2004.2.10号





  近年、眼の乾き、かゆみや充血など、“ドライアイ”のさまざまな症状に悩む人が国内で推定800万人にのぼっています。なんとなく目が乾いているような気がするけれど、病気じゃないから・・・・・・と放っていませんか?ひどくなると日常生活に支障をきたすだけでなく、深刻な眼病を引き起こすもとになるので甘く考えるのは禁物です。 
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もしやアナタも!? ゴロゴロ、シバシバ、今すぐチェック!

「濡れたような瞳」「うるんだ瞳」・・・・・・美しさや感情を表すのによく使われる言葉ですが、これは医学的にいうと涙が眼の表面をきちんと覆っている状態を指します。 涙は1日2〜3 ml 分泌され、角膜を覆ってゴミを洗い流したり、酸素を角膜に届けたりという眼の健康を保つために重要な役割を担います。この涙の量が十分でないために、眼の表面が傷つきやすくなり、かゆみや充血などの不快な症状があらわれる、これが“ドライアイ”です。 下のドライアイ自己チェック表のうち、5つ以上思い当たる項目があったら要注意。

ドライアイ自己チェック表

眼がゴロゴロする
眼が痛い
眼がかゆい
眼が充血している
眼が疲れやすい
眼が乾いた感じがする
眼がチカチカする
まぶたが重い
涙が出る
コンタクトレンズが入りづらい(コンタクトレンズ着用の人)

最後から2番目の「涙が出る」については、ドライアイなのになぜ?と疑問に思う人もいるかと思いますが、これは眼の表面の乾燥により眼が刺激されて涙が出やすくなる(刺激性涙液分泌)という理由で、ドライアイの重要な自覚症状の一つなのです。


涙の分泌量不足よりも、蒸発が進むことで起こるドライアイが一般的

涙は一見、ただの水分と思われがち。でも実は、涙には酸素や栄養分、ナトリウムやカリウムなどの電解質、そしてリゾチームなどの殺菌作用の物質が含まれているのです。
角膜の表面には7ミクロンという薄さで、内側から「ムチン層」「油層」「涙液層」の3つの層で構成されています。

ムチン層 角膜の表面に涙をのせ、流れ落ちないようにする粘液の層。
油層 涙液の上からふたをするような形で覆い、涙の蒸発を防ぐ。マイボーム腺というまぶたに多く存在する組織から分泌される。
涙液層 ムチン層と油層の間にはさまれ、水分や栄養分を角膜に補給する。

ドライアイの原因には、シェーングレン症候群、その他の病気により涙液の分泌そのものが減少してしまう(涙液減少型)というものもありますが、それはごく少数で、ほとんどの人は涙の分泌量には異常がなく、蒸発量が多くなること(蒸発亢進型)が原因です。
では、なぜ蒸発が進んでしまうのでしょうか。
第一に、まばたきの回数が少なくなることが挙げられます。涙は上まぶたの外側の骨の後ろにある涙腺という組織から分泌され、まばたきによって眼の表面に均一にのります。そのため、まばたきの回数が少なくなると涙が眼の表面にのる回数も少なくなり、その間にどんどん蒸発してしまうということです。
第二に、蒸発を防ぐために油分を分泌するマイボーム腺が何らかの異常で機能不全に陥った場合も、蒸発が進んで眼が乾きます。なお、このマイボーム腺は男性ホルモンの影響を受けやすいので、男性ホルモンの少ない女性は男性よりもドライアイが多いのです。
第三に、コンタクトレンズもドライアイの原因になると考えられます。 コンタクトレンズが涙の水分を吸収したり(ソフトコンタクトレンズの場合)、レンズの上の水分が蒸発しやすくなったりするからです。
ドライアイが悪化すると、眼の表面はさしずめ砂漠のよう。かさかさ、カラカラで外からの刺激をもろに受け、角膜に傷がつき、そこからばい菌が入るなどで深刻な眼病の危険にさらされることになるのです。

ドライアイが進行すると、眼の表面に無数の傷がつき、角膜や結膜がはがれてしまうなどの障害を起こすことも。写真は結膜上皮障害の例。(右下の白い点状部分。診察用の細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)機器で撮影)


角膜もターンオーバーしている !?

乾燥、パソコン、コンタクトレンズ、
            ごく普通の環境でドライアイになる!

ドライアイになりやすい条件、それはズバリ「乾燥した場所でまばたきをせず見つめていること」。人間は何かに集中しているとき、まばたきの回数が減ります。通常 1 分間に 20 〜 24 回起こるまばたきも、例えばパソコン作業をしている間は4〜6回に激減。これでは涙が角膜に十分供給されず、どんどん蒸発してしまいます。
下に、ドライアイになりやすい環境をピックアップしました。いずれも現代人の生活に多く見られる場面です。
長時間パソコンに向かっている
パソコンを使った仕事につく人の4人に3人がドライアイといわれている。テレビゲームや携帯メールの見すぎにも要注意。
長時間細かい作業をしている
細かい作業を続けていると、まばたきの回数が少なくなるので眼の表面の乾燥が進む。
長時間車の運転をしている
運転中は前方を注視しているためまばたきの回数が減る。また、車内は乾燥しがちで、夏でもカーエアコンをつけると乾燥しやすいため、ドライアイになりやすい。
部屋が乾燥している
特に冬の室内は乾燥が激しいためドライアイ症状が悪化しやすい。また夏でもエアコンで乾燥する。
長時間コンタクトレンズをつけたままにしている
コンタクトレンズの装用で眼表面の涙の蒸発が進む。特にソフトコンタクトレンズの場合、含水性(水を含む性質)により涙が ソフトコンタクトレンズに吸収されて蒸発しやすくなり、装用時間が長いとさらに酸素不足を生じる。


花粉症の人は要注意! ドライアイが症状を悪化させる !?


