2003.10.8号




 「えっ、天使に足があったっけ?」なんて戸惑いがちなタイトルですが、要は“天使のようにやさしく軽やかな足取りを手に入れたい”という思いから、「足の健康に注意を払っているドイツ人のフット・ライフに接近してみよう」というのが今回のテーマ。思えば昨今流行のリフレクソロジーよりも前から、ペディキュア(=足のトラブルのケア)という名で耳馴染みあるドイツ式フットケア。「足と健康」を考えた際、すぐさま思い浮かぶのはドイツだったというわけです。そこで天使と言えばやはり、かの地、ドイツ人監督ヴィム・ヴェンダースの映画にも登場した金色に輝く天使の像がある街、ベルリン。求める答えを探しに、いざ天使に誘惑されてみましょうか?  イメージ

ドイツ国旗 ドイツの子供達と靴

 「ドイツ人は大抵、子供が歩き始める時から、良い靴を履かせますね」と語るのはミュンヘン出身のぺトラさん。その良い靴というのは、オートぺディ・シューマイスター(整形外科の知識を持った専門の靴職人)という国家資格を持った職人が製作に携わる、足にフィットする靴のことです。 いわゆるスポーツシューズなどに比べて、成長期にはちょっと高価に感じるかもしれませんが、子供の健康(=しっかりした足を作りたい)を考えれば決して無駄なことではないというのがドイツ人的考え方のようです。 ちなみにお医者さんが子供の足を診て、偏平足だとかO脚やX脚など、トラブルを抱えていると判断した場合、健康保険で年間3足ほどその子供の足に適した靴を提供してくれるといいますから、ドイツの子供達は安心して足の健康と向き合えます。
  思えば、私、若いの頃、かつて足裏のトラブルで外科へ通院した際、中敷を保険で作った記憶があります。


ドイツ国旗 「それは足の開放から始まった…」
          by“トリッペン”アンジェラ&ミヒャエル

アンジェラ&ミヒャエル  歩き始めから既に足の健康に配慮したフットライフがスタートしているドイツ人。ならば大人になってもそれは変わらないのだろうか? たとえば今年春、日本上陸20周年を迎えた1774年創業のドイツの老舗「ビリケンシュトック」。医学的に裏打ちされたリアルコンフォートでありながら、デザイン性と機能性を併せ持ったフットウェアとして、子供から大人まで幅広い層に愛用されています。(www.birkenstockjpn.co.jp
 さて一方、日本でも知る人ぞ知る、1995年、ベルリン生まれのデザイナーズブランド「トリッペン」。靴職人のマイスター(特別技術者資格)でもあるミヒャエル・ウーラー(Michael Oehler)と著名ブランドのデザイナーとしても活躍されたアンジェラ・シュピーツ(Angela Spieth)により生み出された「夢のような履き心地と、モードなデザイン性」を兼ね備えた靴は、ヨージ・ヤマモトなどデザイナーとのコラボレーションをはじめ、世界の人々を魅了するばかりか、デザイン賞(ドイツ・国際デザインセンター)、グッドデザイン賞(日本)、シカゴ・デザインミュージアム賞ほか、国内外で多数受賞歴を誇ります。そこで、昨年10月にオープンした「trippen museum」の隣のカフェで、彼等二人に靴作りに対する想いなどについて伺ってみました。(www.trippen.co.jp
以下、A:アンジェラ・シュピーツM:ミヒャエル・ウーラー

A: 足は人間の身体の大切な部分、何しろ人間は毎日歩くでしょ?だから鼻で呼吸するように、靴にも余裕がないと足が圧迫されて呼吸できないし、また靴の中を健康に維持するのにも余裕は大事よね。だから、良い靴というのは、健康的である必要があるわけ。   
M: 20世紀初頭、「Natural Living」(自然回帰志向)という大きな動きが高まった時、若者達は「自由に生きよう」というスローガンのもと、街中を闊歩したそうなんだよね。
A: それは1912年から20年にかけて起こった最初のヒッピームーブメントで「WANDERVOGEL(ワンダーフォーゲル)」というもの。 人々は自然に帰り、森を歩いたり、裸でダンスしたり、音楽を作ったり、ベジタリアンになったり、ルーズフィットなドレスを着たり…。ちょうどその頃、1920年にドイツでもNatural Shaped(足に自然にフィットする)の靴ができたのよ。
M: トリッペンもある意味そうだけど、こうしたスタイルは今なおドイツで続いているんだよね。ヨーロッパの他の国では見られない伝統だと思うよ。
A: ちなみに私達が作る靴は、アナトミックシェイプ(解剖学に基づくデザイン)にできているので、大概の人の足にフィットするわ。たとえば靴の中央につま先がくるような爪にダメージを与えてしまうような、幅の余裕のないものもないし、代表作でもある木の靴底のものは、汗ばむ夏には快適だし、かかとに負担がかかるような平たい底でなく足の動きに自然に転がるようにデザインされているから、背骨や腰にトラブルのある人にもフィットするのよ。
M: もともとジュエリーみたいに手工芸品みたいな靴を作りたいと思って、靴のデザイナーになったんだ。ちなみに僕の靴作りに対する思想というのは、プロダクトデザインとかファッションデザインとは違う、より機能重視なんだ。ところで、僕が取得した靴職人のマイスターだけど、約7年はかかるんだ。これは靴を作る技術に加え、靴作りの開発や製作、「Creative part of shoesdesign」(靴のデザインにおける創作的な部分)をよく理解することでもあるんだよ。
A: この秋冬コレクションは、チョコレートからインスピレーションを受けているの。沢山の柔らかいブーツが登場するんだけど、それらは、その人の体型や履き方で、いかようにもアレンジできるものなのよ。このシンプルでおとぎばなしの登場人物みたいなブーツは、中世の十字軍のブーツにインスパイアされているの。

