ロミロミは、その土地の環境や人々の生活に密着した、いわば民間療法。ロミロミが誕生した背景はどんなものだったのか、そしてどんな風にして今この世に伝えられているのか、ハワイの簡単な歴史と、ハワイの人々の考え方をほんの少しお勉強してみましょう。
ハワイでは古くから、すべての自然には神が宿っているという考え方がありました。自分たちを囲む大自然に対し、この上ない敬意を払い、あらゆる自然の産物を崇め、自然のために祈りや踊りを捧げてきました。大自然に恵まれたハワイがどこまでも美しいと感じるのは、こうした古代ハワイアンたちと自然との“相思相愛”の関係が生んだといえるかもしれません。森羅万象=神であるという考え方を裏付けるいくつかの逸話の中に、“火の女神・ペレの呪い”というお話があるのをご存知ですか?キラウエアなどの一連の火山には女神・ペレが今も住んでいるといわれ、そこから石を持ち帰る者にはペレの呪いがかけられる……という何とも怖いお話。うっかりお土産に石を持ち帰ってしまい、後で怖くなって慌ててハワイに置きに来たり、航空郵便で送り返す(!)という観光客も結構いるそうです。
18世紀後期、カメハメハ大王が築いたハワイ王朝で、王族だけの治療法とされていたのがロミロミ。医療の存在しなかった古代ハワイにおいて、大自然の力、つまり神の力をもって身体を癒すというロミロミは特別な療法。同時に、クム(先生・師匠の意味)と呼ばれる選ばれし者だけがこの施術を行えるとされ、王族以外に、施すことも伝承することも許されないものでした。王族の血縁者たちの間で語り継がれていったロミロミ――。文字というものを持たなかった古代ハワイにおいて、そのロミロミの施術方法は一切の文献を持たず、すべてクムからの直伝でのみ伝承されました。フラの動きがすべて言葉を現していることからわかるように、様々な教えや考え方のほとんどは独自の言葉と動作でのみ伝えられていったのです。
ハワイがアメリカの領土となり観光地として繁栄を遂げる中、それまで血族内のみに継承されてきたロミロミをより多くの人々に伝承したいと考える人物がいました。それは、現在もハワイのロミロミ界で神様と呼ばれる女性、アンティ・マーガレット・マシャド。世紀をまたいでクムから学んだロミロミの手法を、ハワイの伝統を生かし続けるために語ることを決心したのです。90歳近くの高齢となった今でもハワイ島のコナ・コーストでロミロミを伝承し続けている、ロミロミのカフナ(最高権威の意味)です。
| さて、いよいよ現代ロミロミ界のクムのもとへ、いざ! |
現代では、ハワイに限らず、日本にもたくさんあるロミロミ・マッサージですが、本当の意味でその真髄を継承している“クム(先生)”はごく限られているとも聞きます。今回は、そんな由緒正しきロミロミを真の姿のまま継承しているノエラニ・ベネットさんの元を訪ねてみました♪
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Noelani Bennett(ノエラニ・ベネット)さん
プロフィール:ネイティブハワイアンであるノエラニさんは、前述のロミロミ界の重鎮、アンティ・マーガレットの元でロミロミを学び、施術歴は20年を越えるという大ベテラン。自らが施術を施すのと同時に、セラピストの指導も行っています。世界中の人々から指導要請が後をたたないという人気の秘密は、やはりどこまでも温かい笑顔と、包み込んでくれるパワフルなオーラ! |

おばあちゃん子だったノエラニさん。有名なスピリチュアル・ヒーラーだったお婆様の血を継いでロミロミの世界に入ったそうです。「たくさんいる孫たちはそれぞれ家の中で自分の役割を与えられるのですが、おばあちゃんが私に与えたのは、なんと、肩揉み(笑)。いずれロミロミのセラピストになることがわかっていたのか……不思議ですね」。
また、ノエラニさんのお婆様は前述のアンティ・マーガレットととても親しかったそうです。「おばあちゃんと一緒にアンティ・マーガレットのワークショップや彼女の自宅に通うようになって――本当に自然とそれが習慣になってしまって……。だから、私とロミロミを結びつけるきっかけとなったのは、おばあちゃん。本当に貴重で不思議なご縁でした」。
写真は、ノエラニさんの親愛なるおばあちゃん。優しさと信念に満ちたお顔……すっかり見入ってしまいました。
自然の万物に神が存在するというハワイならではの考え方があるように、ロミロミが一般的なマッサージと違うのは、「大自然の力=神様の力を人間の手をもってして身体の中に送り込む」という部分だとノエラニさんは語ります。そのため、単に施術方法だけを覚えて人と向き合っても、そこに本物の癒しは生まれないとのこと。自然から発せられるエネルギーを感じることができて初めて、その手の温もりが、身体の中に伝達されていく――それは“Loving
Touch”と呼ばれている通り、愛に満ちた究極の“手当て”なのかもしれません。ノエラニさんから頂いた名刺にも、「Hands
Toward Heaven」というメッセージが書かれています。手が天国(楽園・幸せ)に導く、なんて、温かい言葉ですね。
ノエラニさんのロミロミは、まず神に祈ることから始まります。「祈りは、ここに訪れた人との縁やめぐり合わせを感謝しながら自分の身体のように施術するために必要なこと。相手に対するリスペクトをもって、神様の力・自然の力を借りて癒すということを改めて念頭に置くためです」とノエラニさん。ロミロミのセラピストは、そのパワーの強さや偉大さを十分に理解してから施術することが何よりも大切であり、そのために心を常にクリアな状態にして臨むことが大切なのだそうです。そのため、セラピストにとって何よりも重要なのは、自分の精神をコントロールすること。全身全霊で臨む癒しであるだけに、ロミロミが究極のスピリチュアル・ヒーリングだといわれる理由、なんとなくわかってきますね。施術を受ける側も真摯な気分になる瞬間です。