コンタクトレンズで角膜障害も !?
          ドライアイにやさしいコンタクトレンズとは・・・

近年、低価格化が進み、すっかり身近になったコンタクトレンズ。でもちょっと待って! もし裸眼よりも視力が上がりさえすれば OKと、安易な気持ちでつくったり、面倒くさいからとケアを手抜きしていたりしたら、それがドライアイを悪化させるだけでなく、後々重篤な眼の病気を引き起こすもとにもなりかねません。
というのも、角膜を覆う コンタクトレンズはどんなに質の良いものでも角膜を酸素不足の状態にするから。高品質の コンタクトレンズでも角膜は富士山の頂上、品質が良くないとエベレストの頂上と同レベルの酸素状態なのです。 日本眼科医会の調査によると、コンタクトレンズ装用者の10人に1人が何らかの眼障害を生じているというデータも。
ドライアイの人ならなおさら、コンタクトレンズ選びには慎重にならないといけないというわけです。
理論上、ドライアイの人にはハードコンタクトレンズが適しています。ソフトコンタクトレンズの場合、その含水性(水を含む性質)により涙が吸収されて蒸発しやすくなり、ドライアイを悪化させてしまうおそれがあるからです。また、ソフトコンタクトレンズは柔らかく装着感が良いため、眼障害が生じても気付きにくいという一面も。その点、ハードコンタクトレンズは異常に早く気付き、軽症ですむことが多いのです。
しかし、ハードコンタクレンズには外れやすい、異物感があるというマイナス面もあり、実際に4〜5割の人は装用できません。そこで、次にすすめられるのが使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズということになります。 一日で捨てるタイプと2週間毎日使用するタイプがその代表ですが、それでも最近は使用期間を守らなかったり、ケアをしなかったりなどの間違った使用法による眼障害が急増しています。
コンタクトレンズをつくる際はきちんと専門医の診断を受けて自分の眼の状態に合ったコンタクトレンズを選ぶこと、そして使用法を守ることが大切です。なお、ひところ多かった、寝ている間も使用する連続装用 ソフトコンタクトレンズは日本だけでなく欧米でも重症化した眼障害を生じるというのが専門医の認識です。ドライアイの人が連続装用ソフトコンタクトレンズを使用するとドライアイでない人の10倍も角膜障害を生ずるというデータもあります。

ドライアイを予防するために

ドライアイの予防や軽減には、まず意識してまばたきをすること、パソコンをするときには 30分に1度は休憩をとること、そして加湿器を使うなど部屋を乾燥させないことが大切です。涙を蒸発させにくくする油分を分泌するマイボーム腺はまぶたにたくさんあるので、蒸しタオルなどでまぶたを温めることも分泌の促進に効果的。冒頭のドライアイ自己チェック表のチェック項目の症状が強く出ていたらすぐに眼科へ。検査の上ドライアイと診断されれば、防腐剤が含まれていない人工涙液の目薬や、水分を保つ効果が高いヒアルロン酸入りの目薬が処方されます。また、乾燥を防ぐために、ドライアイ防止めがねというゴーグルのようなものや、モイストチェンバー(めがねにカバーと湿らせるスポンジがつく)などがあります。


■取材協力/ 宇津見眼科医院/院長 宇津見義一先生
 
医学博士。日本眼科学会専門医。昭和 53 年北里大学医学部卒。 社会保険埼玉中央病院眼科部長、済生会神奈川県病院眼科医長等を経て平成2年より宇津見眼科医院院長。慶應大学病院眼科コンタクトレンズ( CL )外来担当、北里大学病院 CL 外来担当、神奈川県眼科医会理事、日本眼科医会常任理事を兼任し現在に至る。
宇津見眼科医院
〒 231-0066
神奈川県横浜市中区日ノ出町 2-112
電話:045-231-7975   http://www.utsumieyeclinic.jp/index.html

渡邉真由美 ) 

writer's eyes
  1日8時間のパソコン作業は当たり前、眼がシバシバしてきても「ええい、気合いで乗り切る!」などとワケのわからない喝でごまかしてきたワタシにとって、今回の取材は何とも耳の痛いお話ばかり。しかも○年前、色気づいて当時流行の「カラコン」なんかしていたし。案の定?取材後にきちんと診察を受けたら「軽いドライアイですよ」と先生。以来、部屋に加湿器をつけ、処方の目薬もつけ、めがねも新しくして快調! でもパソコンに集中すると何時間でも画面を見たまま、、、の習性だけは改められないのです()。



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