2003.3.12号




  アートメイクとは、色素のついた針で、肌に直接色を入れていく、いわば「入れ墨メイク」。
「プチ整形」やら「永久脱毛」といった言葉が一般的になりつつある昨今、街にもアートメイクを掲げる看板がずいぶんと増えてきました。
メイクアップアーティスト、美容エディターetc.・・・美容にまつわる職業の人では、けっこう高い確率で施術を体験しているのも実情です。
実は、アートメイクが最近とみに元気なのは、それなりの理由があります。
その辺の理由も探りつつ、ライターが実際に体験した結果をレポートします。


そもそもアートメイクって何??

まずは肌のことをおさらいしてみましょう。
肌は土台となる「真皮」と、表面で代謝している「表皮」の大きく2層に分かれていています。
表皮は日々生まれ変わっているので、くすんだり黒くなってもいずれ無くなり元通りになります。いっぽう真皮は、血管が走りコラーゲン組織などが詰まっている内側の組織。ここにメラニンが停滞すると、それはシミとなるし、深いダメージを受けるとシワや色素沈着などになります。

これを逆手にとったのがアートメイク。真皮と表皮ギリギリの厚さ0.1〜0.2ミリにかけて、色素液のついた針をいれ、わざと色素沈着を起こすのです。

<Dr.片桐よりアドバイス>
アートメイクは肌に針を入れるハードな施術。医療機関で行えば安全性やアフターケア面で安心できますし、麻酔ができるので患者さんの負担も少ないと思います。ただ、「傷や色素沈着を治す」のが目的である医療の考え方からすると逆の行為なので、医師が行っているところは少ないのです。それにかなり高いメイクアップセンスが必要なので、メイクの専門家でないと難しい、という技術的な面での問題もあります。



なぜ今、アートメイクが流行っているの?

アートメイクに関する認識は、ここ数年で大きく変わりました。一番の変化は
施術をしても、2〜3年で薄くなるという点です。
「入れ墨」という言葉には一生モノといったニュアンスが含まれますし、実際に従来のアートメイクは一度やるとずっと色が抜けませんでした。
ところが今は消えます。それは、色を入れる方法が変化したからなのです。

      メリット デメリット
従来 手彫り 細長い針で、1点ずつ色を入れていく
深く色を入れることができる
くっきりはっきり発色
一度入れると消えにくい
痛みが強い
時間がかかる
新方式 手彫り 細長い針で、1点ずつ色を入れていく
手彫りならではのきめ細やかな施術が可能
施術者の技術力によるところが大きいので施術者選びは慎重に
機械式 ボールペンのように、筒の先から針が出たり入ったりするハンディマシン。針は自動的にスピーディに動き、ある一定の長さ以上には出ないようになっている。
一定の浅い部分に色を入れられる
施術にかかる時間が速い
ぼかした感じの発色になる
浅い部分に入れるので、数年で褪色する
色の定着が悪い
機械を使うとはいえ施術者の技術力によるところが大きいので施術者選びは慎重に

写真が、アートメイク専用のマシン。
針は毎回使い捨てで衛生的です。
色素も写真のように微妙な色を数色混ぜて自分の色を作れるので、決して「海苔が張り付いたような真っ黒眉毛」などにはなりません。

◎新方式は、「1回で永久」ではなく、「数回のお直し」で完成させる。
 色の定着が悪い、という点をうまく利用して、今のアートメイクは「何度か繰り返して色を重ねていく」という方式をとるようになっています。
 具体的には、仕上がりの予想のつきにくい1回目は控えめに色を入れて、落ち着いて2〜4週間くらいたったところで、再度施術をして色を加えていくのです。料金的にも、「○回目までのお直しは無料(もしくは割引)」という設定をしているところが多くなっています。ちなみに今回ライターが施術したサロンは、最初から「2回分で1セット」という料金設定でした。

☆「新方法式」での手彫りは従来の技術と大きく異なります。技術力の高い施術者であれば、きめ細やかなニュアンスのある仕上がりを期待出来ます。

▼アートメイク歴5年のYさん体験談
眉毛とアイラインにアートメイクをしています。眉毛は流行の変化が激しいから、いずれ色が薄くなる「機械式」が絶対にいいと思う。もう眉毛は3回体験しているけれど、その都度微妙にラインを変えています。発色も薄いから、日によって眉の形を変えたいときにも対応できて便利。
ただ、アイラインに関しては、流行もなく黒1色しかありえないので、私は手彫り式で入れました。痛いのは一生のうち一度だけで十分だし、アイラインの発色は濃いほうがいいですからね。

<Dr.片桐よりアドバイス>
万が一、仕上がりが気に入らない場合や濃すぎる場合などは、医療機関にてレーザーで消すことができます。実際、10年くらい前に流行した太眉デザインのアートメイクをした方は、消すために来院することが多いようです。ただし、眉の場合、眉毛が抜けないようにレーザーを当てる技術が必要ですし、レーザー後はしばらく、その部位が他とは違う肌色になることもあります。後で消したくなるような濃いラインをやみくもに入れるのは得策ではありません。
だから色を入れるときは、まずは控えめなラインで挑戦して、その後少しずつ足していく、という方法が絶対におすすめです。



アートメイクにはどんな種類がありますか?