施術の基本プロセスは、まずうつぶせの姿勢で、左半身からスタート。身体の左側というのは、女性的にとって最も大切な“受動的”エネルギーが集まっている部分なのだとか(これに対し、右半身は能動的なエネルギーが集まる部分)。左側の頭から足までを施術して、右半身を同様に行った後、今度は仰向けに。必要な施術をすべて終えて最終的に頭に戻って終了します。
ロミロミの動きは、肘や腕、足など全身を使った、とてもリズミカルなもの。全身をほぐしながら、筋肉の中に潜むストレスを取り去り、血行やリンパの流れを整えていきます。新陳代謝が活発になるので、肌や身体が若返り、同時に手の温もりによって心も癒される、それがロミロミの最大の効果です。
「踊りみたいでしょう?優雅に見えて強さもあるんですよ。施術者の呼吸も大切。大きく呼吸しながら、掌と腕、脚、腰を使ってのこの動きこそロミロミの代表的な動き。凝っているところは指先で感じ取っていきます。筋肉のどこに最も癒しが必要なのかを探しながら動いているんです」。
ノエラニさんのロミロミでは、施術の際にナッツのオイルにラベンダーとカモミールを混ぜた、ヒーリング効果の高いオイルを使用します。腰に下げているボトルの中に入っているのがそのオイルです。
オイルはただ、のばせばいいのではなく、これも実にリズミカルです。
それにしても、ノエラニさんの手は本当に温かいのです!オイルにその温度が伝わって、心地よい加減で身体に浸透していくのがわかります。
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| 写真は足のマッサージ。肩や首などに次いでコリが集中しやすい部分なので、足の裏はもちろん、足の甲までも丁寧なマッサージでほぐしていきます。足の甲をマッサージすることがこんなに気持ちいいとは思いませんでした! |
また、ロミロミでは、施術していない部分の露出を布でカバーする“ドレーピング”を必ず行います。これは、一見、何てことのない事に思えますが、実はとても重要。
「施術中に露出が気になったのでは心の底からリラックスできないでしょう?こうして露出を抑えてあげることは施術者とその人の信頼関係に繋がる重要なプロセスなんですよ」。
その通り、ごく単純なことながら、不安なく施術してもらえるというだけで、もう眠ってしまってもいいと思うほど安心感に包まれます!
ノエラニさんにロミロミのお話を伺っていると度々耳にする言葉がありました。それは「ホオポノポノ」という言葉。
これは、“物事を正しく整える”という意味を含む言葉なのだそうです。
「例えば身体の具合が悪い時、昔のハワイの人々は薬や治療など物理的な方法で治すのではなく、身体の中から湧き出る力で改善するという考えがありました。アンティ・マーガレットの教えのひとつに、“ホオポノポノ”という考え方があるのですが、これは、何か問題があったときには、家族で集まって気持ちの奥底から全部を吐き出す、というひとつの習慣からくる心の癒し方。古代からの家族のセラピーであり、信頼関係にある者同士が、皆でひとつのトラブルを理解し合って皆で解決するという昔からのスタイルなのです」。
ネイティブハワイアンたちの間では、現代でもその慣わしは変わっていないとのことでした。ネガティブなものはその日のうちに解決し、翌日まで心の中に残さない。シンプルだけど様々な問題を抱える現代人にとっては意外と難しいことのひとつですよね。
この“ホオポノポノ”という言葉は他にもいくつかの意味を持つそうなのですが、ロミロミの世界に限らず、いつでも心の中をクリアにして心身ともに健康でいられるための“お守り”のような言葉なのかもしれません。
| ロミロミで癒された人だけが体感する“心のクレンジング効果” |
ロミロミを受け終わった方々は皆どんな反応を示すのかを伺うと、すごく感動的な答えが返ってきました。
「まず施術前とは表情がまったく変わります。ロミロミは心を解き放す施術でもあるので、皆さんの表情は幸福感に満たされるんですね」。日本女性たちの反応は特に顕著だそう。日本の社会はおそらくとても複雑で、自分の感情を表に出さないことを良しとする傾向がありますよね。そのためなのか、施術した後でポロポロと涙をこぼす人も少なくありません。心を解き放ってこぼす涙は素晴らしいもの。心を洗い流す、クレンジング作用のある涙なので、とても前向きな良い効果が現れるんですよ」。
最後に、ノエラニさんにとってのロミロミはどんな存在かを尋ねると、ハニカミながら答えてくださいました。
「ロミロミを伝えていく立場から考えると、天からの恵み・ギフトを多くの人々に伝えていくということでしょうか……なんだか、照れてきちゃったわ(笑)」。
ロミロミについて惜しみなくお話してくれるノエラニさんの笑顔や仕草、ロミロミを日常にしてきたハワイの人々の透明な美しさに心底癒される喜びは何にも代えがたいものでした。
ロミロミは今や日本でも気軽に体験できるようになりましたが、この思想や施術を身体一杯に吸い込みたい!という方は、ぜひ、誕生の地・ハワイで受けてみることをおすすめします♪
| ■取材協力/ |
中村真由美(ハワイ・ホノルル在住) |
メディア関係のコーディネーションや通訳、またマッサージ・セラピストとして活躍中。
E-MAIL:mauimi@hotmail.com |
そして、ハワイに行ったらぜひノエラニさんの施術を受けたい!とお思いの方は上記の中村真由美さんにメール(日本語OK)でご連絡を!可能な限り、ノエラニさんとのスケジュール調整・予約をしてくれます。