というわけで早速、私もトリッペンを身につけてみたのですが、あたかも履いていないかのようなフィット感が心地良いかぎり。


ドイツ国旗 ドイツ式フットケア〜サロン編

"CLUB OLYMPUS SPA&FITNESS"
(GRAND HYATT BERLIN)
<キャリア10年強のフットセラピスト、アドリアーナ流>
アドリアーナ まずお客さまに目を閉じて横たわってもらい、リラックス度を上げる程度に照明を落とし、外界のものから意識を遠ざけていき無の状態へ導きます。その際、10種類以上のBGMの中から各自が心地良いと思うものを選びます。(私が選んだのは、チャクラに響くヒーリング音楽)。セラピストはその人の身体の状態を診てオイルを決め、各自の状態に合わせ、筋肉や骨にタッチしながらマッサージしていきます。
そして片足を終えた時、「もう一方の足をどういう風に感じる?」と聞かれます。 この際、身体の内で感じることを尋ねられているので、具体的に答える必要はありません。たとえば「羽がはえたみたいです…」なんていうのもありです。こうしてもう一方のマッサージが開始。ウトウトしながら気づくともう起きなければならない時間。つまりfinish!(40ユーロ・約5,300円/30分、70ユーロ・約9,200円/60分)
グランド ハイアット・スタイルともいえるシンプルなトリートメントルームは、ZENの趣のする空間です。(www.berlin.grand.hyatt.com

夢見心地になりながら足を預けること60分。セラピストの東洋を想わせる流儀にゆっくり時間が流れていく。終わったときに声をかけられ、“フット”我に返るのだが、確かに天使のように足が軽い。明日の元気を取り戻せた気分。DANKE!

KOSMETIK INSTITUT
<看護婦のキャリアもあるセラピスト、モニカ流>  
モニカ                                            Jacob</font> いわゆる住宅街の一角にあるこじんまりとしたここは、例の「トリッペン」の二人が推薦のサロン。ガラスのドアを開けると、そこに広がるリゾートホテルのスパのレセプションのような受付で、ドイツ語と片言の英語でその日のメニューの相談。この日はペディキュアと決定した後、奥のトリートメントルームへと進む。 手順は、10分位の足浴〜爪、甘皮のケア〜角質除去〜マッサージ〜希望によりネイルカラー。日本でいうところのドイツ式フットケアと同じ内容。言葉の壁はあるが、明るい笑顔と手際の良い技術。14ユーロ・約1,850円/約40分、は嬉しい限り。(Tel:+49-30-442-69-06)

日本のサロンで見かける泡の出るフットバスではなく、ごくシンプルにお湯をはった桶に足をつけるとか、リクライニングチェアでなく、普通に腰掛ける椅子だったり…と、手頃な価格で「質」重視なところがドイツらしい。 モニカさんいわく「足の指よりやや短めにカットされた爪がドイツ流」とのこと。

ドイツ国旗 ドイツ式フットケア〜自宅編


GEHWOL&WELEDA上記登場のセラピスト、モニカさん推薦のフットケアブランド。フットプリントのトレードマークで知られるこちらは、各種症状により異なる17種類のクリームなど、充実度ピカイチ。 Frische-Balsam:4.55ユーロ・約600円/75mlは疲労回復をはじめ殺菌効果など5つの効果を併せ持つミントの香りが爽やかなクリーム。

自然の力で健康に導く製品で知られるドイツの著名ブランド。ボディケア製品のひとつで、薬局の女性も愛用のフットクリーム「Fußbalsam」5.65ユーロ・約750円/75mlは、疲れた足を元気にさせ、さらにベタつきなくサラッとした感触でいながら肌を滑らかに保ってくれる優れもの。

日本未発売と思われるボディケア製品が充実のブランド。薬局のスタッフが選んでくれた足浴用ソルト「Sole Fußbad」2.65ユーロ・約350円/10×10gは、3〜5リットルの温水に1パックを溶かし、10〜20分足浴すると疲れが緩和。


ドイツ国旗 ドイツ的フットライフ2003

全てのドイツ人とは言えなくとも、子供から大人まで彼等の靴に対する思想の基本はやはり、「足が開放された」感覚なのではないかと実感。とはいえ、デザイン性にもこだわりを求めるのがモダン・ジャーマン・スタイルのよう。一方、街中のドラッグストアで手軽に見つけられる、足の疲れやダメージケア用のフットクリームやローション、フットバス用ソルトなど、フットケアもののバリエーションの豊富さもドイツ流と言えるでしょう。以上が「ドイツ的フットライフ2003」。何かしら参考になりました?  ちなみに、金色に輝くベルリンの天使には足が。“TÜß!”(=じゃあまたね)と束の間の別れを告げ、ベルリンを後にしたある日のりんだでした。

掲載の各価格は、2003年8月現在)

■Special Thanks to/ Ms.Angela Spieth&Mr.Michael Oehler(“trippen”)
GRAND HYATT BERLIN CLUB OLYMPUS SPA&FITNESS
ドイツ観光局
イメージ参考資料/ ビルケンシュトック ジャパン
「足美人フットケア」(永峯由紀子著・マキノ出版)


(りんだ) 

writer's eyes
 「ドイツって足関係にこだわりがあるのかも?」と思い立ったら即行動。ボディもフェイシャルもいいけれど、フットケアはやっぱり不可欠。足にトラブルがあると身体に悪影響を及ぼすし、足の疲れが残っていると明日の元気が得られない。そしてできればスラリときれいな足を手に入れたい。というわけでドイツ的フットライフを再確認し、できる範囲でケアを忘れないよう心がける日々がスタートしました。



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