基本的には、針の入るところにはどこにでも色をつけられますが、やはりダントツに多いのは眉、その次にアイラインのようです。

部位 かかる時間と費用の相場  
両眉で約30分
約3〜8万円
アートメイクの中では比較的痛みが少なく、初心者むけ。ただし流行の変化の激しい部位なので、必ず将来的に消える施術法を選ぶこと。
アイライン 両目で約10分
上下に入れる場合はさらにその倍。
約3〜15万円
まつげの間を埋めるように、内側のピンク色の粘膜に色を入れていくのをインサイドライン、外にラインづけをするのをアウトラインと呼ぶ。インサイドラインは、他人に色を入れているとは気づかれにくく、しかも目の印象を高める効果は高い。
ラインのみなら約10分、全体だと1時間弱
約10〜20万円
口角の下がりや、血色の悪さを補正。
ラインだけ入れるとスッピンのときに怖くなるので、入れるなら必ず全体に入れること。
唇の周りの黒ずみ部分に肌色を入れて、リップラインをきれいに整えたり口角を上げたり、という入れ方もできる。
その他、ホクロを作ったり、乳首部分に明るい色を入れるなどといった施術もあるようです。今ほどレーザーが普及していない頃は、シミに肌色のアートメイクをする人もいたようです。


筆者のまわりの体験者を見てみると、顔の変化度がもっとも高いのはアイライン! けれどまつげの生え際に黒色を入れるため、本人が言わない限り、見た目ではまず施術したことに気づきません。「人に気づかれずにさらに美人になる」方法としてはとても有効と言えるでしょう。

<Dr.片桐よりアドバイス>
目や唇の場合は粘膜に色を入れるわけですから、腫れや痛みも強く、また色素も後まで残りやすい可能性があります。



いざ、サロンに突撃!! 体験レポート

◎◎ 新方式は、「1回で永久」ではなく、
  「数回のお直し」で完成させる。

施術日を決めるにあたって、肌が敏感になりがちな生理前と、貧血をおこしがちな生理中は避けます。

<Dr.片桐よりアドバイス>
過去にケロイド体質(傷が化膿しやすい体質)と診断されたり、アトピーなど肌のトラブルがある場合は、施術をするのは止めましょう。また、糖尿病や血小板の病気など、血が止まりにくい体質の人は、施術前に医師に相談をしてから。


◎◎ サロン選び
実は、これがいちばん大切なことです。
アートメイクは、担当者のセンスで全てが決まります。その人の施したメイクが数年間も自分の顔に残るのですから、センスの合う人を選んでください。
いちばんいいのは、実際に体験した人の顔を見ること。友達などでセンス良くアートメイクをしている人がいたら、その人に紹介してもらうのが一番でしょう。無理な場合は、サロンに「お話だけ聞きたい」といって見学に行くことです。そのとき、過去のお客様の体験写真があれば、見せてもらいます。また、サロンのスタッフ同士はお互いにメイクをしている場合が多いですから、スタッフの顔を良く見て「そのメイクがいい!」という人がいるならば、実際に施術をしたのが誰なのかを聞いて指名しましょう。いずれにせよ、サロンの名前だけでなく担当者までおさえることがポイントです。
失礼な行為かもしれませんが、担当者自身の顔を良く見ることです。毎朝鏡に向かって「これで良し」と思ってから出勤しているわけですから、そのセンスが自分に合うかどうかがとても大切なのです。

筆者の場合は、取材などで都内のサロン5件を回っていたのですが「ラインが鋭角すぎる」「あそこは色が赤っぽい」などいろいろ個性差を感じることが多かったです。そこで、細めで女性っぽいラインを描き(つまり後から書き足せるという訳)、2回に分けて徐々に色を入れていく方式をとっている、個人の自宅で施術をしている面高さん、という女性にお願いしました。同業ライターからの紹介です。
物心ついたときから眉毛が薄いのが悩みだったので、今回はアイブロウに色を入れてもらうことにしました。


