やけどや手術、ケロイドなどの傷跡は、それを持つ人にとって大きな悩みです。
ましてや、顔や腕など目立つところにあれば、それだけで憂鬱。肌を見せるのをためらってしまうこともあるかもしれません。
そこで今回は、形成外科医の久保田賢子先生に、『最新の傷跡治療』についてお話を伺ってきました。
 
 
<傷跡の種類とケロイド>
いしゅくせいはんこん
萎縮性瘢痕
ニキビ痕などのように、皮膚組織が萎縮して陥没してしまった状態のこと
ひこうせいはんこん
肥厚性瘢痕


火傷や手術後、治癒していく過程で化膿を繰り返すなど、何らかの問題があった場合に起こる症状。皮膚が赤く盛り上がってミミズバレ状態になり、痛みや痒みを伴う場合がある
肥厚性瘢痕が関節やシワに直交してでき場合は、動きの多い部位だけになかなか治り難いという問題がある
ケロイド


肥厚性瘢痕と間違えやすいが、ケロイドは骨の上や関節部にできやすく、傷の範囲を超えて成長するのが特徴。肥厚性瘢痕と同じように赤く腫れ、痛みや痒みを伴う
体質や遺伝的なものが原因とされる

軽い傷であれば、傷口がふさがり元通りの状態になります。赤みを帯びて盛り上がった状態のまま引きつれなどがある場合は肥厚性瘢痕、またはケロイドと呼ばれます。
素人では、その傷跡が肥厚性のものなのかケロイドかは判断がつきにくいものですが、できやすい体質は確かにあるようです。

ライター中村: 「ケロイドになりやすい体質はありますか?」
久保田先生: 「肌の色が黒い人種ほどケロイド体質が多いといわれています。それは、黒人は白人より真皮が厚いため、傷を修復するまでに時間がかかり、肥厚性瘢痕ができやすくなるためです。とはいえ、人種に関係なく、もともとケロイド体質の人もいます」
ライター中村: 「美容的な面でいえば、真皮が厚いということはシワになり難いということですか?」
久保田先生: 「確かにそうですね。でも、一度できてしまったシワに関しては、元に戻るまで時間がかかることにもなります。とにかく、傷跡がなかなか治らなくてさらにひどくなるのであれば、できるだけ早くクリニックに行くことをお勧めしますね」
ライター中村: 「クリニックを訪れる方でケロイド体質の人は多いですか?」
久保田先生: 「いらっしゃいますよ。でも、傷がキレイに治らない=ケロイド体質ではありません。肥厚性瘢痕とケロイドは、傷跡が腫れあがり痛みや痒みがあるケースが多いため、見た目だけではなかなか判断できにくいものです。どちらかわからない場合は、一度形成外科医に診てもらったほうがいいでしょう」

<治療法について>
「たか子クリニック」では、手術跡や肥厚性瘢痕、ケロイドなどさまざまな症状に応じた治療法を行っています。
主な治療法は・・・
1.注射やテープによるステロイド治療
2. リザベン内服薬
3. シリコンジェルシート
4. レーザーによる治療
ここで注目したいのが、4.のレーザーによる治療法。
「たか子クリニック」では、ジェネシスと呼ばれるNd-YAGレーザーを使用した治療法を行っています。ジェネシスとは、もともとアンチエイジング(若返り)治療に用いられてきたレーザー。皮膚の下にある真皮層に働きかけ、コラーゲン繊維やエラスチン繊維をつくる細胞を活性化させて肌のハリを取り戻すというものです。この皮膚を再生させるというメカニズムを、傷跡治療に応用しているというわけです。
ここで、久保田先生にジェネシスを使い出したきっかけについて伺ってみました。
「ジェネシスを治療に取り入れたのは、軽い引きつれを起こした傷や赤みに照射したところ、改善がみられたというアメリカの皮膚科医の報告がきっかけでした。それを萎縮性・肥厚性瘢痕やケロイドに照射してみたところ、素晴らしい効果がありました。傷跡に悩んでいる患者さんには、まず安全でリスクの少ない治療法としてジェネシスを3週間に1度、5回程度繰り返すように薦めています。はっきり言って何がこのような効果を出しているのか、まだよくわかっていません。でも、本来ジェネシスは皮膚を健康にする目的に作られたものです。痛みもほとんどなく、ノーダウンタイムなので安心できますし、目に見える効果が出るために、患者さんからの満足度は高いですね」

ジェネシスを使用した傷跡の治療例

甲状腺の傷跡にジェネシスを5回ほど照射した結果。
赤みを帯びて膨らんでいた傷跡がすっかりフラットになり、赤みも引いた。

<ジェネシスは腱鞘炎やヘルペスにも効果的!>
ジェネシスを傷跡の治療に使っていたところ、さらに腱鞘炎とヘルペスにも効果があることがわかってきたとか。
「さまざまなクリニックで治療をしてきたものの、なかなか改善されないために手術も考えていた腱鞘炎の患者さんにジェネシスを試してみたんです。そうしたら、たった2回で完治したんです。また、ジェネシスはニキビ治療にもよい結果を出していますね」(久保田先生)。

<気になる治療費は?>
瘢痕やケロイドの手術や治療の場合、その部位に引きつれがあれば保険適応になります。外科的手術を行う場合は、3〜4万円ほど。保険が効かない場合でも、ステロイド注射の場合、初診代も含めて2,000円程度。また、シリコンのジェルシートは4,000〜5,000円ほどかかりますが、何度も繰り返し使えます。
「たか子クリニック」では、ジェネシスによるニキビ跡治療はお試しコースとして2回で50,000円です。
症状によって多少料金は異なります。

<どれだけリスクを少なく傷を目立たなくしていくかが、最大のポイント>
やけどや傷跡で悩んでいる人にとって気になるのは、どれだけ安全に傷を目立たなくできるかという点です。「手術が必要な患者さんでも、まずは安全な治療法を薦めて、その結果をみた上で次の治療法を考えます。注射やテープによる治療はもちろんですが、ジェネシスは一度試してみる価値はあると思います。『精神的、経済的、肉体的な犠牲を少なくして、いかに傷を目立たなくするか』が私の目指す治療です。女性ならいつでもキレイでいたいという気持ちはよく分かります。できる限り、そのお手伝いができればと思っています」と久保田先生。



■取材協力/ たか子クリニック院長 久保田賢子先生 
日本形成外科学会専門医
オバジ認定医
医学博士
聖マリアンナ医大非常勤講師
聖マリアンナ医科大学形成外科を経て、1998年にたか子クリニックを開院。乳がんの再建にも積極的に取り組み、手術経験も多数こなす。
住所:東京都渋谷区桜丘町16-14ドルチェ渋谷
電話:03-5459-7943
http://www.takako-clinic.com/

writer's eyes
「美容用に開発されたレーザーがやけどや傷跡にも効くなんて!!」。正直、これには驚きました。痛みもダウンタイムもないジェネシスは、「美容と健康を叶えてくれる夢のレーザー!」。試しに手の甲にジェネシスを照射していただきましたが、パチパチパチ…という音と共に、多少熱さを感じる程度で痛みはほとんどナシ。美肌を目指す人も傷跡に悩んでいる人も、一度体験してみる価値はありそうですよ!

中村千夏
 
 
 
 
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