てきて、書いていてとても楽しかったです。
ちなみに「薬箱」の中にもロングセラー品がありますよね?(私の家は、オロナイン軟膏とアロエ軟膏と百草丸と熊胆丹です!)次は医薬品バージョンも調べてみたいな・・・なんて思っています。


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