◎◎ 事前カウンセリングスタート!(約30分)
サロンでは、まずはアイブロウを使って、どんなアイブロウを入れるかカウンセリングを行います。
多くの人は、眉に左右差があるので、どちらの形に合わせるか、どの程度まで色を入れるか、といったことを具体的に決めます。
鏡を見ているとだんだん迷いますが、「迷うぐらいなら入れるのは次のときにすれば良い」ぐらいの大きな気持ちで、あれこれ事前に描いてもらいましょう。とにかく絶対に後悔しないラインを決めること、これには時間をかけてください
美容関係者のなかには、事前にプロのメイクアップアーティストに眉などを描いてもらい、そのままの色・形で!という指定をする人もいます。もし身近にそういう人がいるのなら(美容師、美容部員など)、施術前に描いてもらうとより良いかもしれません。


◎◎ いざ、施術スタート!!(約30分)
部位を消毒して、いよいよ施術に。
針はもちろん、新品を使用します(念のため、目の前で交換してもらいましょう)。
チクチク、チクチク。
小さな痛みが続きます。
私が今まで取材した体験者は「毛抜きで3〜5本ずつ抜いているような痛み」「シャーペンの先の銀色部分でひっかかれるような痛み」といっていましたが、まさにそんな感じ。個人的には、小学校の頃、ツベルクリンか何かで「はんこ注射」というのをした感覚を思い出しました。あれを足踏みミシンの速度で、チク、チク、と繰り返している感じです。
痛くない、といえばウソになりますし、逆に二度と体験するのも嫌なほど痛いか、といえばそれほどでもありません。面高先生によると「眉毛は30分かかるから、時間に耐えるのがちょっと大変ですね。アイラインは10分で済むから、そちらのほうが楽、という人も多いですよ」とのこと。ちなみに、人によっては途中で寝てしまう人もいるそうで、「痛いから」といって途中で止めた人は今のところいないそう。
「歯医者さんにかかる感覚と似ていますよね。お客さんでも、歯医者さんが苦手な人はやはり、アートメイクでも緊張して痛みを感じやすいようです」(面高さん)


◎◎ 施術完了!
(施術前)
まばら眉毛がコンプレックスで、どんなことがあっても細眉にできなかった私。
近所にすっぴんででかけるときも、眉は必ず書かないと出られません。
(施術直後)
施術が終わって、全体に炎症止めの軟膏を塗布した状態です。やや赤っぽいのがわかりますか? 現在この部分は傷の状態なので、色が濃く赤っぽいのです。3〜4日くらい、この濃さが続きます。
(2週間後)
施術5日目頃から、傷が乾いてかさぶたのようなものや白い新生皮膚がポロポロとはがれ落ちてきます。全てがはがれ落ちて、落ち着いたところ。どうです?ナチュラルな仕上がりでしょう?これですっぴんですよ!

(経過はこんな感じです)
施術直後
軟膏を塗り、保冷剤で冷やします
市販のアイマスクでもいいし、ライターの場合はケーキを買うとついてくる保冷剤を使いましたが、軽くて肌当たりもよく便利でした。
当日
アイラインの場合は、当日・翌日はコンタクトを外して腫れが引くのをまちましょう
施術を午前中に行い、お昼いっぱい冷やして午後は仕事で街をあちこち歩きましたが、別に痛むこともなく、道行く人に見つめられたりもせず、普通に過ごせました。
ただし当日と翌日はやはり「何かやったな」というのが傍目にわかる状態です。
施術後2〜4日
腫れが徐々に引きます
眉の色はかなり濃い状態です
見た目にはなんともないのですが、さわると皮膚が生々しい感じ。シャンプーや洗顔をするときは、軟膏をこんもりと塗り重ねて水分が当たらないようにし、その後低温のドライヤーで乾かしていました。
施術5日目ごろから
傷が治り、かさぶたや新生皮膚がポロポロとはがれてきます
かさぶたがはがれるときはかゆいですが、さわってはダメです。
この当たりから、傷口が乾いてきて、水でぬらしても大丈夫な感じになります。
赤いかさぶたがはがれ、眉が本来の色になります。
施術2〜4週間後(再施術)
薄いところに色をさらに加えるなどし、色を定着させます
ライターは色落ちの経過を早くみたかったので、2回目はまだ行っていません。
現在3ヶ月くらい経って、7割の色が残っているといった感じです。


◎◎ アフターケアに気をつけることは?
まず大切なのが、腫れを早く引かせること。少なくとも翌日までは、長時間の入浴や激しい運動を避けましょう。ほてりを感じたら冷やして。そのうえで、皮膚を清潔にして、なるべく乾いた状態に保つこと。さらに、ビタミンBやCなど、代謝を高めて皮膚を正常に保つビタミンを多く摂ると良いでしょう。
「施術後は敏感な状態になっています。少しでも不安なことがあれば、皮膚科医にすぐに相談すること。化膿止めや抗炎剤などを保険診療で処方します。市販の薬による自己治療は、心配なので避けてください」(片桐先生)



