「乾燥やブーツによるムレなど、足は意外と過酷な環境に耐えています。
中でも、きつい靴などが原因で起こる「巻き爪」の悩みは深刻。
治したいけど、手術で爪の周りを切ったり、爪を抜いたりはイヤ、という人の間で、 今、VHO式という、切らずに治す方法が話題になっています。
 
 
 VHO式とは、今から30年近く前にドイツで生まれた重度の巻き爪矯正法。ドイツでは、第二次世界大戦後、足に障害を負って普通の靴では歩けなくなってしまった兵士を対象として、靴の改良技術とともにフットケアの技術が発展していきました。今でもドイツには国の承認を受けた「メディカル・フスフレーガー」(医学的な知識をもって足をケアする人)がたくさんいて、整形外科的な観点から靴をつくる「オートペディーシューマイスター」とともに、さまざまな足の悩みに応えるというシステムができています。そして、VHO式もそうした背景から生まれました。
  日本では約5年前から、「フスウントシュー インスティテュート」が紹介しはじめ、ここ1〜2年で導入する医師が急増しています。
ヨーロッパでのフットケアの歴史は古く、キリストの時代までさかのぼるともいわれています。この絵は、マグダラのマリアが、巡礼途中のキリストの足をケアしている様子を描いたもので、16世紀イタリアの有名画家ティントレットの作品です。(部分)



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 巻き爪は、足の親指に多く、きつい靴による圧迫がおもな原因で起こります。しかし、靴は適正なサイズでも、長時間歩く営業職の人や、足の親指に負担のかかるスポーツをする人、肥満で大きな負荷が足にかかる人も要注意です。
また、親が巻き爪など、遺伝的な要素も考えられます。
  なお、爪を切る時に、深爪の習慣がある人は、上記にあてはまらなくても巻き爪になりやすいので気をつけましょう。

 

巻き爪の症例

爪の左右が内側に巻き込んでしまい、肉を圧迫する。

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 VHO式の方法は、歯科矯正にも使われているという強力なワイヤーを、巻き込んでしまっている爪の根元に近い両サイドにひっかけ、巻き込まないように固定をするというもの。ワイヤーは、爪の両脇の、神経も血管も通っていないところにすべり込ませるので、施術中に痛みを感じず、出血もほとんどないのが最大の特長です。施術時間も、熟達した医師なら5〜10分程度。また、手術をすると、その後しばらく包帯をするなどで靴がはけなくなったり、歩けなくなったりしますが、VHO式はそのような不便さもありません。施術の手順を、写真で見てみましょう。

〜VHO式巻き爪矯正の施術の流れ〜






 
専用のワイヤーを患者の陥入爪のカーブに合わせて曲げる ワイヤーを爪の根元に近い左右に引っ掛ける 専用のフックでワイヤーを引っ張り、固定する 余分なワイヤーを切り、透明な人工爪(ジェルネイル)で、ワイヤーの切り口をカバーする

 

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 写真のように、VHO式ではワイヤーを爪の根元に近いところに引っ掛けます。つまり、1度ワイヤーをかければ、爪が伸びるにしたがってワイヤーの位置も少しずつ先端に移動し、内側へ巻いた爪を外側へ外側へと矯正してくれるのです。爪の伸びるスピードによりますが、3〜6ヵ月は月1回程度医院で確認しながら様子を見て、そのまま治ってしまう人もいれば、場合によりもう1回ワイヤーをかける、ということもあります。いずれにしても、ひんぱんに治療を受ける必要がなく、普段通りの生活ができるという点で、VHO式は評価されています。


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 VHO式による治療は自由診療で、1回の治療で1万円〜1.5万円程度かかります。しかし、数ヵ月に1度程度と考えればエステや美容院感覚の価格ではないでしょうか?
VHOライセンスを持っている医師は、現在日本に約280名おり、施術をしている医院は下記のサイトから検索できます。
「巻き爪治療 VHO」  http://www.vho.jp/index.html

爪水虫や化膿している場合はすぐに矯正できないこともあります。事前に問い合わせを。
施術にかかる時間は爪の状態等により異なります。



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 「日本では、まだまだフットケアの大切さが一般には浸透していないと考えます」と語るのは、VHO式を始め、数々のフットケアの技術を指導し、プロフェッショナルであるフスフレーガーを国内で育てている「フスウントシュー インスティテュート」(東京都台東区)常務取締役の遠藤永子さん。「ヨーロッパで靴を買うときには専門店がメイン。良い靴を売っている店には、靴選びのプロはもちろん、フットケアやオーソペディー(足に合うよう靴を調整したり、つくったりする)の専門スタッフが必ずいます。スキンケアの面でも、ヨーロッパでは昔から足専用のクリームがありました。だから一般の人の靴や足に対する意識が高いのです」(遠藤さん)
その点、日本ではファッション重視で、足の健康を考えてつくられた靴はまだ少ないし、フットケアも化粧品こそいろいろ登場してきたけれど、専門的な知識と技術をもって足をケアしてくれる場所や、そういうニーズはもっと増えてもいいのでは、と遠藤さんは語ります。「足は、常に地面について体重を支えているのですから、もっと大切にしましょう。とりわけ爪は、皮膚の一部なので清潔に。手入れをきちんとすれば足の病気にかかりにくくなり、年をとっても快適に過ごすことができますよ」
巻き爪で困っている人も、そうでない人も、暖かくなって素足を出す機会が増える前に、フットケアを見直してみてはいかがでしょう?

 
 
■取材協力/


フスウントシュー インスティテュート
常務取締役 遠藤永子さん

1989年、ドイツでフットケアの勉強をし、VHO式の存在を知る。帰国後1993年から紹介しはじめ、1997年から本格的に養成講座をスタート。そのほか、足と靴のプロセミナーや専門実技コースなども開講。
http://fuss-und-schuh.co.jp/
 


教室の一部。ここでフスフレーガーになるための実技の授業がドイツ人の講師によって行われる。今までに約400名が学び、フスフレーガーとして医療、福祉関係、靴の販売等の分野で活躍している。
 


1階の店舗には、医学的アプローチで足の健康を考えたコンフォートシューズが並んでいる。糖尿病や関節リウマチの人に対応する商品も充実。


writer's eyes
「顔に塗るように、足にもクリーム、塗っていますか?」そう聞かれ、言葉につまったワタシ。ファッションはそれなりにキメていても、「カサカサかかと」には見て見ぬふりをしていた自分を恥じました。 そういった美容的な観点だけでなく、巻き爪や外反母趾、ハンマートゥなど健康面での足のケアに対して、日本人はもっと積極的になってもいいのではと思いました。何十年か後、年をとった時に、より不便さがなく質の高い生活につながるということをもっと伝えていきたい、と思いを新たにしました。
 
 
 
 
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