施術を終えて

筆者は施術してから約3ヵ月たちますが、2回目の色の定着を行っていないこともあり、徐々に色が薄くなってきています。
まわりの体験者を見ても、機械式で入れた人は1年も経つと色が薄くなり、2〜3年たつとどこが色を入れた部分なのかよくわからなくなるようです。
褪色の様子は、ヘアカラーが褪せていく感じとよく似ています。ヘアカラーを入れて1〜2ヶ月もすると、人によっては赤っぽくなったり、灰色っぽくなったりしながらだんだん薄くなっていきますが、そういう感じで薄くなっていきます。

◎◎ 体験者の声
筆者自身で言えば、今まで「眉を書くのはおしゃれじゃなくて身だしなみ。こんな麻呂顔、絶対に人前にさらせない」と思い、すっぴんだろうがプールに入るときだろうが一生懸命眉を書いていたのですが、それがなくなり本当に楽になりました。施術直後は「顔に針をさすなんて・・・」と私を大批判していた家族も「入れてよかったねえ、すっぴんが見違えるようによくなったよ」といってくれています。
ちなみに、サロンのお客様の年代は、眉は30〜60代と幅広く、アイラインは20代の若い人に多いようです。
私はとにかく手先が不器用で、眉を整えるのは今までヘアサロンで頼んでいました。だけどそんなに頻繁に通えるものでもないので、整えた直後以外はいつもボサボサといった感じ。アートメイクなら、きれいな状態が続くので本当に便利です。(20代 会社員)
持病の腰痛で入院したとき、大変困りました。お見舞いやら何やらで意外と人に見られる時間が多いのです。病院の中でフルメイクするのも変でしょうし、だからといってすっぴんを見られるのも気分が悪くて憂鬱でした。これからまたいつ入院するかわからないし・・・と思い、退院したと同時に、さっそくアートメイクを実行。腰痛をブロックする薬を飲んでいたせいか、針の痛みは全く感じず、ラッキーでした。(50代 主婦)
奥二重の小さな目で、「どこを見ているかわからない目」と昔から言われていました。雑誌のメイク特集などを見て目を大きくみせるよう努力していたのですが、どんなに上手にメイクしても、まぶた同士が触れ合ってしまうため、時間がたつと崩れてしまうのです。そこでアイラインのアートメイクを。目力がとても強くなったし、たとえすっぴんで歩いても不自然ではない色の入り方なので本当に入れてよかったです。(30代 会社員)
週末はサーフィンに行くことの多い私にとって、眉が薄いことは頭の痛い問題でした。描くことはそれほど嫌ではないのですが、日焼け止めを塗っただけの肌だとベタベタしてペンシルが滑ってしまって、うまく描けないんですよね。
アートメイクの眉があれば、心置きなく日焼け止めの塗りなおしができるので便利です。ただ、地肌に色がついてるので「すっぴん眉」という印象ではなく「いつでも眉だけメイクしてる」という印象の顔にはなります。(20代 会社員)


もりたじゅんこ) 

writer's eyes
以上、ドキドキの体験レポートいかがでしたでしょうか?
かなり積極的な施術なので、誰にでもおすすめするわけにはいきませんが、少なくとも「出かける前に必ず時間をとって眉やアイラインを描いている、描かないと出かけられない」というレベルなら、アートメイクをやってみるのも悪くないと思います。私自身は、日々の生活から眉の悩みを追い出したことで、とても楽になり満足しています。

■取材協力/ アートメイクを受ける際のケアについてお話をうかがいました
片桐衣理先生

内科医・皮膚科医。
先生ご自身も美容やコスメに関心が高く、なんとアートメイクの経験もあるそう。
だから「きれいになりたい」という女性の気持ちを理解してくれて、肌荒れ時のメーキャップや化粧品についても、具体的にアドバイスをいただけます。
アートメイクのような、どちらかというと肌をいじめる施術については、それを理解してくれるドクターのサポートがあると、非常に安心です。

衣理クリニック
墨田区菊川3-20―9
03-5625-9938

  アートメイクを担当していただきました
面高ちえ先生

ネイリストの講師として活躍されつつ、5年ほど前からアートメイク施術も。
現在はほとんど口コミのお客様ばかりだそうで、予約のあるときに、ご自宅のサンルーム(写真後ろにあるガラスルーム)にて施術を行っています。
眉のラインはスーっと細めの女性らしい感じです。

東京都渋谷区東1-5-10
電話予約:03-5485-8744
アートメイク(眉・アイライン)
各2回 \33,000



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